第21回日本緑内障学会 - 須田記念講演 -

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「より質の高い緑内障治療をめざして」日本緑内障学会評議員監事 東京警察病院
安田 典子 眼科部長

講演後、学会からメダルが授与された安田先生

講演後、学会からメダルが授与された安田先生

緑内障研究奨励「須田賞」

緑内障研究に生涯を捧げた「日本緑内障の父」故須田経宇熊本大学名誉教授が緑内障学会の前身の緑内障研究会会長を退くにあたり昭和62年に設立した学術奨励賞。

当該年度の研究論文が対象で自薦他薦を問わない。平成4年から2編の論文に対し各100万円が助成され日本緑内障学会の席上で授賞式が行われている。安田典子先生は第2回(1988年)の受賞者。

緑内障治療では、個々の患者の無治療時眼圧を十分に把握し、それに応じて各々の患者により適切な薬剤をより適切な方法で処方すべきである。そのためには、薬剤自体の眼圧下降効果はもちろん、患者の既往歴、生活パターンも考慮する必要がある。さらに治療後は眼圧コントロールのみならず点眼状況も把握し、アドヒアランス(自主的な参加の意)が不良と判断される場合には、その原因を探り対策を講じることが必要である。このような"より質の高い緑内障治療をめざして"24時間緻密な治療をするために治療前後の眼圧日内変動および患者教育に取り組んできた。

1.無治療時眼圧日内変動

1日平均眼圧、最高眼圧が視野障害進行と関与していることが01年の研究で明らかになった。また09年には体位変動幅が視野障害進行に関与していることも分かっている。

無治療時眼圧日内変動測定は、通常の外来診療では知り得ない眼圧の詳細を把握することができる。正常眼圧緑内障患者(NTG)を対象に眼圧日内変動を調べたところ、最高眼圧が外来診療時間外に記録された症例は3割にのぼった。変動パターンを調べてみると243例(右眼)のうち日中型195例、夜間型32例、不定型16例であった。夜間に最高眼圧を記録する夜間型の背景因子を探りたいと考えた。そこで夜間型135例(平均年齢55.7歳、男性66例、女性69例)のデータを分析してみたところ、男性で等価球面度数が大きいほど(遠視寄り)夜間型になりやすいということが分かった。

また、NTGにおいて左右眼の眼圧差(24時間平均眼圧差)と視野障害の関係を調べてみると眼圧の低い方の眼の視野障害が他眼より高度であった。つまり、眼圧の影響が少ないと考えられる症例が約4割にみられた。このような症例では、血圧や眼環流圧が低く眼血流障害の関与が示唆された。結果、NTGは遠視の人より夜間型になりやすいといえる。

眼圧日内変動は眼圧が高いほど大きくなり、NTGの眼圧日内変動と年齢に有意な関係はなく眼圧体位変動幅と日内変動幅にも相関関係はないということが分かった。

2.治療時眼圧日内変動

治療時眼圧日内変動は個々の症例が持つ独特の眼圧日内変動に加え、各薬剤特有の薬剤効果の日内変動にも強く影響される。そこで単剤治療時と3剤(PG、β、CAI)使用時の眼圧日内変動を比較してみた。NTGにおけるラタノプロスト(LP)とチモロール(TL)の眼圧日内変動への効果について比較した。その結果、LPでは24時間通して有意な眼圧下降効果があったがTLでは夜間の眼圧下降効果が少なかった。

さらにMMC併用線維柱帯切除手術後の眼圧変動についても眼圧日内変動を検討してみた。その結果、術後眼圧が低いほど1日変動幅はきわめて小さくなることが分かった。また眼圧体位変動についても同様に、術後眼圧が低いほど体位変動幅が小さくなることが判明した。

眼圧変動測定から得られたデータを治療に生かすには診療時間帯の眼圧を十分に下げること、強度近視眼の眼圧下降治療は十分に行うこと、血圧・眼灌流圧を下げない治療が望ましいということになる。体位変動測定で得られたデータからは単剤治療の24時間眼圧コントロールにはPG関連薬が優れていることが判明している。また3剤併用治療中の最高眼圧は深夜であることが多く診療時間内の眼圧が低い症例や遠視寄りは注意が必要だ。

3.患者教育について

最近の緑内障治療におけるアドヒアランスの重要性が広く浸透してきたが、東京警察病院では既に02年から「緑内障1日教育入院」というシステムを設け、これまでに約1300人の患者さんが参加している。

教育入院では医師が病態や手術、眼圧下降治療の重要性や予後などについて質疑応答を含めてじっくり説明している。Ask-tell-ask communication stractegyというキャッチボール方式の質問形式で対話を重ねていく。

また、薬剤師による点眼方法の指導は、患者さんから好評をいただいている。教育入院前のアンケートではテレビの視聴等の日常生活や点眼方法、緑内障の病態、遺伝との関連について知りたいという問いが多かった。患者さんのこれらの疑問に答えることで緑内障への理解が深まり不安も解消されるため、アドヒアランス向上に大いに役立っているといえる。


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