医療法人化から3年 見え始めた成果とは
1974年広島大学医学部卒業、同第二外科入局。独ハノーバー医科大学腹部移植外科留学、広島西医療センター副院長、広島鉄道病院(現:JR広島病院)院長などを経て、2016年から現職。
1920年に誕生し、2016年には、現在地に新病院を建設。同じ年、医療法人JR広島病院が設立され、広島鉄道病院から事業を継承した。4年目を前に、変革の手ごたえを感じているという。
―新体制になって、まもなく丸3年です。
診療内容については、旧広島鉄道病院の時に比べて幅が広がりました。
がんに関して言えば、緩和ケア病棟と化学療法センターを開設。放射線療法や化学療法と併用することで治療効果が高まる「ハイパーサーミア(温熱療法)」も導入しました。隣地にある「広島がん高精度放射線治療センター(HIPRAC)」とも、院内放射線治療相談外来やキャンサーボードでサポートをいただくなど非常にうまく連携がとれています。
さらに、健診センターを設け、病気の早期発見にも注力。がん以外の分野でも、透析センター、リウマチ・膠原病内科を新設しました。以前から継続している各診療科に関しても、熱意のある医師たちががんばってくれています。
医療法人化により、スタッフ構成も変わってきました。特に事務系職種では、医療機関などでの事務の経験がある職員が徐々に増えてきています。
医事部を中心として、医療経営に関する経験が豊富な人が増えることで、若い職員もさまざまなことを学ぶことができる。十分とは言えないかもしれませんが、少しずつレベルが上がってきていると思います。
―経営面の工夫については。
経営方法に「絶対」はありませんので、いろいろな積み重ねで、収支を安定させていくしかない。光熱費など小さなことも含めて、まずは経費節減が大事になります。薬剤や定期材料の購入に関しても、さまざまな情報をもとに折衝し、支出減を図ってきました。価格交渉の成果が出てきつつあると感じています。
現在、進めている「院内改善プロジェクト」の中では「経費節減のためにどうするのか」というテーマでも検討を進めています。今年度末までに方針を立て、2019年度に実行し、成果が見えてくればと考えています。経営分析システムも導入しました。診療業績も含めて、動向を数字で正確に把握し、対策を立てる試みです。結果が出てくるのはこれからでしょう。
―「働き方改革」が叫ばれています。取り組みを聞かせてください。
月並みですが、医師が医師の仕事に集中できるよう、医師事務作業補助者の増員を進めており、現在は医療事務作業補助体制加算が「25対1」です。また、2018年4月には院内保育所をオープンしました。女性医師も女性看護師も、保育面のサポートによって職場復帰しやすくなるでしょう。
女性医師の採用に関しては、短時間勤務など、それぞれの事情に応じたフレキシブルな対応をしたいと考えています。今はまだ実績はありませんが、常勤に準じる立場として、明確に制度化したいと準備を進めているところです。
―地域との医療連携については。
当院の患者さんは、広島市東区を中心に、南区、安芸区などからもお見えになります。紹介率は6割弱、逆紹介率は7〜8割。2019年度内の地域医療支援病院の認定申請が目標です。
地域の医療機関の方々と一緒に、地域全体の医療レベルと連携密度を上げていきたい。そのために、この地域の連携医療機関の医療従事者を対象とした「JR広島病院オープンカンファレンス」「大腿骨近位部骨折地域連携パスの会」「地域医療をすすめる会」など、数多くの研修会・勉強会を催しています。
主催は、地域連携室や各診療科、診療科横断のチーム。当院のエキスパートたちが、それぞれ主体性を持って、連携推進に積極的に取り組んでいることが、大きな強みです。
医療法人JR広島病院
広島市東区二葉の里3-1-36
TEL:082-262-1171(代表)
http://www.jrhh.or.jp/