医療法人 JR広島病院 小野 栄治 理事長・病院長

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優しく誠実な医療で患者さんと共に

【おの・えいじ】 修道高校卒業  1974 広島大学医学部卒業 広島大学医学部第二外科入局 1975 河石病院 1977 広島大学医学部第二外科 1985 ハノーバー医科大学腹部移植外科留学 1988 県立広島病院 1989 松山赤十字病院 1994 国立大竹病院 2005 西日本旅客鉄道広島支社広島鉄道病院(現:医療法人JR広島病院)副院長2011 同病院長

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◎医療法人化と新病院開設

 旧病院の時代から約6年間、病院長を務めてきました。その中で実感したことは、健全な運営ができないと、長期的に病院を支えていくことはできないということです。

 以前は、JR西日本の一部門として運営されていましたので、人事、機器購入、施設整備などは、われわれ病院職員の考え方や要望を申請し、本社で承認されたものだけが実行されていました。

 昨今のような医療制度の変化が著しい時代では、適切な人材の確保、勤務スタイル、必要な機器の導入などをタイムリーに実行することが求められます。そのような運営環境に変えていく必要性が生じたことが、法人化を考える大きな要因になりました。

 法人化され、新病院になり、完全に自主独立した運営に変わったことで、意思決定が早くなったという大きな利点はありますが、その分、運営上の責任も極めて大きくなりました。

 JR西日本の一部門という立場と違って、収支を含めた運営上の結果には、当院で責任を負わなければなりません。今まで以上に緊張感を持った運営が必要とされます。

 法人化したことで、どれだけの効果を上げられるかが、われわれに課せられた大きな課題です。これまで以上に慎重に、効率的で無駄のない運営を心掛けたいと考えています。

◎職員の意識改革

 極めて当然のことですが、患者さんにとって安心・安全な医療を提供す

ることが、いい病院づくりにつながります。そのことを確実に実行していくためには、今まで以上に職員の意識改革が必要だと考えて、さまざまな研修や意見交換を積極的に取り入れるようになりました。

 旧病院のころには、大きな組織の中で働いているという安心感からか、緊張感が薄く感じられる場面もあったように思います。しかし最近では、職員一人ひとりが、しっかりとした問題意識を持って取り組んでくれるようになったと感じています。

◎新病院の特徴

 昨年1月16日の土曜日に今の場所に新築移転し、月曜日から診療を開始しました。

 旧病院のすぐ隣とはいえ、約160人の入院患者さんを移動させることは大変です。ここはJRの関連施設ということもあり、列車のダイヤのように移送時間を事前に決めて何度かシミュレーションしました。移送のために設けた仮設通路を通って、思いのほか順調に進めることができ、4時間ほどで完了しました。

 病院の新築移転に伴い、旧病院にはなかった診療部門をいくつか設けました。

 人工透析センターでは、外来患者さんから当院に入院されている患者さんまで、比較的状態が安定している方の治療をしています。

 透析液や血液の流れ、抗凝固薬の注入量などを調整することができる「コンソール(患者監視装置)」をすべてのベッドサイドに設置しました。「on-line HDF(大量置換血液透析濾過)」も可能です。

 また、潰瘍性大腸炎やクローン病、悪性関節リウマチなどの難病疾患には血球成分除去療法を行い、難治性腹水には、CART(腹水除去濃縮再静注法)も行っています。

 がん診療機能も強化しました。

 当院のすぐ隣にある 「HIPRAC(ハイプ ラック/広島がん高精度 放射線治療センター)」に は、世界最先端の放射線 治療機器がそろっていま す。

 患者さんに適切で効 果的な放射線治療を受 けていただくために、HIPRACと連携して 「ハイプラック外来(毎週 水曜日・完全予約制)」を 開設しました。

 また、化学療法セン ターを開設し、化学療法部門を独立させました。 治療用ベッド3床とリク ライニング式ベッド7床 の計10床があり、患者さ んに付き添われるご家 族のための待合スペース も設けています。

 ハイパーサーミア(温熱 療法)治療室には「サーモ トロンRF8」を導入。放 射線療法や化学療法と併 用することで治療効果が 高まります。この装置が あるのは、広島市内では 当院が唯一。私を中心に、 看護師、臨床工学士など と一緒に診療にあたってい ます。

 がん患者さんの身体的 な苦痛をケアするため、 緩和ケア内科を新設し、 緩和ケア病棟( 20 床)の運 営も始めました。

 呼吸器外科出身の医 師を中心に、緩和ケア認 定看護師、看護師、薬剤 師、MSW(医療ソーシャ ルワーカー)などがチー ム医療に取り組んでいま す。ベッド稼働率は8割 〜9割程度で維持でき ています。

 また、以前は医療事務 作業補助体制加算が 75 対1でしたが、今は 25 対 1。徐々にスタッフを増 員しながら 20 対1から 15 対1を目指していると ころです。

◎地域医療連携

 旧病院にも地域医療連携室はありました。しかし、少人数だったため、十分な機能を果たせていませんでした。現在は、看護師長経験のある人を中心に、医療スタッフ、MSW、を配置し、入院の前後、連携先の医療施設にスムーズに転院していただけるよう取り組んでいます。

◎今後の展望

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 広島市の都市計画で、この地域は医療福祉ゾーンとしての役割を担っています。さまざまな医療施設をこのエリアに集約して開発しようという考えです。

 旧病院の跡地利用については、まだはっきりと決まっていませんが、医療系の施設が誘致されるのではないでしょうか。できれば当院ではカバーしきれない高度先進医療に特化した医療施設が設置されることを期待しています。

 地域医療構想が進む中、当院は、中規模でありながら一般急性期医療を担う医療機関としての存在感を持てるような病院に発展させたいですね。"優しさと誠実な医療"をモットーに、周辺の大小の医療施設と役割分担・連携しながら、総合的に地域医療を支えられる病院にしていきたいと思います。

医療法人 JR広島病院
広島市東区二葉の里3-1-36
TEL:082-262-1171(代表)
http://www.jrhh.or.jp/


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