地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪母子医療センター 川田 博昭 病院長

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少子化と医療の発展 背景に新たな病院像を描くとき

【かわた・ひろあき】 1980 大阪大学医学部卒業 1989 米ボストン小児病院心臓外科リサーチフェロー 1991 大阪大学第一外科助手 1994 大阪府立母子保健総合医療センター(現:大阪母子医療センター)心臓血管外科医長2010 同主任部長 2016 同副院長 2018 同病院長

 リスクの高い分娩や高度な医療を必要とする乳幼児の疾患―。周産期・小児医療を専門に手掛けてまもなく40年。4月には、川田博昭新病院長が誕生した。少子化が急速に進行する中、新たな病院のあり方を模索する川田病院長を訪ねた。

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―今年4月、副院長から病院長に就任されました。

 4月、8床の急性期病棟を開設しました。急性期病棟は以前も一時期あったのですが、人手の問題で閉じざるを得なかった経緯があり、今回は「再チャレンジ」。急性期を診る医師と看護師の定員を増やし、再開棟にこぎつけました。

 当センターは、周産期と小児の専門病院です。以前から妊産婦や子どもに関わる救急の要請は高かったものの、すべての患者さんを受け入れることはなかなかできずにいました。そこで救急と集中治療の機能を段階的に強化。2009年度、6床だったPICUは、2014年度の手術棟完成などを経て、現在全18床にまで拡大しています。

 今は病院間搬送や24時間の救急にも幅広く対応。今後も救急、集中治療を含めた急性期医療に力を入れていく考えです。

―今ある課題と、解決のための取り組みを聞かせてください。

 小児医療の進歩で、多くの子どもの命が救えるようになりました。その分、当センターで治療を続けながら成人を迎える患者さんも多くなっています。

 しかし、今はまだ、こうした方に適切な医療を提供できているとは言い難い。「移行医療」のあり方を模索し、地域の医療機関との連携に向けて動き始めました。

 患者さんとご家族には三つの選択肢を提示します。一つ目は、成人期の医療を担う病院での治療を開始し、子ども病院である当センターを「卒業」する。二つ目は、成人期の病院と当センターの両方を受診する。三つ目は、当センターでの診療を継続する。

 どれを選んだとしても、病態や合併症の年齢変化、体や心の成熟に合った医療が受けられる環境でなければなりません。成人、小児といった領域や病院間で情報や診療範囲を完全に分断するのではなく、少しずつ重ね合わせて共有していく必要があると考えています。

 3月には、当センターの患者さんの検査結果や放射線画像といった情報を地域の診療所でも閲覧できるシステム「南大阪MOCO(モコ)ネット」を始めました。

 患者さんの同意を得て、現在3カ所の診療所と情報を共有しています。個人情報を保護するため、データセンターを設けて当センターから開示できる情報を送り、診療所にはアクセスするための機器を設置してもらいます。「移行医療」をさらに推し進めるためにも、有効なツールになるでしょう。

―これからの目標は。

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 当院がある和泉市やその周辺の市では少子化が加速しています。2015年から2016年にかけての出生数は、大阪府全体で2.6%減少。和泉市や泉大津市では6.1%減っています。

 これまで周産期と小児に特化した病院として運営してきましたが、患者数的には先細りになるのが必至。急性期や移行医療の強化だけでなく、必要とされているけれど十分ではない、新たな分野の開拓も図っていく必要があるかもしれませんね。

 開院から38年が経過し、施設の老朽化も課題です。すでにセンター内部で検討に入り、大阪府立病院機構本部、大阪府とも相談を始めました。移転という選択肢もありますが、まずは現在地での建て替えを前提に協議を進めています。

 ハード、ソフトとも新たな病院像を描く時期が来ました。医師、看護師、そのほかあらゆる職種の職員の意見を聞きながら、この地域の患者さんに求められる医療を今後も提供できるよう、病院運営を考える毎日です。

地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪母子医療センター
大阪府和泉市室堂町840
TEL:0725-56-1220(代表)
https://www.mch.pref.osaka.jp/


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