講師の会田薫子さん「最期はご本人の視点で」
NPO法人患者の権利オンブズマン主催の市民公開講座「食べられなくなっても人間らしく生き抜く=認知症の終末期医療について考える」が、3月20日、福岡市博多区のパピヨンプラザで開催され、市民のほか、医師、歯科医師、看護師、弁護士、行政書士などの専門職など約70名が参加しました。講師は東京大学死生学・応用倫理センター上廣講座特任准教授の会田薫子さん。
会田さんは「胃ろうなど多様な経管栄養法が普及してきたが、患者本人の人生の集大成という意味で疑問がある。生存期間を延ばしても、本人のつらさを増し、本人らしさが損なわれる場合がある。人工栄養に関する社会認識と環境も変化し、胃ろう栄養を含め人工栄養の差し控えや撤退は、医学的にも倫理的にも妥当な選択肢として確認されるようになった」。
「本人の生き方、価値観や死生観は人生に大事なこと。考え方、 最期の期間の過ごし方の希望 、生活の質(QOL) のため、本人の視点で、過剰でも過少でもない医療を提供すべきではないか」。
「大切なのは医療スタッフと本人・家族間の話し合いのプロセス。本人の最善のために何ができるかをチームでよく話し合うことだと思う。天寿はそれぞれ、延命の是非もそれぞれなので、患者本人の人生の集大成の支援をしてほしい」などと話しました。
緩和ケア病棟でボランティアをしている参加者から、「胃ろうも何もせず、在宅医療ネットワークを活用して100歳の祖母を、母と一緒に自宅で看取った。祖母とはある程度意思疎通が図られ、いい表情でいられた。3か月半の終末期をともに過ごせてよかった。講演を聴いて、母も私も良い結果を確認できたと思いました」との感想が寄せられました。
講演がとてもよかったので、ニュースレターに内容を掲載する予定です。
(池永早苗=NPO法人患者の権利オンブズマン専務理事)