事例の検証で条例の必要性を認識
福岡市中央区の福岡市市民福祉プラザで2月16日、第2回「福岡のがん条例を考える会」勉強会が開かれた。主催は福岡がん患者団体ネットワークがん・バッテン・元気隊。参加数は県会議員や医療関係者など40名だった。
今回の勉強会は、事例を検証し条例の必要性を認識するのが主旨。飯塚市で長年在宅医療にかかわる松口循環器科・内科医院の松口武行理事長・院長がコメンテーターを務めた。
実例として、生活保護を受給する福岡市在住のがん患者の女性を在宅で看取った記録が示され、在宅ホスピスボランティアのほか、2つの施設の訪問看護ステーションの看護師、納骨の世話をした楠正信福岡市議などが説明した。
在宅ケアに関わった人数は、医師や訪問看護師、ケアマネージャー、ソーシャルワーカーなど50人を超えた。医療費は公費負担でまかない、医療福祉制度上の助成もすべて使ったが、夜間の付添費用が捻出できず、葬儀や納骨にも苦労したという。「在宅での看取りはお金がかかるので、生活保護受給者であったことがかえって良かったのではないか」との感想も発表された。
また松口理事長・院長は、2人暮らしの高齢者夫婦を同時に看取った事例を紹介し、「何度も無理だと思ったが、多職種の連携で、2人が希望する在宅での看取りができた。今後は、ボランティアの善意に頼りすぎないシステムの構築が必要で、行政とも通じる調整役が必要だろう」述べた。また看取りについて「死の瞬間に立ち会うことが大事なわけではない。それまでの家族間のふれあいが重要だ」と言った。
福岡県議で作る厚生労働環境会のメンバーは、「今は防疫の問題に取り組んでいる。条例のことは、そちらが一段落してから考えたい」と述べた。
同会は1回目の会合を、名古屋市立大学大学院の大野裕美研究員を福岡に招いて1月16日に開催している。