一枚の絵に託した病院づくりへの思い
この地域に、安心して受診できる病院をー。浜松市南部地域の人々の熱い思いを受け止め、2006年に開院を果たしたのが「浜松南病院」だ。今年4月、トップに就いた梅原慶太院長は世界屈指の病院の名前を挙げ「日本のメイヨークリニックと呼ばれる存在になりたい」。そんな夢を打ち明けてくれた。
◎「2本の柱」を中心に浜松市南部を支える
JR浜松駅から南へまっすぐに伸びる道を車で行くこと5分。浜松市南部地域の中核病院である浜松南病院がある。
13診療科、150床のケアミックス型病院。医大の教授、名誉教授らも診療に参加するなど高い専門性を有する急性期医療、療養病床を活用した地域の急性期後の患者に対するポストアキュート機能、通所・訪問リハビリテーションと、開院以来、地域の多様なニーズに応え続けている。
診療科をけん引する柱の1本は消化器内科で、県外から足を運ぶ患者も少なくない。「潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患に関しては全国でも有数の実績です。厚労省が進めている難治性炎症性腸管障害の調査プロジェクトの協力施設として臨床研究にも力を入れています」と梅原院長は語る。
もう1本の柱は、梅原院長の専門分野でもある「整形外科・リハビリテーション科」だ。
人工関節・リウマチセンターでは、筋肉や関節包を温存し、股関節を脱臼させることなくTHA(全人工股関節置換術)を行う「SuperPATH法」を実施。傷が小さいだけではなく、術翌日から歩行可能。「術後の動作制限もない、真の意味での低侵襲手術が当院の強みです。高い技術を学びたいという医師の見学も全国から受け入れています」
術後は切れ目のないリハビリの提供によって早期回復をサポート。浜松市の委託による「運動器の機能向上トレーニング教室」を開催し、介護予防事業にも力を入れている。
◎誇りをもって働ける環境を整えたい
浜松南病院を訪れると掲示板やエレベーター内などに印象的な絵が飾られていることに気づくだろう。
病院の周囲を豊かな緑が包み、そのすぐそばを老若男女の地域の人々が行き交い、ゆったりとした時間を過ごしているー。
「これは浜松在住の画家である阪本一史さんに描いてもらった作品です。画廊で偶然目にした阪本さんのタッチに引かれ、ぜひ当院を書いてもらえないかと依頼したものです」
同院のミッションは「患者さんのための病院、最愛の人を安心して託せる病院」。患者、医療者を含めて誰もが具体的な「像」として浜松南病院の使命や空気感をイメージできる。そんなシンボルとして院内外に浸透しつつある。
では、今、梅原院長が進めている取り組みは、どのようなことだろうか。
「職員が誇りをもち幸せな気持ちで働くことが、すなわち患者さんへの貢献につながる。その点を常に意識した環境づくりに力を入れています」
例えば年に1度、院内で学術集会を開いているのもその一環だ。発表に向けて部署の垣根を越えて一体となる「チーム」が複数生まれるなど、院内にもたらされる刺激は大きい。
また、頻繁に自主的な勉強会が開かれていたり、年間を通じて英語による論文発表が活発だったりと、「学ぶ風土」がしっかりと根付いているという。
「大事なのは、外との関わりをもつことです。自分のレベルを客観的に捉えることにつながりますし、足りない部分を知るいい機会にもなりますから」
心にはいつも「The needs of the patient come first」の言葉がある。患者ニーズを第一とする米国のメイヨークリニックのように信頼される病院でありたい。梅原院長には、これから進むべき道のりがはっきりと見えているようだ。
医療法人社団綾和会 浜松南病院
浜松市南区白羽町26
TEL:053-443-2111(代表)
http://www.hamamatsu-minami.com/