新名称は"ヨナハ丘の上病院" 移転をプラスの力に
桑名・員弁地区で産科から在宅医療まで、幅広い世代に医療を提供しているヨナハ総合病院。今年5月、念願だった新病院「ヨナハ丘の上病院」の建設が始まった。鈴木賢二院長に狙いを聞いた。
―新病院建設の経緯は。
当院は与那覇尚・現会長が1975年、22床の「ヨナハ産婦人科病院」を開設したのが始まりです。地域のニーズに合わせて小児科、内科など診療科の数を増やしていきました。現在、桑名市内に「ヨナハ産婦人科小児科病院」と、隣接して建つ「ヨナハ総合病院」の二つの病院を運営し、病床数の合計は185床です。
現在地から西へ4kmほどの場所に新病院の建築を進めています。桑名インターチェンジ近く、蓮華寺地区の国道沿いで、竣工は2021年1月を予定しています。
大規模な大山田団地がある同地区には、最近、大型ショッピングセンターが進出するなど、桑名市内の中でも今後の発展が期待できるエリアとして注目されています。
移転に伴い二つの病院を統合します。新たな病院名は「ヨナハ丘の上病院」。ネーミングのアイデアは職員から募集しました。病院の未来が拓(ひら)けていく。そんなイメージを重ね合わせています。新病院の敷地は4万5千平方㍍で、建物の空間はもちろん、患者さん向けの駐車場なども十分なゆとりを確保できます。
大地震などの有事の際には、桑名市にも津波の被害が及ぶことが想定されます。現病院の立地は海抜90㌢。医療機能の維持が危ぶまれるため、与那覇会長はかねてから津波の被害を免れることのできる土地を探していました。
そうして10年ほどの期間をかけて見つけたのが、海抜60mの移転先です。質の高い医療はもちろん、災害に強い病院としても、地域に安心を提供できればと思っています。
―機能の特徴は。
地域に密着した病院として、救急・急性期・回復期・療養期・在宅医療を軸とした多機能の医療を提供できる施設にしたいと考えているところです。
当院のルーツが産婦人科ということもあり、引き続き産科、小児科医療に力を入れていきます。ヨナハ産婦人科小児科病院では不妊治療の需要なども増えていますので、若い世代の医療ニーズもしっかり捉えた医療を提供したいと思います。また、2次救急にも対応できるよう、ハード面、人材面の準備も整えます。
当院は、桑名・員弁地区で唯一の回復期リハビリテーション病棟52床を有しています。50人を超えるセラピストが質の高いリハビリを提供しており、脳卒中や骨折後、急性期を終えた患者さんの在宅復帰を支援しています。
当地区の高度急性期医療の中心は桑名市総合医療センターが担っており、当院はその後方病院として機能しています。この地域の医療にとって最も大切なのは、両院を含めて各医療機関が常に連携を密にしておくこと。当院と桑名市総合医療センターのスタッフは患者さんの情報を共有するために「医療連携ミーティング」を開いています。
移転後の跡地には一定期間、近隣の方々のためにクリニックの開設も検討しており、シャトルバスの運行も考えています。地域のみなさんに、できるだけ不安を感じさせることがないよう、建設計画を進めていきたいと思います。
―心がけていることは。
新病院に向けた優秀なスタッフの確保をはじめ、やはり「人」が何より重要です。「職員のやる気を引き出せる病院」を目指して、インセンティブ制度の導入や新たな人事考課制度の構築にも着手しました。
新病院の開設は大きな転機です。建物が新しくなるだけではなく、われわれ職員も意識や働き方を見直すきっかけにもなるでしょう。地域から「素晴らしい」と感じてもらえる病院を実現したいと思っています。
医療法人尚徳会 ヨナハ総合病院
三重県桑名市和泉8-264-3
TEL:0594-23-2415(代表)
http://www.yonaha.jp/