ともに学び、ともに行動し、全国に発信する|第9回福岡県医学会総会

  • はてなブックマークに追加
  • Google Bookmarks に追加
  • Yahoo!ブックマークに登録
  • del.icio.us に登録
  • ライブドアクリップに追加
  • RSS
  • この記事についてTwitterでつぶやく

横倉義武次期世界医師会会長が特別講演

 福岡県医師会館(福岡市博多区)で2月5日、第9回福岡県医学会総会が開かれ、県内医療関係者366人が集まった。学会長は住本英樹・九州大学医学部長。

k19-1-1.jpg

横倉義武・次期世界医師会会長

 冒頭、松田峻一良福岡県医学会会頭は、同学会の存在意義は「勤務医や開業医、医学研究者など、医師が立場によって分断されることなく地域医療の向上に尽力することにある」と述べて、同学会の使命を強調。「ともに学び、ともに行動し、県内医療で蓄積した成果を全国に発信」しようと呼びかけた。

 さらに、地域医療構想のパブリックコメントが締め切られたことに触れ、高齢化による医療需要への対応や医師の高齢化、在宅医療を行う医師や医療機関の確保などの問題が浮き彫りになるとの見解を示し、「医療関係者と密接に協議しながら地域医療の充実に取り組んでいきたい」とした。

◎最新の医療を地域医療へ

k19-1-2.jpg

松田峻一良 福岡県医学会会頭

k19-1-3.jpg

住本英樹・九州大学医学部長

 シンポジウム「地域医療に役立つ最新の医療」は、住本学会長を座長に、園田康平・九州大学大学院医学研究院眼科学分野教授、白濵正博・久留米大学医学部整形外科学講座骨折外傷担当教授、長谷川傑・福岡大学医学部消化器外科教授、田中文啓・産業医科大学医学部第2外科学講座教授、白石恒明・福岡県内科医会副会長の5人がシンポジストとして登壇。各シンポジストの専門分野について最先端の治療法を紹介した。

 骨折外傷に対する最新治療法と治療体制について発表した白濵教授は、高齢者の大腿(だいたい)骨近位部骨折が増加している統計を提示。高齢者はさまざまな既往症の内服薬服用や低栄養状態、臥床による筋力低下やせん妄などを併発するため、「整形外科単独での対応は難しい」と述べた。

 現在、久留米大学病院では高齢者の大腿骨近位部骨折について重篤な外傷患者として救命救急センターで24時間以内に手術することを推奨し、術後は地域医療連携パスを使った多職種連携のリハビリ治療を行っているという。

 さらに、国内の外科治療体制について、センター化が進む内科系と比べて外科系は充実していないと指摘。激しい外傷については「外科治療センター」を設置して患者搬送を集約すべきと問題提起した。

 「肺がん治療の進歩」と題して発表した田中教授は、依然として肺がんの早期発見が難しい状況を、肺がん発見時に患者の過半数が全身転移しているデータを示して説明した。

 しかし、2000年以降はCTを用いた検査で早期発見の可能性が高まったこと、分子標的治療薬や免疫チェックポイント阻害剤などの薬物療法の進歩により、これまでは手術の適用がなかった全身転移の肺がんに対する手術も可能になったことなどを説明。実際の低侵襲肺がん手術の映像を上映した。

◎社会的共通資本としての医療

k19-1-4.jpg

シンポジウムの様子

k19-1-5.jpg

ポスターセッションの様子

 総会の締めくくりには、次期世界医師会会長の横倉義武日本医師会会長が登壇。「日本医師会の医療政策」と題して講演した。

 横倉会長は、社会保障費が医療・介護を中心に今後も増加するという分析のもと、「持続可能な社会保障へ向けた医療側からの提言」を発表。

 時代に即した改革の具体例として、「生涯保健事業の体系化による健康寿命の延伸」や「COPD患者への適切な医療介入による在宅酸素療法導入患者の減少」などがあるとした。

 また、国が進めている、骨太の方針(経済財政諮問会議)、規制改革実施計画(規制改革会議)、日本再興戦略(未来投資会議)の3大政策に基づいて進められている各種改革については、日本医師会の政策判断基準①国民の安全な医療に資する政策か、②公的医療保険による国民皆保険は維持できるか、の2点に沿って是非を判断する方針を示した。

 医師会は国民が安心して医療を受けられる社会を目指しており、そのことが社会を安定させ、ひいては経済成長にもつながる、という立場をとるとした横倉会長。経済学者の宇沢弘文の編著「社会的共通資本としての医療」から言葉をひき、「医療制度は国家に管理されるものであってはならず、市場のメカニズムに任せてはならない。職業的規律、倫理に忠実なものでなければならない」と語った。

 総会では、ポスターセッションも開催され、4セッション計29の演題が発表された。

 来年の同学会総会は2月4日に開催する予定。次期学会長は内村直尚・久留米大学医学部長(同副学長)。

福岡県医学会賞受賞者

k19-1-6.jpg

特別賞を受賞した久留米大学の柴田龍宏助教

特別賞

柴田龍宏=久留米大学医学部内科学講座心臓・血管内科部門助教 「冠動脈塞栓症による急性心筋梗塞の臨床的特徴とその長期予後」

奨励賞

深澤満=ふかざわ医院院長 池周而=福岡大学病院講師樫山国宣=産業医科大学第2内科学 沖英次=九州大学大学院消化器・総合外科診療准教授 村石昭彦=村石循環器科内科理事長

ポスター優秀賞

赤田憲太朗=産業医科大学医学部呼吸器内科学
入江朋子=くるめ病院 藤枝恵=久留米大学医学部神経精神医学講座環境医学講座
市山正子=九州大学大学院医学研究院成長発達医学/福岡市立こども病院
加藤悠太=福岡大学医学部心臓・血管内科学
藤本京子=久留米大学医学部内科学講座呼吸器・神経・膠原病内科学
犬塚梨沙=福岡大学医学部神経内科学
山木宏道=久留米大学医学部整形外科学教室
角森大樹=産業医科大学病院循環器内科・腎臓内科


九州医事新報社ではライター(編集職)を募集しています

楽採で医師の採用を「楽」に!

博多水引×九州医事新報

バングラデシュに看護学校を建てるプロジェクト

人体にも環境にも優しい天然素材で作られた枕で快適な眠りを。100%天然素材のラテックス枕NEMCA

一般社団法人メディワーククリエイト

日本赤十字社

全国骨髄バンク推進連絡協議会

今月の1冊

編集担当者が毎月オススメの書籍を紹介していくコーナーです。

【著者:仲野 徹】
イメージ:今月の1冊 - 75.こわいもの知らずの病理学講義
こわいもの知らずの病理学講義

Twitter


ページ上部へ戻る