小規模病院だからこそできる医療がある

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上戸町病院 三島一幸院長

社会医療法人健友会が運営する上戸町病院は、昨年12月に創立30周年を迎えた。1982年の開設当初は50床の病院から始まったが、現在は一般急性期病棟60床、回復期リハビリテーション病棟44床の104床の病院である。今回はその上戸町病院の三島院長にお話を伺ってきた。

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【Profile】
1995年 長崎大学医学部を卒業し、長崎民医連健友会上戸町病院で初期研修
■2000年 健友会香焼民主診療所所長
■2002年 健友会上戸町病院内科病棟医長
■2007年 国立がんセンター中央病院肺診断部 、公立陶生病院呼吸器・アレルギー内科
■2008年 健友会上戸町病院副院長兼内科病棟医長を経て2010年同院院長

私は長崎市大浦地区というところで生まれ育ったんですが、そこにも建友会の診療所があるんですね。当法人がそこで40年前にスタートしたわけなんですが、入院用の施設を作りたいということで、10年後にこの病院が出来ました。高齢者が多いので急性期治療に加えリハビリテーションに力を入れています。

高齢者は肺炎などでの入院で、2、3日寝ているだけでも足腰は弱りますから、出来る方は入院初日からリハビリしていただきます。治療と同時にリハビリです。当院にはPTが23、OTが16人。ST4人を配置しています。この規模の病院では多いほうだと思います。

理念は無差別平等の医療です。お金の有るなしに関わらず、必要な医療を受けられる世の中になってほしいという思いから出来た病院ですから、そういう思いで医療活動を展開していますし、個室料、差額ベット料はいただいておりません。また、手続きが必要ではありますが、無料・低額診療制度を利用することもできます。

地域の方には有床診療所がちょっと大きくなったようなイメージで、気軽に相談にきてほしいですね。地域の患者さんと距離が近い町医者的な、そんな病院でありたいと思っています。当院は急性期医療をやっていますが、ついつい高度医療機関がやっていることを追いたくなる気持ちが芽生えます。しかし当院には当院なりの患者さんとの関わり方があるんですよね。例えば以前は「がん」の手術も手がけていました。しかし現在はがんの治療については「がん拠点病院」としっかり連携を取って任せる。当院の役割は早期発見、治療後のフォロー、終末期医療だと考えます。その代わりに、相手先の病院では「切るだけ」で良いように、きちんと検査して、きちんと書類を作るのが当院の役割だろうなと考えています。高度医療機関では出来ないような、患者さんのわがままをきける病院。患者さん一人一人の社会的背景をもふまえた医療を提供できることが、当院の役割だと考えています。

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私は小学校2年生の時に大腿骨頭壊死(ペルテス病)を患い、長崎大学病院の整形外科で手術したんですよ。1か月ぐらい入院したかな。その時に整形外科医を身近に見て、格好いいなと思い、その当時から整形外科医を志しました。しかし大学に入って勉強してみると、自分には内科が向いているのではないかと思い、結局今では内科医です。人を救うことを仕事にしたいわけですから、整形外科医に限らなくても良かったんですよね。医学を学びながらそれに気付きました。小児科にも心惹かれたりもしたんですけどね(笑)。

当院では昔も今も、医学生向けの学習会をやっているんですよ。心電図の読み方を教えたり、疾患の講義などを行っています。生まれ育った町にある診療所が作った病院ですから馴染みがありましたし、私も学生時代にそれに参加したんですが、その時にこの病院が掲げる無差別平等の医療の理念やスタッフの皆さんの患者さんへの対応にすっかり惹かれてしまった。それで卒業後はすぐにここで研修を受け、そのまま入職しました。今では初期臨床研修で大学に残る先生も半分ぐらいになりましたが、私のころは大学に残る人がほとんどでしたから、ちょっと珍しかったかも知れません。

当時は「臨床医としての力を早くつけたい、すぐに現場に飛び込みたい」という気持ちが強くありました。早く患者さんを助けたかったんです。

今来ている若い先生たちも、勉強会のつながりで研修先として選んでいただいています。上戸町病院には「自分たちの理想とする医療を提供できる医師を、自分たちの手で育てる」という理念が脈々と受け継がれてきています。ですから、こういった経緯で研修に来ていただくケースが珍しくはないです。

当院は基幹型臨床研修指定病院に指定され、卒後臨床研修評価機構からも高い評価を受けています。一年に一回、院内の医師が全員集まって、今後どうやって病院を良くするかとディスカッションをするんですが、これには研修医にも加わってもらいます。もちろん研修医からの意見は歓迎です。私だってそういう場で発言させて戴いていましたからね。

私は内科医ですが、サブスペシャルとして呼吸器内科を診ています。学生時代、呼吸器内科の分野は得意な方ではなく、なるつもりは全くなかったのですが、この病院に来て呼吸器内科の医師が足りないということで、研修医の私が担当することになりました。勉強するうちにどんどん好きになっていた感じです。労災・職業病の患者さん方を積極的に診ていますので、塵肺、アスベスト疾患の患者さんに接することも少なくないですね。

当院はずっと取得していなかったのですが、私が院長になってすぐに、日本医療機能評価機構の認定を受けました。病院としての機能を第三者機関によって評価してもらう必要があると考えたからです。また、地域の他の診療所との連携も積極的に始めました。それまでは法人内の診療所との連携が主でしたが、患者さんのことを考えればそれだけでは不十分ですからね。


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