大分県医師会 近藤稔新会長に聞く

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【PLOFILE】
1941年-熊本県天草市生まれ。
1968年-東京大学医学部卒。医学博士。
1970年-東京大学整形外科教室入局。以降、東京警察病院、関東労災病院、東大附属病院整形外科文部教官などを経て、1979年-大分市医師会立アルメイダ病院整形外科部長。
同年、大分市寺崎町に近藤整形外科開設。
1990年-医療法人近藤整形外科を設立、現在に至る。
1976年のモントリオールオリンピックにチームドクターとして同行。2011年には厚生労働大臣賞を受けた。
現、大分県バドミントン協会会長

「大分は、山海の珍味はおいしいし、いいところですよ」。 4月1日から大分県医師会の会長に就任した近藤稔会長(71=近藤整形外科院長)。少年のころは一人で和船を操って天草の海に釣り糸を垂れ、ここ大分でも30余年、忙しい合間に沖合に出て海底の魚と駆け引きをするのが楽しいそうだ。

―九州における大分の医療の位置づけについてお聞かせください―

大分は福岡と違って大分医大が一つあるだけで、学生はみんな都会に出て行きますから、それで医者も不足します。郡部では継承する医者が帰ってこないと潰れてしまいますし。かといって郡部の大きな病院で医師が雇えるかといえば、それも難しい。一番のネックは臨床研修制度でしょう。医者を増やす予定だったのに、臨床のできる病院にだけ集まるようになった。医局が医者を派遣するシステムがなくなったことが挙げられますね。

地域医療を守るためには、臨床研修制度を元に戻すか、あるいは地方の大学で医者になった人は卒業後も4、5年は出身大学で働くようになればいいと思いますね。

―大分県医師会として対策はありますか―

全国で女性医師が増えて半分近くになっています。でも結婚や出産、育児で医師を続けることが困難になります。医者は人間の命を預かりますから、何年かのブランクがあると自信が持てなくなる。再研修の場があればいいんですけどね。

子供を預けて安心して働けるような職場環境の整備が求められるでしょうね。それには男性医師の理解も大切ですが、県民の医療をどう守るかという観点から行政の理解も必要です。むろん病院側にも同様のことが言えます。医者が足りないからどうにかして集めよう、ではなく、女性の医師がもっと働きやすくなればいいと思いますね。

―少子高齢化に打開策はありそうですか―

国がなんとかしなければ日本は滅びますよ。私が思うのは、第三子くらいまで国が全額援助して面倒を見るような覚悟がなければ、子供は増えませんよね。授業料や教科書を無料にすることは必要ですが、親に現金を配るのは間違いでしょうね。

長い目で日本の将来を考えないと、田舎ほど高齢化になって美しい日本の風景が荒れ果ててしまいます。今でも無耕作地がいっぱいあるでしょう。

―ところで、天草に帰らずに大分で開業した理由は何ですか?―

家内が大分ですからね。東京で出会って大分に来て、昭和54年(1979年)に開業したんですよ。

初代の整形外科の教授が、関東労災病院の部長だった人で、私も東大を出たあと関東労災病院で働いていたことがあったから、九州に一緒に行こうと誘われ、じゃあ私は開業しますよとなったんです。でもそれで良かったと思っています。

―モントリオールオリンピックに行かれたとか―

チームドクターとしてね。男子体操が優勝して、笠松や監物がいましたね。バレーボールは大古とか森田とか。女子は優勝して、白井貴子さんとか。

―選手のコンディションを見たりするんですか―

コートやリングサイドにいて、選手がケガをした時に対応できるようにしているわけです。選手団のIDカードを持っているからどこにでも行けて、エリザベス女王が車に乗って通りすぎるのを、すぐ目の前で見ましたよ。

今はトリニータの選手がたまに来ています。

―医者は患者を分け隔てしませんよね。悪人でも後回しにしない―

その人が社会的にどんな立場であれ、苦しんでいたら診なければいけませんよ。そこは医者の使命だろうなあ。やはりだれでも、だれかのためにという気持ちは、持って生まれたものがあると思います。

―これまでの取材でも頭の下がる思いのする医師は多かったです―

そう言ってもらえるとお医者さんはみんなよろこぶでしょうね。医者の苦労をみなさんに分かってもらえればいのですが、ちょっと事件が起こると、医者の言い分は聞いてもらえなくて、みんなあんなだ、みたいに思われる。悪い医者がいれば悪いでいいんですよ、でも患者さんのために懸命になっている医師がやる気をなくしたら、日本全体の医療がだめになってしまう。

―話は最初にもどって、医師会長としての抱負をお聞かせください―

まず県民の医療を良くすることですね。現存する医療機関の経営がうまくいかずに廃院や閉院になってしまうと、患者さんは遠方から大分市まで来なければならなくなる。そうならないように、どこでも病院経営が成り立つようにして、地域医療を維持していかなければなりません。そのためには、医者不足の解消だけでなく、小さな病院でも続けていけるように、診療報酬についても国に働きかけていかなければなりません。それと、やはり女性医師に医療の現場にとどまってもらうために、働きやすい環境を作る必要がある。託児所に子供を預けても、夕方になると子供を迎えにいくことに気を取られますから、夜まで預かってくれる施設が必要です。いつも定刻に診療が終わるというわけではないですから、ここは行政とも話し合うつもりです。

―新会長としての特色は打ち出しますか―

前会長の方針を継承することになると思います。国はTPPの問題や皆保険制度を崩そうとする発言や、受診時定額負担というのもありました。

―趣味の釣りは続けられそうですか―

鯛の一本釣りで有名な佐賀関という所があるんですよ。そこでいちばん有名な漁師さんの船で沖に出て、底モノと言われる魚を竿なしで釣るんですが、船頭さんは海を見ずに、遠くの山を見て漁場を見つけるんです。それは見事です。大物がたくさん釣れますよ(笑)。


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