子宮頸がんと子宮体がん
福岡県医師会館5階大ホールで7月9日、「女性のがん=最新の治療からワクチンによるがん予防まで=」のセミナーが開催され、四大学四人の准教授が各四十分間にわたり講演、近年増加傾向が見られる子宮頸がん・体がんの疫学とワクチン・接種による予防を、参加した百八十人の医師に呼びかけた。
トップバッターは九州大学大学院医学研究院生殖病態生理学准教授の小林裕明氏。子宮頸がんの進行度(病期)分類表を提示し、女性が子宮頸がんを患うことによるQOL低下の実態を強調し、ナビゲーションサージェリーの有用性と今後の展望を語った。
続いて福岡大学医学部産婦人科学教室准教授・辻岡祐介氏が、若年層の子宮頸がん発症の原因である発がん性HPV(ヒトパピローマウイルス)感染、ウイルスの子宮頸がんへの移行を表示し、子宮頸がん予防ワクチン接種とがん検診の重要性を語った。
六月十日から再開された高一・高二女性の子宮頸がんワクチン接種の現状について参加者から質問が寄せられ、セミナーを共催したグラクソ・スミスクライン(株)(本社・東京)ワクチン部門の喜井勝功氏が自社のデータをもとに、セクシャルデビュー期にあたる女性のワクチン接種は今年九月末まで公費負担であると説明する一幕があった。
このあと産業医科大学産科婦人科学准教授の松浦祐介氏、久留米大学医学部産婦人科講座准教授の牛嶋公生氏が、子宮体がんの疫学と治療、術後療法などについてそれぞれ講演した。座長の嘉村敏治氏(久留米大学医学部産婦人科学講座教授)は、「女性特有のがんは、ワクチンと定期的な検診で撲滅できる」と会場参加者に語りかけた。
女性のがんセミナーに北九州から参加した鈴木由美さん
「医師から届いた案内はがきがピンクだったし、夫(鈴木眼科クリニック院長)が京都の学会に行っているので、私が代わりに参加しました。
女性のがん検診は結果を聞くのが怖いと思われているようで、友達にもそんな人が多いですが、今日の講演で、ワクチンによる予防と定期的ながん検診を受けることの大切さを改めて感じました。検診は怖くても受けるべきですね。
今はあらゆる情報が個人で簡単に収集できる時代。自分の体は自分で守る心がけを教えてくれる今日のようなセミナーに、これからも参加したいです。」(鈴木眼科クリニック・マネージャー=県医師会前で)