【会長挨拶】白内障学会 佐々木洋 会長
総会に際して白内障学会の佐々木洋会長は、「発症のメカニズムもかなり解明され、手術以外の方法で治療が可能になる日もそう遠くないはず。節目となる五十回総会がその革新のスタートになれば」、とし、世界的権威であるオークランド大学のFrank Giblin教授が、日常被曝している紫外線が白内障発症にどう関与しているかなどについて招待講演したほか、第23回日本白内障学会学術費を受賞した永田万由美医師(済生会宇都宮病院)が「眼内レンズ偏移、前嚢収縮および後発白内障解析」と題し、白内障術後合併症抑制に対する研究成果を報告した。また、メインシンポジウムに加えて、基礎分野から「白内障予防のエビデンス」、臨床から「水晶体加齢変化と視機能」、さらに屈折矯正手術学会と合同で「白内障手術と水晶体のサイエンス」と題した特別シンポが企画された。
白内障屈折矯正手術学会でも林研会長「学術面はもちろん、実際の手術に役立つ臨床面を強調した構成。新しい手技やデバイスの工夫で、大きな革新につながることを期待する。若い医師から斬新なアイデアを出してもらえるようプログラムを工夫した」とし、、東京慈恵医科大学の常岡寛教授が「Bimanual phakoとMicro co-axial phacoによる極小切開白内障手術の進歩とその魅力」について特別講演を行った。
今回の総会は、シンポジウムや教育セミナーはオーガナイザーに全企画を任せ、自由で独特になるように配慮して、来場者が楽しめるような工夫が随所でなされた。写真上はその一つ「困難な症例に対するシーレック」と題したシンポジウム。
五人の医師がそれぞれの立場から実例を挙げて解説したあと壇上に勢揃いし、、オーガナイザー二人の質問に、全員が多方面から答えを寄せるというやりとりがとられた。
総会を終えて林研会長は、「2300人を超える参加で有意義な会になった。参加者は現在の白内障や屈折矯正手術のアップデートな情報が網羅できたのでは。一般講演の座長を比較的若い人にするなどの試みも予想外に成功した。どの会場も聴衆の多かったことが非常に良かった」と話している。
皆さんの支えがあって研究を続けられた
第23回日本白内障学会学術費賞に輝いた済生会宇都宮病院勤務の永田万由美医師。
記念講演の冒頭で「受賞に感激している。この場を設けてくださった方々に感謝したい」と謝辞、「研修医のころから術後合併症に着目して研究を続けてきた」としておよそ40分間講演したあと、最後に「研究を続けられたのも病院に勤める皆さんの支えがあったから」と締めくくり、大きな拍手をうけた。