第13回日本成人先天性心疾患学会【一般口演】

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【一般口演 1】成人先天性心疾患外来開設5年後の現状

―― 満下紀恵(口演者)、田中靖彦、小野安生(静岡県立こども病院循環器科)土井修(静岡県立総合病院循環器科)

【背景】

小児専門施設においてキャリーオーバーの問題は年々大きくなっているがその解決は簡単ではない。当科では、05年1月から静岡県立総合病院循環器科内に成人先天性心疾患(ACHD)外来を設け、小児循環器科医と内科循環器医が協同でキャリーオーバー群の診療を行ってきた。

【目的】

ACHD外来開設5年間の現状を把握する。

【結果】

09年12月までの5年間で193例の患者が受診。初診時年齢は12~67歳(中央値21歳)。静岡県立こども病院で小児期に加療をうけ紹介された例が168例。他施設などからの紹介が25例。内訳は先天性心疾患二心室修復術後が112例。フォンタン術後24例、弁膜症10例、Eisenmenger症候群を含むチアノーゼ例9例、心筋症5例。手術不要経過観察例28例、その他5例。

年間受診者のべ数は05年114名、09年は310名。経過観察中の死亡例3例はすべてチアノーゼ残存例。受診頻度は年1~2回が103例、年6~12回17例。複雑心奇形術後の評価や再手術目的などで、紹介後にこども病院を再診した例は10例。また、他科疾患で入院加療の必要な際に転院できなかった例も認めた。

【まとめ】

症例は増えており加療例も増加していたが、連携不十分で完全に成人施設への移行ができない例もあり、診療体制の確立が難しいこともうかがわれた。

【一般口演 2】成人先天性心疾患外来での病診及び病病連携

―― 吉村真一郎(口演者)、松村正彦、芝剛(天理よろづ相談所病院小児循環器科)

成人先天性心疾患(ACHD)患者の外来管理の際にその居住地と基幹病院の距離が問題となる。当院ではその歴史的背景もあり、奈良県のみならず近畿一円、徳島県、愛知県などのACHD患者の受診があり、その定期受診の間隔、緊急受診時の対応そして終末期の管理などに苦慮する事がある。そこで、先天性心疾患診療を開始して40年以上の歴史ある当院の現状を評価することで、今後の日本のACHD診療の問題点に繫がるのではないかと考えた。

08年4月から10年10月までに当科を受診した受診時18歳以上の患者は416名おり、死亡例は6例で当院、他院、自宅での死亡がそれぞれ2例ずつであった。患者のほとんど(93%)は近畿圏に在住していたが、通院に2時間以上かかる地域に住んでいる方が多かったにもかかわらず、当院のみの受診をしている例を多数認めた。これらの患者の重症度による病診および病病連携について検討した。

【結論】

循環器内科が診療に積極的意向をみせた施設は三分の一程度、しかし一定数の循環器内科はACHD診療に積極的★セミナー、研修、教育施設の充実など教育関連のニーズは高い★教育機会の充実、ACHDを専門とする医師の教育体制の整備など段階的整備が必要★施設の都市部での集約化、地方での重点化や施設間の連携が必要。

【一般口演 3】心不全が主因で予定外入院を要した成人先天性心疾患患者の臨床像

―― 根岸潤(口演者)、大内秀雄、宮崎文、矢﨑諭、杉山央、津田悦子、山田修(国立循環器病研究センター小児循環器科)

【背景】

成人先天性心疾患(ACHD)術後遠隔期のQOL低下と関連する緊急予定外入院の主要な原因は不整脈、心不全および感染に関連している。これらのうち、心不全の詳細な臨床像の報告は少ない。

【目的】

術後遠隔期に心不全が原因で予定外入院を要したACHDの臨床像、治療経過の検討。

【対象】

05年1月から09年12月の5年間に当科に予定外入院したACHD患者114例中、心不全が主要原因と判断された連続19例。

【方法】

心不全入院は循環動態の急性増悪、腎不全、蛋白漏出性胃腸症、原因不明の胸水・腹水による入院とした。患者背景、心疾患、心エコー(体心室機能、房室弁逆流)、治療内容、予後などを診療録から後方視的に検討した。

【結果】

対象期間中に19例で39回の心不全入院を認めた。年齢中央値26歳(21~46歳)、男性13例、基礎心疾患は単心室Fontan術後7例、単心室Palliation4例、房室錯位二心室修復術後3例、その他5例であった。体心室機能低下が7例、中等度以上の房室弁逆流を3例に認めた。

入院時初期治療としてカテコラミン投与が2例、利尿剤静脈注が9例、利尿剤内服が19例で入院期間は中央値42日(10~558日)であった。退院後8例(42%)が複数回(2~6回)の入院を要し、内4例(21%)が死亡した。

【総括】

ACHDの心不全入院では入院期間が長く、約半数で入院を繰り返し、その遠隔期死亡率も約20%と高い。今後のACHD心不全患者の予後改善を目指した治療戦略の構築が望まれる。


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