九州医事新報社 - 医療・医学の〝今〟を伝えて62年

保健・医療施設の機能集約 地域医療をトータルで提供

独立行政法人国立病院機構 大阪南医療センター齊藤 正伸 院長(さいとう・まさのぶ)1979年奈良県立医科大学医学部医学科卒業。大阪厚生年金病院(現:JCHO大阪病院)整形外科部長、大阪大学医学部整形外科講師、大阪南医療センター副院長などを経て、2016年から現職。  大阪府の南河内医療圏の地域医療支援病院である大阪南医療センター。同医療圏にある近畿大学病院の移転計画を見据え、今後は行政と連携し、休日急病診療所や保健センターなどの機能を集約。さらなる地域医療の充実に向けて、齊藤正伸院長に話を聞いた。 ―地域における役割は。  1945年に国立大阪病院として創設され、2004年に独立行政法人へ移行。南河内医療圏における地域医療支援病院として、長年、地域の方々に医療を提供してきました。 同じ医療圏にある近畿大学病院が、近く堺市に移転し、医療圏も変わってしまうため、南河内医療圏における当院の役割はさらに、大きくなると考えています。 災害時の対応も含め、急性期医療についてはこれまで以上に強化すべく、2019年4月に救急科を新設しました。救急の患者さんに対して各科の医師が交代で診察に当たっていましたが、専門の常勤医師を2人配置。より多くの患者さんに対応できるよう、今後も増員していく予定です。 近隣施設からの紹介率が増加していますが、在院日数を10日ほどにコントロールすることで、ベッド数は470床から430床に減少。空いたベッドを活用して、人工透析のための「血液浄化センター」を2018年に開設しました。 これにより、これまで入院のみが対象であった透析が、外来でも可能となりました。水や電気の確保に考慮し、近年増加している地震や台風などの非常時でも透析の患者さんを受け入れられる態勢を整えています。 ―行政と連携した取り組みが計画されています。  1次救急医療体制の充実を目的に、河内長野市と連携し、乳幼児健診センター、休日急病診療所、保健センターの機能を集約。それらが一体となった施設を、2021年4月に当院の敷地内に移転します。これにより2次医療機関である当院との連携が図られ、医療をトータルに提供できる体制が整います。 同じく当院に隣接した敷地内に、以前から病病連携を進めていた医療法人敬任会岡記念病院が、建物の老朽化に伴い新築移転してきます。 当院では急性期・救急医療を提供。地域包括ケア病床を有し、急性期から慢性期まで幅広く医療を提供できる岡記念病院とお互いに協力し、地域医療に貢献できるようになります。  現在、地域がん診療連携拠点病院の指定を受けていますが、さらにがんゲノム医療連携病院に参加できるよう準備をしているところです。この地域において、急性期医療をメインに、専門領域でも質の高い医療を提供し、地域の方々の健康と安心を支えていくことのできる病院を目指しています。 ―今後の課題は。  医療を取り巻く環境は、厳しいものがあります。このままでは医療費増で財政が破綻するのではないでしょうか。働き方改革を進めようとすれば、患者さんに無理を強いる部分が出てくるはずです。軽症の風邪や捻挫程度なら健康保険でカバーしないなど大胆な考え方が必要かもしれません。 医師の人材不足は今後の課題の一つと言えます。当院でも眼科、耳鼻科、心療内科は非常勤の方に来ていただいているのが現状です。 まずは、働きやすい病院を目指すこと。医師の時間外労働規制が適用される2024年に向け、当直明けの休みを取り入れていくなど、積極的に取り組んでいきたいと思います。 女性医師の数も増えています。以前から、勤務日数の調整や時短勤務制度などを導入。一人ひとりの希望やライフスタイルに合わせて働ける柔軟な勤務形態も取り入れています。 働き方改革を実現するにはまだまだ人材が必要ですが、今できることを積み重ねていくことが、大切ではないかと考えています。 独立行政法人国立病院機構 大阪南医療センター大阪府河内長野市木戸東町2―1☎0721―53―5761(代表)https://osakaminami.hosp.go.jp/

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「働き方」を模索しつつ意欲的に急性期を追求

市立奈良病院矢島 弘嗣 院長(やじま・ひろし)1979年奈良県立医科大学医学部卒業。米ハートフォード病院留学、市立奈良病院副院長兼四肢外傷センター長、奈良県立医科大学臨床教授などを経て、2015年から現職。  奈良市が開設し、公益社団法人地域医療振興協会が運営する公設民営病院。公的役割と民間マインドを兼ね備える病院として存在感を示している。2015年から病院運営を担う矢島弘嗣院長が描く病院像とは。 ―地域での役割や、救急医療の現状について。  奈良県には五つの医療圏があり、奈良市は単一で奈良医療圏。ここは割とすみ分けができている地域です。3次救急は県の拠点である奈良県総合医療センター(県総)が対応。2次救急は、市の南北を走る24号線より西は県総、東は当院で担当することが多いですね。地域の私立病院は、急性期から回復期まで法人内で完結できる存在として役割を果たしています。  当院の特長は、総合診療科。コモンディジーズの診断・治療だけでなく、ERの機能も持ち、救急搬送の初期対応に当たります。専門医は10人ほどですが、専攻医や研修医のアシストも整えて、受け入れを強化しています。 ―黒字経営を続けているそうです。強みや、今後力を入れたい分野は。  公的病院として採算が取りにくい部門を担う分、利益を出す科でカバーすることが不可欠です。  まずは、整形外科と外科、消化器内科はしっかり人員を確保して集中的にやる。整形には人工関節センターや四肢外傷センターがありますが、最も患者さんが多い脊椎の需要を満たすために、脊椎センターもつくりたいと考えています。外科はロボットの導入を検討中。準備して2020年度中には入れたいですね。  再建形成外科とも標榜する形成外科も強みです。研修の基幹施設として人材育成にも取り組んでいます。常勤医は2020年春で4人になる予定です。乳房や頭頸部に腕を振るえるので、乳腺外科や耳鼻いんこう科は助かっていますね。  放射線科には高度な機械があるものの常勤は1人。もう1人いれば強度変調放射線治療(IMRT)や頭頸部がんにも対応できるので、ぜひ補完したい。  あと足りないのは血液内科ですね。緩和ケア病床は8床。チームで、がん医療をサポートしています。  最終的に全部はできませんので、得意な分野をいくつか持って助け合えばいい。奈良市民は大阪の病院に行くことが多かったのですが、県総と当院でカバーすれば県外へ出る人は減ります。  2019年12月、ようやく地域医療支援病院に指定されたところです。今後は開業医への受診が進み、外来の数は減るでしょう。その分、高度医療に力を発揮したいですね。 ―働き方改革への考えは。  地域医療構想と働き方改革、専門研修におけるシーリング。厚労省がこの三つを同時にやろうとする意味が、ようやく分かってきました。働き方改革を本格的に進めるには医師の数が必要で、それには急性期を集約するしかない。医師が100人以上いる病院は責任を持って救急を全部取る、そうでない病院は回復期を担う、というすみ分けが進むのではないでしょうか。 救急医療にとって働き方改革は足かせになりかねませんが、幸い当院は総合診療科がERを担っていますし、350床に対して常勤は約120人、研修医も16人いる。今後も急性期に対するニーズをすくい取る方向性は変わりません。  医師の働き方改革については、ワーキンググループが発足したばかり。副院長を筆頭に研修医、専攻医、医長、部長、私も入って、半年から1年かけて練る予定です。 どうすれば今の給料を維持できるのか、サービスの質を下げずに効率化できるのか。それぞれが、わがこととして考えないと意味がありません。本格的に取り組めるよう、医師が多いメリットを生かしつつ、患者さんへの理解も促しながら進めていきます。 市立奈良病院奈良市東紀寺町1―50―1☎0742―24―1251(代表)http://www.nara-jadecom.jp/

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「救急医療」の充実と「地域包括ケア」二つのビジョン実現を

JA静岡厚生連 遠州病院大石 強 病院長(おおいし・つよし)1989年鹿児島大学医学部卒業。浜松医科大学、米ハーバード大学、磐田市立総合病院、弥生病院などを経て、2003年遠州病院入職、2019年から現職。  就任後の心境を問うと「正直、こんなに忙しいとは思ってなかったですね」と大石強病院長。これまで通り、外来、病棟、手術に携わりつつ、院内外での対応に迫られる毎日。サポートしてくれる周囲への感謝の気持ちが、原動力になっている。 総合病院としてパワーアップしたい  2003年に遠州病院に入職後、前院長で現在は名誉院長である水上泰延氏の仕事ぶりを見てきた大石強病院長。水上氏の先見の明には驚くばかりだったという。 「特筆すべきは、2007年の新病院移転の際に60床の回復期病棟を立ち上げたこと。急性期病床の削減を見据えた地域医療構想の考えを先取りしていたのかと、思い至りました」 その後も水上氏は診療科の充実や救急体制の再建を推進。2018年には専門医を迎えて、救急科を立ち上げた。「ようやく総合病院としての実態が整ってきたところ。私の役割は、この基礎を引き継いでプラスアルファの価値を肉付けしていくことです」 究極の目標は「急性期から在宅まで」  就任時に掲げたビジョンは二つ。一つは、救急医療のさらなる充実だ。 「2018年の救急車受け入れは4500台。救急科専門医が常駐したことで、日勤帯の救急受け入れはほぼ100%になりました。他の職員の意識も高まりつつありますが、夜間の応需率はまだ80%。これを何とか85%にまで高めたい」 目下の弱点は、脳外科を非常勤医で対応し常勤医がいないこと。加えて最近、脳神経内科医が2人から1人に減ったことも悩みの種だ。「この領域の立て直しは最重要課題の一つ。現在、策を講じている最中で、数年後には手術を再開できればと考えています」 救急の充実は、若い人材への訴求効果も高い。救急医の活躍ぶりに呼応するように、2019年の研修医受け入れではマッチングが10人にも上ったという。 二つ目のビジョンは、地域包括ケアシステムの確立。救急医療を中心としたインフローを増やすとともに、退院後の患者が満足して暮らせるためのアウトフローの充実を図る構えだ。2018年に立ち上げた入退院支援室を核に、試行錯誤していると語る。 「今後、回復期病床へのニーズはますます高まるでしょう。浜松市内唯一のケアミックス病院として、急性期から回復期、さらに在宅に至るまでの一貫した医療サービスを提供していきたいと思っています」 歴代教授の教えを実践笑顔と感謝を忘れない  小中高とサッカー少年だった大石病院長。中学時代に腰を痛めた経験が、整形外科医への道につながった。鹿児島大学卒業後は、浜松医科大学整形外科に入局。井上哲郎初代教授「医者たるもの紳士であれ」「病気を見ずして患者を見ろ」という教えが、自身のモットーとなったと話す。「患者さんに敬意を表し、必ず背広にネクタイで接すること。データだけでなく患者さんの話を傾聴すること。ずっと心掛けていることです」 2代目教授の長野昭氏から学んだのは、診断学の基礎である論理的思考と実臨床。3代目で現教授の松山幸弘氏からは「指導者のあるべき姿」を教えられた。「自分が率先して動き、態度で示さないと人はついてこないというシンプルな教訓です。実践はなかなか大変ですが、やるしかないと」 病院長になってから増えたのは笑顔、そして感謝の気持ちだとニッコリ。「医師だけでなく看護師、ヘルパー、事務、ボランティア、警備員など、あらゆる人と接する機会が増えました。それぞれが、病院のために頑張ってくれていることを実感します。笑顔で感謝すること。そして自分から動くこと。日々の積み重ねを大切にしたいですね」 JA静岡厚生連 遠州病院静岡県浜松市中区中央1-1-1 ☎️053-453-1111(代表) https://k-enshu.ja-shizuoka.or.jp/

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地域の中核病院として災害・救急医療を強化

いわき市医療センター福島県いわき市内郷御厩町久世原16 ☎0246―26―3151(代表)http://iwaki-city-medical-center.jp/  1950年の開院以来、いわき医療圏の中核病院として地域の医療を守り続けてきた、いわき市立総合磐城共立病院。2018年12月25日に「いわき市医療センター」と改称し、新たなスタートを切った。そこには災害・救急医療における最新設備がそろっている。 ◎東日本大震災を機に災害に強い病院へ ホスピタルストリートには医療ガスが配管され、災害時の対応が可能に   施設の老朽化や耐震性の問題などにより、新病院の建設計画に着手したのは2010年。順調に計画が進んでいたとき、東日本大震災が発生した。新谷史明いわき市病院事業管理者兼いわき市医療センター院長が当時を回想する。 「建物の被害はほとんどなかったのですが、ほぼすべての入院患者さんを屋外にいったん退避させました。そして、落ち着いた後に戻っていただこうと考えていたところ、多くの人が不安で戻りたくないと訴えたのです。この経験から、誰もが安心して避難できる免震構造で、災害時も病院機能を持続可能な施設が必要だと強く感じました」 その後、再び計画が動き出し、2016年2月、新病院の建設に着工。そして2018年12月に地上13階建て、屋上ヘリポートを備えた「いわき市医療センター」が開院した。 新病院は、免震構造を採用。インフラが遮断された場合でも、72時間以上の医療活動が可能となる自家発電や貯水槽などを完備。講堂やホスピタルストリートに医療ガスの配管を設置。駐車場の一部には簡易トイレ用のマンホールが用意されている。 また、エネルギーの供給設備を一括して運転・管理する会社と契約することで、エネルギーの安定供給と省エネ・省コストを実現した。 ◎スムーズな動線と横断的な総合医局制度  新病院のフロア構造を考える際、新谷院長がこだわったのは「動線」だ。以前の施設は増築を重ねた影響により、使い勝手があまり良くなかったという。 その教訓を踏まえ、新病院には全体で計17基のエレベーターを配置。医師やスタッフがどこにでもスムーズに移動できる構造となった。加えて、診療科の医局についても、新谷院長の考えが取り入れられている。 「以前は各科の医局が離れた場所にあり、こちらの動線も気になっていました。診療の相談にも煩雑な手続きが必要で、各診療科の医師のいわゆる横のつながりが希薄だったのです。そのため、全ての医師が一堂に会して顔を合わせるように『総合医局制度』を導入。プライバシーに配慮しつつ、コミュニケーションの場となる共有部分を多く取り入れています」 ◎「慈心妙手」を掲げ患者さん中心の病院に  いわき市医療センターでは、基本理念として「慈心妙手(じしんみょうしゅ)」を掲げている。 「相手を思いやる気持ちで患者さんに接し、優れた医療技術で診療・治療を行う」という意味だ。この理念は新病院の設備にも反映されている。「カフェを併設したラウンジ、コンビニエンスストアを設けるなど、患者さんのアメニティーに配慮しました」 また、利便性向上の一つとして「患者サポートセンター」を新設。「ここでは入退院支援、地域医療機関との連携、医療福祉相談などを一括で行っています。最新の医療機器を含め、これまで以上に患者さんに思いやりのある機能がそろったと思います」 新谷史明 いわき市病院事業管理者兼いわき市医療センター院長  少子高齢化や医師不足など、地方の医療機関が抱える課題は多い。地域医療構想に基づいた医療機能の役割が求められる中で、新谷院長はどのような未来を見据えているのだろうか。 「高度医療や災害・救急医療を推進しつつ、地域医療支援病院として各医療機関との協力体制をより強固にしたいと考えています。もちろん、地域の皆さんとのつながりも大切です。市民向けの健康講座などを通して、今後も地域の健康を守り続けます」

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主要部門の機能を集約最新の医療機器を導入

社会福祉法人聖隷福祉事業団 聖隷横浜病院 横浜市保土ケ谷区岩井町215 ☎045─715─3111(代表) http://www.seirei.or.jp/yokohama/  2019年7月16日、聖隷横浜病院は、救急や外来、手術など主要部門の機能を集約した新外来棟(通称A棟)での診療を開始。地域からのニーズに応えるべく、次の計画に向けて動き出している。聖隷横浜病院の林泰広病院長に、話を聞いた。 ◎大規模災害と患者のニーズに対応 新設された新外来棟は、地下1階、地上4階建て。大規模災害時に対応できるよう免震構造を採用。旧外来棟は、以前の国立横浜東病院時代に使われていた建物のままで、手狭さもあり一新する必要があった。 新築の話は以前からあったものの、着工となったのは、林病院長の就任後である2016年。小高い丘の上にあり、アクセスが不便なため、この場所で良いのかという議論も持ち上がったという。林病院長の就任の理由の一つには、この新外来棟の建設を推進させることもあった。 「以前の病棟は築50年。玄関はドアが開くと風が吹き込み、待合室にいる患者さんに、かなり寒い思いをさせていました。新外来棟は、特に高齢の方の使いやすさを重視した機能的な造りになっています。例えば、エスカレーターは、車いすに乗った高齢者の転落事故が報告されていることから、設置を見送ってエレベーターだけとしました」 玄関や外来受付は、バス通りから直接アクセスできる2階に ◎最新の機器導入と救急の強化  新外来棟には、外来診療部門のみならず、救急室、健診センター、人工透析室、内視鏡室、カテーテル室、患者支援センター、手術室などを集約した。利用者の移動しやすさを考えた動線、廊下の広さや明るさに配慮している。 外来診察室は、35室から53室に、手術室は4室から5室に、そして透析ベッドは18床から20床になった。将来の医療の変化に対応できることも考えて、設計をしている。 また、救急部門の充実も大きな特徴の一つ。迅速な診断・治療に対応できるよう画像診断エリアを近くに配置し、画像診断装置の刷新と増設も行った。 「救急室の近くには高精細な画像が撮影できるMRIとAI(人工知能)を搭載したCTを増設しました。さらに、肺機能を評価できるエックス線撮影装置や、3D画像により隠れた乳がんを発見しやすいマンモグラフィー装置も導入しています」 救急搬送された患者は、これらの画像診断装置をすぐに利用し、高度な救急医療を提供できるように配慮されている。高機能な画像診断機器を設置するためには広いスペースが必要だ。新外来棟になったことで、面積が確保でき、これらの新たな機器の導入が可能となった。 最上階の4階には、大会議室を設置。院内の職員だけではなく、地域の医療関係者への研修や、地域住民対象の公開講座などにも利用されている。   毎月1回、音楽隊(近隣の教会)による、演奏会も行われている。 ◎2020年度増床に向け次のステップへ  聖隷横浜病院は、今回の新外来棟の建設がゴールではないという。次のハード面の整備に向けて、すでに動き出している。 2020年度は、緩和ケア病棟20床、回復期リハビリテーション病棟38床、地域包括ケア病棟9床の計67床を増床する予定だ。「この増床には、旧外来棟を利用しようと思っています。国立病院だったため建物の構造がしっかりとしており、耐震構造は問題ありません。工期の短縮になります」 林泰広病院長  今回の新外来棟建設を含め、地域住民に親しまれる病院、利用しやすい病院づくりを続けていく。 「聖隷横浜病院の理念は、隣人愛、質の高い医療、そして地域貢献の継続です。今後もこの理念のもと、急性期から回復期、そして緩和ケアまでのケアミックス型の病院として、地域の病院とも連携しながら、強化していきたいと思っています」

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高度医療機能をさらに高め札幌医療圏のニーズに対応

市立札幌病院向井 正也 院長(むかい・まさや)1981年北海道大学医学部卒業、同附属病院(現:北海道大学病院)第二内科入局、米ニューヨーク州立大学留学などを経て、1997年市立札幌病院入職、2019年から現職。  2019年末に東京五輪マラソンの札幌開催コースが決まり、年明けの市内は慌ただしさを増している。コースの注目ポイントの一つが北海道大学ポプラ並木。選手が疾走するその並木にほど近い場所に建つのが市立札幌病院だ。2019年、開設150年を迎えた節目の年に就任した向井正也院長に、現状と今後の目標を語ってもらった。 ―開設当初の様子は。  1869年(明治2)年、札幌開拓のため隣接の小樽市銭函に設置された仮役場の片隅に設けられた小さな診療所がスタート。翌年、市内の官舎に仮病院が置かれ、千葉県出身の医師、斎藤龍安が着任、診療に当たりました。病院らしい本格的な建物の建設は20年後。外国人医師のグリム院長自らが設計し、その瀟洒(しょうしゃ)な外観デザインは評判となりました。市外から見学に訪れる人が少なくなかったと言われます。残念ながら建物は大正時代に焼失しました。 ―現在の建物は。  1995年の竣工です。敷地面積約4万3800平方㍍、延べ床面積約6万4500平方㍍、地下2階、地上10階、病床数672、屋上にヘリポートを設置しています。道央圏の3次救急の中核を担う救命救急センターを中心とする急性期医療をはじめ、総合周産期母子医療、精神医療などを提供。33の診療科を擁する基幹総合病院として、ほかの医療機関などからの受け入れ要請を断らない医療の実践を使命にしています。 1日平均患者数は外来約1600人、入院約550人。ベッド稼働率は一般病床では90%前後で推移。また災害拠点病院として72時間、電力供給可能な大型の非常用発電機を備えています。2018年、最大震度7を記録した北海道胆振東部地震では、札幌を含む道内広域でブラックアウトが発生しましたが、当院は3日間、診療をフルに行いました。 ―現在の取り組みを教えてください。  2013年に承認された地域医療支援病院の取り組みに力を入れています。 具体的には、2018年度の当院の紹介率82%、逆紹介率109%と高い比率になったのをはじめ、救命救急や周産期母子など各センターを中心とする24時間体制の救急医療の一層の強化。さらに、MRIやCTなど多数の検査受託、かかりつけ医と当院の医師が共同で診療に当たる開放型病床の運用、各種症例検討会や講演会の多数開催など、各種の取り組みを行っています。 北海道の全人口の4割を超える道民が暮らす札幌医療圏の人口増加は、今後数年でピークを迎え、以降は徐々に人口が減少し、2045年にはピーク時に比べ10%以上少なくなると予測されています。 一方、高齢者率は伸び続け医療需要が増加すると見込まれています。こうした変化への対応が今から求められています。 ―具体的な対応策は。  救急医療に対するニーズが特に増加すると見られており、高度急性期機能を高める取り組みが必要です。これを踏まえ、2019年度から実施の「市立札幌病院中期経営計画」の基本目標の一つに、医療を担う人材育成および先進医療への貢献を掲げています。 市民の期待に応える医療を継続的に提供するには、将来の医療を担う若い人材、多様な人材の育成が欠かせません。またゲノム医療、再生医療、AI医療など先進医療の動向を注視し、市民に還元できるよう適切に対応していくことも重要です。 人材育成は研修医のみならず専門医を含め、関連大学から各部門への実習生の積極的な受け入れを実施します。先進医療については、札幌市が取り組む医療関連産業集積事業に協力し、大学病院や研究機関と連携して適応患者の紹介推進など、新規の取り組みを行っていきます。 市立札幌病院札幌市中央区北11条西13―1―1☎011―726―2211(代表)https://www.city.sapporo.jp/hospital/

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日本社会医療法人協議会 会長 西澤 寛俊

 2020年の新春を迎え、謹んで新年のお喜びを申し上げます。新元号「令和」となってから初めての新年になりますので、皆さまにおかれましては気持ちを新たに一歩を踏み出す年となることと存じます。 一般社団法人日本社会医療法人協議会は2013年に設立、今年で8年目を迎えました。 2005年に発足された前身である特定・特別医療法人の会設立から数えると、今年で16年目です。 社会医療法人は、2006年医療法改正において、「公立病院改革が進む中、民間の高い活力を生かしながら、地域住民にとって不可欠な救急医療等確保事業を担う公益性の高い民間法人」として制度化されました。 地域の住民・患者の協力を得た上での、地域の要求に応じた公益性の高いサービスの提供と公的な運営が要件となっております。2019年10月時点、全国で310法人が社会医療法人として正式認可を受け、各地域において積極的に活動をしております。しかしながら、社会医療法人制度についての創設の経緯や意義、社会医療法人のあり方など、地域の方々や各法人でも十分な認識をされているとは言い難い現状です。 現在、2040年を展望した医療提供体制の改革が進められています。その実現に向け、2025年までに着手すべきこととして「地域医療構想の実現等」、「医師・医療従事者の働き方改革の推進」、「実効性のある医師偏在対策の着実な推進」を三位一体で推進するとしておりますが、いずれも非常に難しい課題です。 しかし、今後の少子化・人口減少が進む中、持続可能な地域医療提供体制構築のために、医療界が積極的に取り組む必要があることは言うまでもありません。 また、社会医療法人は設立時の趣旨・理念を踏まえて、「公益性の高い医療の担い手」という期待に応え、これらの改革の中核的な役割を果たし、新しい時代において地域社会から信頼され、地域医療をけん引する中心的な役割を担う責任があります。 当協会は社会医療法人を広く地域社会に認知していただくための活動および、会員法人が地域で活躍するための支援など、今後さらに活発な活動をしてまいりたいと思います。 引き続き皆さまのご理解・ご支援を賜りますようお願いするとともに、本年の皆さまのご多幸を祈念いたしまして、年頭のごあいさつとさせていただきます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

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福岡大学病院 病院長 岩﨑 昭憲

 明けましておめでとうございます。皆さまにおかれましては健やかな新年をお迎えのこととお喜び申し上げます。 福岡大学病院長に就任し初めての年始を迎えました。2019年は、一世一元により平成から新元号「令和」になり、2020年は東京オリンピック開催が予定され大きな出来事がめじろ押しです。また医療に目を向けると、今春からの診療報酬改定は大学病院にとって期待と不安が交錯する年初でもあります。医師らの人件費や技術料に当たる「本体部分」が0.55ポイント増加、一方で薬価は1%、全体でもマイナス改定のようです。また医療情勢は、今後、団塊の世代が後期高齢者となり疾病構造や受療行動が変化することや、働き方改革関連法(時間外労働の上限規制、有給休暇取得の義務化等)を受けて各医療機関の共通課題になっています。 勤務軽減に、他職種へ一部委譲するタスクシフティングなどが提案されていますが、思うように運営できているものは少なく、まだまだ今後の課題です。診療報酬に働き方改革を後押しするための費用0・08%が見込まれ、少し明るい兆しもあります。これら社会情勢のなか私たちは、「人にやさしく、業務に厳しく」を掲げた取り組みを行いたいと思っています。 福岡大学病院の対象医療圏は、福岡市西部・南部地区の約100万人であり、地域医療の中核機関として高度医療を安全に提供するさまざまな創意工夫を行っています。 可能な限り施設・設備充実をはかるとともに、病院組織改編や多様な施設との連携推進に取り組んでいます。絆病院や連携医療機関登録を増やすための地域連携室の強化や、大学関連の医療機関である福大筑紫病院、福大西新病院、博多駅クリニックとも緊密な医療協力を行っています。まさに2019年の流行語大賞にもなった「ONE TEAM」です。 また新本館建設は、基本設計が終わり2023年竣工に向けて順調に準備が進んでいます。 大学病院内ではさまざまな業務が増えていることもあり、副院長の補佐職を倍増させました。この中には、大学病院機能の一つである教育、研究を意識した増員も含まれています。私たちには優秀な医療職を育て社会に送り出す責務があります。また専門性の高い人材を育てることは、ひいては特定機能病院としてのレベルを維持することにつながります。 多様化するがん医療、掲げてきた「断らない医療」の継続や救急医療体制の充実、ロボット支援手術や移植医療などの高度先進医療を安定的に提供し、さらなる飛躍の年にしたいと思います。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

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