新年明けましておめでとうございます。学生、教職員ならびに日頃から九州大学をご支援いただいている皆様におかれましては、健やかな新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。
2014年10月に総長に就任し1年3ヶ月が経過しました。社会から大学に寄せられる期待の大きさを強く感じているところです。
本学では、創立百年を機に「躍進百大」というスローガンを掲げ、すべての分野において世界のトップ百大学に躍進することを目標としています。
昨年はその第一歩として、「九州大学アクションプラン2015」を策定、2016年はこのアクションプランに基づく取組を着実に進め、本学をダイナミックに前進させる1年にしたいと思います。
■アクションプラン(骨子)
- 世界最高水準の研究とイノベーション創出
- グローバル人材の育成
- 先端医療による地域と国際社会への貢献
- 学生・教職員が誇りに思う充実したキャンパスづくり
- 組織改革
- 社会と共に発展する大学
現在、私たちは、地球温暖化や環境汚染、食料・水問題、緊迫した国際情勢など、地球規模の課題や我が国特有のものとして世界に類を見ない少子高齢化、厳しい財政状況などの課題に直面しています。
これらの課題に立ち向かうには、文理の枠組みを超えた総合的な知の力が必要とされ、本学は基幹総合大学としての強みを活かして課題に挑戦するための知見を提供する必要があります。
このような観点から、本学はアクションプランの重点取組として「人文社会科学分野等の再編成・機能強化」を推進します。
また、現代は知識基盤社会であり、グローバル競争の中で繁栄を維持するためには大学がイノベーション創出の拠点にならなければなりません。
本学は、知の世界的拠点としてイノベーション創出に取り組み、アジアにおけるイノベーションの源泉"InnovationPowerhouse in Asia"となるよう、本学の強みである研究分野を強化し、社会に貢献していきます。
その具体策として、エネルギー関連分野のネットワーク化を手始めに、研究教育機構(仮称)を設置してまいります。
教育面については、グローバル人材育成に努めます。その重要な役割を担う新学部の設置に向けて、具体的な検討を進め、準備状況を国の内外を問わず高校関係者など外に向けて発信していきます。
本年4月から始まる第五期科学技術基本計画においては、次世代を担う人材育成と多様な人材の活躍促進が柱になっています。人材の多様性は学術研究の多様性を担保し、イノベーション創出の原動力です。国籍、性別の壁にとらわれることなく、すべての能力を最大限発揮し活躍できる環境づくりを促進していきます。
キャンパスの移転については最終段階の第3ステージを迎えています。昨年は伊都キャンパスに理学系の総合研究棟が竣工、さらに2018年度の移転完了に向け、12月には農学系研究棟の建設が起工したほか、総合図書館の建設も着々と進んでいます。
2月からは人文社会科学系研究棟の建設に着工します。また、最新の情報通信研究設備を備えた「情報基盤研究開発センター」の新棟は、本年中に竣工する予定です。病院、筑紫、大橋の各キャンパスの整備も引き続き進めてまいります。
九州大学として戦略的な情報発信体制づくりに取り組みます。九州大学の卓越した研究成果や優れた教育システムを学外に積極的に発信していきます。同窓生や地域の方々など、大学に関係する全ての方々に"九大情報" を届けるため、情報発信機能を強化します。
また、最近の科学技術は、産学官民が学問分野を超えて交流することによってスピード感のある実用化、社会実装を目指すようになっています。九州大学は産学官民の連携を積極的に推進し科学技術を牽引することにより、地域産業の創出と発展に力強く貢献していきます。
最後に、本年が皆さまにとって幸多く実り多い一年となりますことを心から祈念いたします。