- 7月23、24日の両日、吉塚地蔵尊の夏季大祭が行なわれた。この時期に例年開かれているもので、夜は日本舞踊や「おやじバンド」の演奏があり、2晩で100人ほどの地域住民を楽しませた=写真
- どんなにささやかな祭りにも時代や世相が反映される。八女市星野村が豪雨で壊滅的な被害を受け、大祭の目玉である御良八幡太鼓の奉納が中止になった。
- 「昔はすごい祭りだった」と懐かしむ大祭の世話人や、ステージの出演者、そして観客、その誰もが高齢化していることも、祭りの継続に立ちはだかる。派手だったものが地味に甘んじて久しい。
- しかし希望も見える。医師会博多第2班を筆頭に、地元の商工業者や各種団体、個人から、今年も例年と変わらない奉納金が寄せられた。これを、祭りの継続を望む声なき声だととらえれば、明日につながる弾みになる。
- 希望がある限り人間はしたたかである。吉塚商店街ではさっそく募金箱を置き、買物客に星野村への義援金を募っている。7人の世話人も、後継者の育成が急務だと口をそろえているから、手を打つのは早いだろう。
- おそらく来年は、星野村復活の奉納太鼓を吉塚で聞けるはずだ。高齢者は依然多いにしても、今年には見られなかった若い顔ぶれが、主催者や観客の中にあるだろう。
- 傍目には小さな祭りでも、地元で生まれ育ち、生涯を終える人々には、さまざまな思いの交錯する大切な催事だ。そしてこのような状況は、日本中にあるに違いない。