九州医事新報社 - 医療・医学の〝今〟を伝えて62年

地域の医療ニーズに対応し、新病棟建設で病床を増減

独立行政法人国立病院機構 神奈川病院橋誥 壽律 院長(はしづめ・としのり)1984年慶應義塾大学医学部卒業。国立病院機構茨城東病院外科診療部長、国立病院機構神奈川病院統括診療部長、同副院長などを経て、2018年から現職。  1939年に傷病軍人神奈川療養所として開院し、一般診療、結核医療、重症心身障害児(者)医療の分野を担ってきた国立病院機構神奈川病院。現在、念願だった新病棟建設も着々と進んでいる。橋誥壽律院長に、地域における病院の役割や、今、話題となっている公立・公的病院のあり方などを聞いた。 ―公立・公的病院の再編統合について。  2019年9月に厚生労働省が公表した再編統合の検討が必要な424の公立・公的病院の一つに、当院が含まれていたことは、とても大きな出来事でした。職員も驚きましたが、患者さんや地域の方々にも、かなりのご心配をおかけしました。 しかし、よく話を聞いてみると、今回の再編統合の目的は、病床のダウンサイジング、地域全体での機能分化などを進め、地方の医療事情に合った病院運営をしていくこと。その目的に、きちんと対応していくことが、何よりも重要であると捉えました。 湘南西部医療圏は、今後、人口そのものは微減にとどまるものの、高齢者の割合が増えていくと言われています。そのことから、急性期病床よりも、今後は回復期病床が必要になってくると思われます。 当院は、2021年1月完成予定で新病棟建設工事を進めています。病床は地域のニーズに合わせてダウンサイジングします。急性期病床は140床から130床に、一方、利用者が増えることが見込まれる回復期病床は40床から50床に増床します。呼吸器科病床は結核の患者数が減っていることから、一つのフロアを呼吸器科と結核とで分けるユニット化を実現し、現在の50床から30床にと計画しています。 ―病院の建て替え工事が始まっています。  2019年の4月に、ようやく一般病棟の建て替えに着工できました。昭和40年代に建てられた病棟は、古さやスペースの狭さが懸念され、患者さんにもご迷惑をおかけしていました。2021年1月には新病棟が完成します。新病棟は、一般病棟だけでなく、手術室や中央材料室、リハビリテーション室も移転する予定です。 病院の建て替えは、3段階で進めています。最初は2014年の重症心身障害児(者)病棟で、患者さんの高齢化やニーズが拡大していることから100床から120床に増床しました。次が今回の新病棟の建設になります。最終的には、外来管理棟も建て替えを目指したいと思います。変わっていく時代のニーズに合った医療を、ハード面でも常に提供していきます。 ─地域医療における役割について。  秦野伊勢原地区において、唯一の地域医療支援病院です。その取り組みの一つとして、10年以上前から、「地域医療連携症例検討会」を年2回開催してきました。地域の医師、看護師、訪問看護師など100人ほどが集まり、紹介いただいた患者さんをどのように治療したかなど、症例をもとに意見交換し、相互理解に努めています。 政策医療である結核や重症心身障害児(者)医療の分野については、この領域 を担う医療機関が少なくなっていることもあり、今後も引き続き、当院の果たすべき役割の一つとして対応していきます。 一般診療においては、呼吸器の専門病院として、肺がんや非結核性抗酸菌症など、手術が必要であったり、治療が難しかったりする呼吸器疾患について、しっかりと取り組んでいきます。 時代が移りゆく中で最も大切なことは、あらゆる課題を客観的に見つめ、地域の医療ニーズを常に意識すること。そしてニーズの変化に合わせて医療機関も柔軟に変化していくことではないでしょうか。そして今後、それがますます求められていくだろうと感じています。 独立行政法人国立病院機構 神奈川病院神奈川県秦野市落合666―1☎0463―81―1771(代表)http://kanagawa-hosp.jp/

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新外来棟の運用開始2020年9月に全面完成

独立行政法人国立病院機構 旭川医療センター北海道旭川市花咲町7─4048 ☎0166─51─3161(代表)https://asahikawa.hosp.go.jp/  旭川医療センターは、1901年に旧陸軍第七師団の衛戍(えいじゅ)病院として創設され、以降、北海道旭川市で地域医療と政策医療を担っている。外来棟建物の老朽化に伴い、2017年に建て替え工事を開始。2020年1月に新外来管理診療棟での診療がスタートした。旭川医療センターの西村英夫院長に、話を聞いた。 ◎救急センターを拡充二つの診療科を開設  川医療センターは2010年に病院名を道北病院から変更した。以降、国立病院機構の使命である政策医療を担うことに加え、急性期医療に注力してきた。救急車による搬入件数は、最近は900件を超えている。 運用を開始した新外来管理診療棟は地上4階建てで、1階の救急センターは、処置室や化学療法室を備え、従来よりも拡大された。4階には、医療教室や講演会などを開催できる大会議室も新たに設置。大会議室は、災害発生時には避難所として利用することも可能だ。 一度に2台の救急車を受け入れることができる救急センター   1階は外来診療室を増やしたほか、診察室、採血・中央処置室、各種検査室、放射線治療室などを設置。外来患者の動線を集約した。患者の2~3割が車いすを利用し、エスカレーターを利用できないことから、エレベーターがあれば十分と判断。エスカレーターを設置していない。 新外来管理診療棟の運用開始に合わせて、最新の機材や設備がそろった泌尿器科を開設した。また、今後、内視鏡外科の開設も予定しており、より専門性の高い内視鏡手術にも対応していくという。 西村院長は「新しい外来棟を建設し、設備を拡充したということは、ここ旭川市花咲地区で、これからも医療を継続していくと宣言したようなものです。地域住民の皆さんには、これからも安心して医療を受けていただきたい」と語る。 ◎建て替え工事は進行中2020年9月に完了予定  新外来管理診療棟の敷地面積は、旧外来棟よりも広くとられている。建物中央部には光を取り入れる「光庭(こうてい)」が設けられ、院内には明るく開放的な雰囲気がある。来院した人に快適に過ごしてもらいたいという思いが、建物の設計に込められている。 現在は、正面玄関や売店などの建設、駐車場や庭などの外構工事、既存建物の解体工事が進行中。2020年9月には全ての工事が終了し、新しい建物での旭川医療センターがスタートする。 ◎地域住民に寄り添う医療を提供する  旭川市の高齢化率は33・5%(2020年1月1日現在)。しかも、同センター周辺は、かつて新興住宅地として開発された場所であるため、近年、住民の高齢化が一斉に進み、介護のニ ーズが急激に高まってきている。 「2018年に地域包括ケア病棟を開設し、在宅・生活復帰に向けた支援、在宅療養中の患者や介護施設入居者の緊急時の受け入れを行っています。近隣の医療機関と連携し、患者さんの緊急時に対応できる体制を確保しています」 旭川医療センターは、地域医療支援病院の認可を受け、在宅療養後方支援病院の届け出をしている。 「目指しているのは、この地域で人生を終えるときに、ここに旭川医療センターがあってよかったと思ってもらえる病院です」 西村英夫院長  緩和ケアを希望するがん患者を支えていくために、医師による訪問診療をすでに始めており、訪問看護ステーションを設置することも検討中だ。 地域住民との交流にも積極的だ。脳神経内科の病気について解説する「地域住民セミナー」を定期的に開催。医療機器の体験コーナ ーや健康相談コーナー、ステージイベントなどを実施する「健康まつり」も建て替え工事が始まるまでは年1回開いてきた。2020年はこの健康まつりが復活する予定だ。

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救命救急 小児医療 災害医療のさらなる充実を

地方独立行政法人北九州市立病院機構 北九州市立八幡病院 北九州市八幡東区尾倉2―6―2 ☎093―662―6565(代表) https://www.kitakyu-cho.jp/yahata/  これまで北九州市八幡東区を中心とする地域の救急医療を支え、市民に貢献してきた北九州市立八幡病院が、2018年12月に新築移転。2019年4月から地方独立行政法人北九州市立病院機構に移行した。これを機に、さらに信頼される病院となるための新たな機能とは、どのようなものか。 ◎救急、小児、災害をさらに強化 5階小児病棟の中央に設けた憩いの広場  新病院では、①救命救急②小児救急③災害医療の三つを政策医療に掲げ、総合的な診療体制の維持に努めている。  「市立病院として、地域医療のニーズに応えられる施設を完成することができました。今後は、もう一度受診したいと思っていただけるような、心が和む、信頼される病院運営を目指します」と、伊藤重彦院長。  新しい病院の建物は、免震構造で地上7階建て。病床数は312床。延べ床面積は以前の約1・2倍、敷地面積は約2倍もの広さになったという。  屋上にはヘリポートを新設。海上保安庁の大型ヘリの離着陸が可能で荷重10㌧にも耐える設計だ。海難事故や山林事故における医療スタッフの派遣、およびヘリ搬送傷病者の受け入れ拠点として期待されている。  また、病院敷地内には北九州市消防局の常設型救急ワークステーションも設置されている。新病院の1階は、分散していた救急関連部門を集約し、効率のよい動線を確保した。  さらには、多発外傷にも対応可能なCT検査装置とバイプレーン機能搭載の血管造影装置、手術台が1カ所にそろうハイブリッドオペレーションルームを導入。これにより、実際の処置にかかる時間が数十分から1時間程度に短縮でき、多発外傷患者などのより迅速な救命が可能となる。  災害時の医療活動スペースの確保には各階、駐車場も含め十分に配慮した。応急処置に必要な医療ガスの配管は一般病棟を含め、エントランスホールや会議室、図書館にも設置。2階の一般外来にある待合用のソファは、背もたれを倒すと心臓マッサージ対応のベッドに早変わりする。 ◎「DMOC」による災害対策への期待  災害が多発する昨今、災害医療の対策は急務である。東日本大震災直後の2011年11月に設置された、災害医療研修センター(DMEC)は、「災害医療作戦指令センター」(DMOC)としての機能も保持しており、地域において重要な役目を担っている。  DMOCは北九州市地域防災計画及び北九州市医師会医療救護計画に基づき災害発生時に設置され、これにより行政機関、医師会、薬剤師会などから寄せられる被災者情報を一元管理することができるようになり、人的・物的医療資源の的確な投入につながっていく。  「DMOCには、医師会をはじめ、保健福祉局、消防局、薬剤師会、看護協会、JMAT(日本医師会災害医療チーム)なども集まります。物品の調達、避難所開設なども指示することになっており、このシステムを全国に広げていけたらと思っています」 ◎「小児救急・小児総合医療センター」を設置 伊藤重彦院長  新病院の「小児救急・小児総合医療センター」は、30人以上の小児科医がそろう充実した診療体制を誇る。24時間入退院可能な84床の小児救急病棟と8床の小児集中治療室(PICU)を有し、年間5万人以上の外来患者に対応している。  5階の小児病棟中央部分には、入院している子どもたちのために、青空が見える憩いの広場やファミリールームも設けた。「小児救急・小児医療総合センターという名前に変わったことで、小児がんを含め小児医療をトータルで診るようになりました。被ばく量を抑えるCTを導入するなど、最新の設備と開かれた医療を実践していきます」  地域医療、災害医療に欠かせない病院として、さらなる期待が寄せられている。

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黒字経営化を経て念願の新病棟が完成

独立行政法人国立病院機構 村山医療センター 東京都武蔵村山市学園2—37—1  ☎042—561—1221(代表)http://www.murayama-hosp.jp/  1941年に陸軍病院として開設以来、国立病院機構村山医療センターはその歴史を刻んできた。脊髄損傷、骨・運動器疾患の分野において高度かつ専門的な医療を提供しており、全国から多くの患者が来院している。2019年3月に新病棟を完成させ、新たなスタートを切った村山医療センターの朝妻孝仁院長に話を聞いた。 ◎経営改善を図り新病棟建設へ  開設以来、骨・運動器疾患、すなわち整形外科およびリハビリテーション科を軸として診療を行ってきた村山医療センター。最新機器も積極的に導入し、最先端の治療を提供してきた。  しかし、病棟は築50年以上にもなる。「設備の老朽化は患者さんにとってデメリットばかりです。新病棟建設は私の赴任以前から職員全員の願い。最優先の改善事項と思い、実現に向け、やるべきことを明確化しました」と朝妻院長。  まず取り組んだのは、経営の安定。国立病院機構本部から、新病棟建設は当時の経営状況ではとても無理と指摘を受けた。そこで、具体的な数字を試算し、目標値を設定。入院患者数を増やす努力をした。  「独自のルートで医師も集めることができました。いい人材が集まると、互いに切磋琢磨(せっさたくま)してよりレベルが上がる。おかげで手術件数も増え、黒字経営へ転換するきっかけになったと思います」  スタッフ一丸となって経営状況を好転させることに成功し、新病棟建設の承認が出た。完成までは約4年を要したものの、予想よりも早い道のりだったと振り返る。 ◎個室を増やしたことで利用率が上昇 患者やその家族がくつろげるよう十分な空間を確保した各階デイルームのための空間  コンセプトは「快適な療養環境の提供とプライバシーの重視」だ。「当院の特性として、患者さんは身体的に不自由な方が多いです。車椅子や歩行器での移動がスムーズに行えるよう、廊下の幅を従来の約2倍に。トイレ、浴室およびベッド周囲にも十分なスペースを確保しました」  主に脊髄損傷の患者が入院する4人床には、各病室に特別な空調装置を設置。脊髄損傷の患者は動くことができないため、排泄(はいせつ)をベッド上で行うという。その際に問題となるにおいの問題を解決するための装置となっている。  「個室数も従来は19室でしたが、新病棟では63室と大幅に増やしました。個室利用率は去年まで70%だったため、個室が埋まるか心配でした。現在、利用率は90%を超えており、個室から埋まる時もあるほどです」  新しい回復期リハビリテーション病棟のデイルームでは、すべての患者が車椅子で集まって食事を取ることができるようになった。一般の病院のデイルームの2〜3倍の広さを確保している。患者が快適な入院生活を送ることができる工夫が、随所に見受けられる。  「高度な耐震性も確保しています。さらに、旧病棟は一部を残し、災害に備えての食料備蓄倉庫や器具の保管場所として、しばらく利用する予定です」 朝妻 孝仁 院長 ◎全国から患者が訪れる病院に  患者は病院近辺、西多摩地区からはもちろん、山梨県、長野県、新潟県、遠くは沖縄県からと、広範囲から訪れている。  「地域医療、地域包括ケアシステムを整える。基本的なことは踏まえた上で、当院の強みでもある脊椎脊髄の分野において、その専門性を生かし、全国から患者さんが訪れる病院にしたいと思っています」  次なる課題は1960年代に建てられ、同じく老朽化が問題となっている外来棟の新設。昔ながらの狭い廊下、動線の悪さなど、問題は山積みだ。  「今後とも地域に貢献できる病院であるために、新病棟という整った環境の下で、政策医療と地域医療のより一層の充実を図っていきたいと思います」

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進化のための土台は築いた さらに力を蓄えていく

独立行政法人 国立病院機構 岩手病院 千田 圭二 院長(ちだ・けいじ)1981年東北大学医学部卒業。国立療養所岩手病院(現:国立病院機構岩手病院)神経内科医長、広南病院神経内科医長、岩手病院副院長などを経て、2014年から現職。  岩手県と宮城県の県境にある一関市では、地域や職種の壁を越えた連携が不可欠だ。医療提供体制を少しずつ整備し、ベースは築き上げた。「これからも地道に進歩していく」と言う岩手病院・千田圭二院長が見つめる現状と今後は。 ―地域の状況を。  一関市は岩手県の最南部。一部の地域が宮城県の北部に突出する形状で接しており、当院がカバーする医療圏も二つの県にまたがっているのが特徴です。 また、岩手医科大学がある盛岡市、東北大学と東北医科薬科大学がある仙台市の中間に一関市が位置しています。両市からの距離は90㌔㍍超。県境で大学から遠い。このような立地の事情から、医師の確保が長年の課題です。 医療資源に恵まれているわけではありませんから地域医療連携の推進は非常に大きなテーマです。 当院が柱としているのは重症心身障害と神経筋疾患の政策医療、そしてリハビリテーションの3領域。政策医療については岩手県南部から宮城県北部におよぶ広域から患者さんがお越しになります。 リハビリテーションに関しては、脳卒中、大腿骨頸部骨折に対して一関市で形成している地域連携パスにおいて、回復期リハビリテーションを担っています。 これら3領域はいずれも医療機関が単体で完結できるものではありません。病病連携や病診連携の構築はもちろん、介護、福祉、行政と多面的に連携を図れるよう努めています。特にセーフティーネット医療は相互に協力しながら、かつ全体の質を引き上げていくことが不可欠です。 当院としても、地域医療連携の中でどのような機能をもった病院なのかを明確に示し、医療水準を高めていくために重症心身障害医療センター、神経筋難病医療センター、リハビリテーションセンターを編成。組織横断的な活動に注力しているところです。 ―在宅へのニーズも高まっていますか。  回復期リハの患者さんの在宅復帰率を向上させるためには、ご家族をはじめとする支援者の理解やケアの質をどれだけ充実させていけるかが大切です。 神経難病の患者さんの中には重症度が高く、人工呼吸器を装着している方もいる。当院が開設している神経難病病棟で患者さんを受け入れるには限界がありますから、在宅療養をどれだけ維持できるかが重要です。 そこで人工呼吸器を装着した患者さんを対象にした訪問診療、訪問看護を実施しています。また、ご家族のケアとしてレスパイト入院にも対応するほか、他の医療機関と共同でパーキンソン病の患者さんのご家族に向けた療養指導を展開するなど、在宅療養のサポートを続けています。 ―今後は。  一つは医療安全。20年ほど前に当院で起こった人工呼吸器のトラブルによる医療事故を契機に、毎年9月を医療安全月間と定め、職員の意識の向上や活動の充実を図っています。 当時は2〜3人だった人工呼吸器装着の患者さんは現在10倍ほどに増加しました。この間、大きな事故が発生していないのは、取り組みの成果が現れているのだと捉えています。 また、東日本大震災の影響で診療機能が大幅に制限された経験を踏まえて、2016年に免震構造の新病棟をオープン。近い将来、既存の外来棟、管理棟の建て替えも実現したいと考えています。 そのためには、より健全な経営で成り立つ病院でなければならない。電子カルテ導入、障害者施設等入院基本料7対1の取得など、ここ数年で段階的に体制を整えてきました。最大の課題である医師や看護師の確保も見据えて、働き方改革、魅力的なキャリアパスの提示、職員の心身の健康管理など、これからは地道に力を蓄えていく時期に入っていると感じています。 独立行政法人 国立病院機構 岩手病院岩手県一関市山目泥田山下48☎0191─25─2221(代表)https://iwate.hosp.go.jp/

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安全で質の高い医療を提供し続けていく

独立行政法人国立病院機構 名古屋医療センター 長谷川 好規 院長 (はせがわ・よしのり) 1980年徳島大学医学部卒業。米カリフォルニア大学医学部ロサンゼルス校研究員、名古屋大学大学院医学系研究科病態内科学講座呼吸器内科学分野教授などを経て、2019年から現職。  5月、高度急性期医療の提供、臨床研究の推進などを積極的に展開する名古屋医療センターの院長に就任したのは、名古屋大学呼吸器内科学分野の教授を務めた長谷川好規氏。「歴史ある病院の強みをさらに伸ばせるよう努めたい」。これまでの経験をどうプラスするのか。思いを聞いた。 文化祭で「理系」に 「当時はまだ画像診断が今ほど進んでいなかったこともあって、私のイメージだと外科医は現場での決断の連続。それよりも、さまざまな情報を収集し、推論を組み立て、結論を導き出す。そんな内科医の方が向いているのではないかと感じたのです」 各科を回った結果、かねてから関心があった呼吸器の領域を選んだ。 岐阜県八百津町の出身。親や親戚に医師はいない。少年時代は法律あるいは経済学者として、大学に勤務することを思い描いていたという。「規(範)を好む」と名付けたように、親は法律家としての将来を想像していたようだ。  高校の文化祭で岐阜市内の中心を流れる長良川の水質や健康との関わりについて調べた。このとき「理系の自分」が目覚めた。  友人が公害問題に詳しい識者に、データの提供を依頼した。「自分たちでコツコツ調べなさい」と諭された。「信頼できる情報を自分で集めることの大切さを学んだ」と振り返る。 医療安全の推進に奮闘  大切にしてきたのは「挑戦する心」だ。今回の院長就任についても「いい機会をもらった」と語る。  30年以上を過ごした名古屋大学では、後進の育成や新たな治療法の開発などに取り組みつつ、組織改革でも重要な役割を担った。  その一つが医療安全だ。名古屋大学医学部附属病院で起こった医療事故をきっかけに、2002年、同院内に医療安全を管理する部門が立ち上がった。そのメンバーの一人として長谷川氏に白羽の矢が立った。  「医療安全に対する取り組みは、診療科ごとに異なる部分もあった。情報を共有し、一体化した組織として病院が機能するよう、体制の整備を進めました」 患者と医療者間の、より強い信頼関係の構築が欠かせなかった。どのような方針で、どんな治療を進めていくのか。丁寧な説明を徹底し、患者の理解が深まるよう努めるなど、「患者も参加するチーム医療」の実現を目指した。 存在意義はどこに  「安全で質の高い医療」については、もちろんここ名古屋医療センターでも追求していくつもりだ。  同院が掲げる理念も「病む人の立場に立って、安全でより質の高い医療を提供します」。歴代の院長や数多くの職員たちが築き上げてきた土台の上に「医療安全や感染制御といった世界では、どんどん新しい知識が発信されている。それらを取り入れながら、さらに上のレベルを目指したい」と意欲的だ。  こうした取り組みは主に医療者が担うものだと思われがちだが、「それだけではうまくいかない」と長谷川氏は強調する。  例えば研究者も、事務職も、清掃のスタッフも、どの職種であっても「患者にいい医療を提供したい」「快適に過ごしてほしい」との思いが根底にある。「医療機関で働くすべての人がそれぞれの役割を果たしてこそ、医療の安全と質を引き上げることができると思います」  また、肺がんに対する分子標的薬治療の研究などに力を注いできた経験から、「名古屋医療センターの特徴である臨床研究も一層の推進を図りたい」と語る。  院長となって地域医療や政策医療との関わりが増えた。社会が大きく変わりつつあることを、ますます実感しているという。高齢者の割合が高まり、人口は減少。医療機関が向き合うべき課題は多い。「自分たちの存在意義は。常に問いかけなければならないと思っています」 独立行政法人国立病院機構 名古屋医療センター名古屋市中区三の丸4-1-1 ☎052-951-1111(代表)https://www.nnh.go.jp/

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健全な経営基盤の確立と働き方改革のバランスを

県立広島病院 平川 勝洋 院長(ひらかわ・かつひろ)1977年広島大学医学部卒業。広島大学大学院医歯薬学総合研究科教授、広島大学副学長、広島大学病院病院長、広島県病院事業局顧問などを経て、2019年から現職。  広島大学病院長、広島県病院事業局顧問などを歴任し、この4月に就任した平川勝洋院長。自治体病院に求められる役割、また、これからの病院の体制や働く環境の整備について、早くも動き出した「改革のビジョン」を語ってもらった。 ―4月に院長に就任。力を入れているのは。  救急、小児、周産期、精神医療など、高度医療、政策医療に力を入れている病院です。その中でも救急については、昨年の救急車の受け入れが年間6000件。さらにはドクターカーを導入し、要請があればドクターが現場に出動して対応しています。まだ導入して1年たっていないこともあって明確な救命率などのデータは出ていませんが、引き続き救急の充実に努めます。 また、がんゲノム医療連携病院に昨年指定を受けました。もともと緩和ケアを含めて、歴史的にもがん治療には実績がある病院です。がんゲノム医療については、岡山大学が中核拠点病院として組織づくりが進んでいます。6月から保険収載されることで患者は確実に増えてくるのではないかと思います。 ―大きな病院が集中しているこの地域での役割は。  市内には、この県立広島病院、広島大学病院、広島市民病院、広島赤十字・原爆病院などがあります。それぞれ切磋琢磨しつつ、今後の人口減を考えると役割分担が必要だと感じています。 これらについては、広島県健康福祉局が中心となって地域の機能分化の改革を進めています。私たちも、今のままの体制でよいのか考えていかなければならないと思っています。 例えば、当院は外来患者が多いのですが、本当に高度医療を必要とする患者さんを診ていく必要があります。 実は、昨年実施したアンケートの結果によると、この病院を「かかりつけ医」として捉えている患者さんも多いのです。情報を発信し、患者側の意識も変えていかなければならないと実感しています。 さらに、在院日数が非常に短くなったので、この4月に病床数を減らしました。効率的な人員配置という意味でも、どのような効果があるか、プロジェクトチームをつくり試行錯誤しているところです。 今後さらに在院日数が短くなれば、もっとベッドを減らしていく必要があるかもしれません。これまでのように「なるべく早期の退院を進めていく」というだけでは、病床管理に限界がきます。経営者として、きめ細かな分析をしながら実行すべき時代になっていると感じています。 ―就任の挨拶で働き方改革にも言及されました。  健全な安定した経営基盤の確立、そして働き方改革のバランスをとりながら整備していくことが必要です。「県民に愛され信頼される」を理念にしながら、働いている人もハッピーである。その環境整備が私の使命であると思っています。 スタッフの配置については、例えば検査技師や薬剤師にしても本当に適正な人数なのか、見直しているところです。 仕事は増えていますが、本当にやるべきことは何か。事務にしてもICTを導入すれば省略化できて効率性が上がるのかなど、各部署で話し合っています。 この病院では4年ほど前から、各職場でテーマを決めて実践する「改善活動」に取り組んでいます。すでに土台はありますので、もっと発展できればと思っているところです。 医師のことについて言えばもう少し人員が欲しい診療科もありますが、広島大学の協力によって維持しています。当院は県立病院ですので、人材の支援の役割があります。県立安芸津病院(東広島市)、あるいは都市圏から離れている地域への診療のサポートが必要です。経営とのバランスをとりながら、対応していきたいと思います。 県立広島病院広島市南区宇品神田1―5―54☎082―254―1818(代表)http://www.hph.pref.hiroshima.jp/

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