中内眼科クリニック 中内 一揚 院長

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医院継承で独立開業 特色出して経営も軌道に

【なかうち・かずあき】 大阪星光学院高校卒業 1996 神戸大学医学部卒業 大阪大学医学部附属病院眼科学教室入局 2007 大阪大学大学院感覚機能形成学卒業(医学博士) 2009 シンガポールナショナルアイセンター留学 兵庫医科大学眼科助教 2016 中内眼科クリニック院長

 開業するにあたり、既存の医院を「継承」する道を選んだ。2016年、開業。2017年12月にはそのノウハウが詰まった書籍「これから開業する君へ すべての勤務医にささぐ」を出版した。独自の取り組み「目の健康診断」などにも注目が集まり、各地から患者が訪れている。

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―「医院継承」を選択した理由は。

 きっかけは、同窓会の場で勧められたことです。東京で働いている女性医師から、「それまで医院に通っていた患者を引き継ぐことができ、患者誘致の労力がかからない」などのメリットを聞きました。

 それまでの私は、「自分のカラーを出したクリニックをつくるためには、新規でクリニックを立ち上げたほうが良いだろう」と思っていました。しかし、その医師の話を聞き、自分自身でも調べていくうちに、だんだんと継承へと気持ちが傾いていったのです。

 その後、このクリニックの前身である医院の院長が、後継者を探していると聞き、紹介していただきました。

 まずは、月に何度か外来を担当することから始め、徐々に担当範囲を拡大。2年間かけて、私自身について前院長や患者さんに知っていただきました。それは同時に、医院や患者さんについて私自身が知り、求められている役割について深く考え、新クリニックのプランを練ることができる期間だったと思います。

―継承にあたり、考慮したことは。

 忘れてはならないのは、受け継ぐクリニックは前院長が大切に築いてきた「城」だということです。

 「この医師になら自分の城と患者を任せられる」という信頼を得ることができなければ、継承は難しい。医療レベルの向上だけでなく、患者さんやスタッフへの態度など、あらゆる面で「どうあるべきか」を常に考え、模索してきました。

 もちろん、前院長と私の思いや意見のすべてが一致するわけではありません。しかし、そのすり合わせや調整も、スムーズな継承のための大事な要素だと考えました。

 前院長から、患者の引き継ぎを兼ねてその患者の治療方針について相談された時には、「認めてもらえた」とうれしかったですね。確実なバトンタッチが、それまで通ってきてくださっていた患者さんにとっても良いことだと思います。

―開業から1年半。実感しているメリットは。

 今、都市部は医院が乱立しています。大病院でさえ、患者を「かき集める」時代とも言える。そんな中、1日平均15人程度の患者を引き継いだ状態でスタートを切れたというのは、経営面から見て大きなアドバンテージだったと考えています。

 医師会への入会など、地域の医師や医療機関とのつながりを構築する上でも、前院長がこれまで地域医療に貢献することで築いてきた信頼が、後押しをしてくれました。

 2017年12月に出版した本には、私の経験を詰め込みました。スタッフの採用はどうするべきか、人脈はいつ作っておけばよいのか...。表やイラストも交え、わかりやすくなるよう工夫しています。開業に踏み出せずにいる勤務医への「エール」となるよう、書き上げたつもりです。

―現クリニックの特徴を聞かせてください。

 私が得意とするのは、外眼部、つまり、まぶたの形成分野です。

 「ものもらい」「めばちこ」などと呼ばれる「麦粒腫(ばくりゅうしゅ)」「霰粒腫(さんりゅうしゅ)」、加齢などによって目を開けにくくなる「眼瞼(がんけん)下垂」や「眼瞼皮膚弛緩症」、逆さまつげと言われるまつげ内反などに対する日帰り手術を実施。手術件数は、月40件ほどに上ります。

 まぶたの形成分野に興味を持ったのは、1998年ごろ。松山赤十字病院に勤務していた時期でした。形成外科による手術を見て、「挑戦したい」と決意。形成や眼窩腫瘍の勉強を経て、2009年には半年間、眼形成手術を学ぶためシンガポールナショナルアイセンターへ留学。半年後、帰国して兵庫医科大学で「眼形成外来」を開始したのです。

 そのほか当クリニックでは、水晶体、角膜、結膜、網膜、涙道、硝子体などの一般眼科疾患についても「少しでも改善に向かうには」を常に考え、患者さんに合った治療法を提案するよう心がけています。

 さまざまな医療機関での勤務で培った人脈を生かし、重症の場合には、兵庫医科大学病院など適切な医療機関、医師に紹介しています。

―眼疾患の早期発見にも力を入れていると聞いています。

 開院と同時に「目の健康診断」をスタートしました。勤務医時代、人間ドックなどで撮影した眼底写真をもとにした診断を依頼されることがありましたが、データが不十分で、正確な診断が困難だったというのが、開始の理由です。

 眼底カメラやレフラクトメーター(眼屈折計)、網膜や視神経を診る「OCT」など検査機器を数多く導入。5000円から1万円まで3コース用意し、検査項目は最も多いコースで10項目に上ります。

 内科的疾患による目の異常なのか、目だけの問題なのかを判別するために、必ず血圧、身長、体重、体脂肪を測定。その後、視力や眼圧などを検査します。OCT検査で黄班変性症や緑内障の有無を診断するコースもあります。

 これまで「目の健康診断」を受けた人は約500人。緑内障にかかっていることがわかった人は受診者のおよそ10%で、「予備群」だと診断される人もいます。眼圧が高くないにもかかわらず緑内障を発症する「正常眼圧緑内障」がOCT検査で多く検出されています。

 岐阜県多治見市の住民を対象とした日本緑内障学会による緑内障疫学調査「多治見スタディ」(2000年9月〜2001年10月実施)で示された40歳以上の緑内障有病率は5.0%。当クリニックの健診を受ける人の場合は家族歴があるなどリスクが高い人が多いことを考慮しても、高い数字だと言えるでしょう。

 超高齢社会において、より多くの高齢の方に快適な日常生活を送っていただくためには、眼疾患の早期発見、早期治療が重要です。地域の眼科クリニックとして、欠かすことができない仕事だと考えています。

―そのほか貴院ならでは、という治療は。

 寝ている間だけ特殊なコンタクトレンズを装用することで、一時的に近視の進行を防いだり視力を矯正したりする治療「オルソケラトロジー」に取り組んでいます。

 「眼鏡をかけずに過ごしたい」「コンタクトレンズやレーシック手術は何となく怖い」といった方のニーズが高く、これまで処方した患者は70人超。20歳未満が4割を占めています。

 オルソケラトロジーレンズは20歳以上への処方が原則。ただし、2017年12月のガイドライン改訂によって、「慎重処方」という条件付きで20歳未満への処方も解禁になりました。すべての人に使える治療法ではありませんが、眼鏡、コンタクトレンズ、レーシック手術に次ぐ第4の選択肢として、今後、さらに注目が高まってくると思います。

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中内眼科クリニック
兵庫県西宮市甲風園1-6-11-2階
TEL:0798-65-5708
http://www.nakauchi-ganka.com/


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