【眼科特集】兵庫医科大学眼科学教室 五味 文 主任教授

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研究マインドが医療の進歩につながる

【ごみ・ふみ】 和歌山県立桐蔭高校卒業 1989 大阪大学医学部卒業 同眼科入局1990 大阪労災病院眼科 2001 大阪大学大学院修了 同眼科助手(現助教)2006 大阪大学眼科講師 2012 住友病院眼科診療部長 大阪大学医学部招聘(へい)准教授 2015 同診療主任部長 同招聘教授 2016 兵庫医科大学眼科主任教授

 神経眼科や小児眼科領域で実績のある兵庫医科大学眼科学教室。2016年に4代目として就任した五味文主任教授は、黄斑疾患領域での診断、治療に注力。同教室の教育内容の幅を広げた。

 同大学初の女性の臨床教授としても活躍する五味主任教授に話を聞いた。

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―講座の特徴は。

 当講座は、これまで、三村治・前教授が専門とされてきた神経眼科、小児眼科領域などで実績をあげてきました。

 特に、斜視における外眼筋手術は、年間約300例の手術件数と全国でもトップクラスです。手術の目的は整容性の確保や子どもの場合は視機能の維持のためです。手術件数の多さもあり、関西以外からも広く来院されます。

 長年、黄斑疾患領域に取り組んできた私が主任教授についたことで、講座としては黄斑疾患分野、網膜・硝子体分野、糖尿病分野、神経眼科、小児眼科分野、緑内障分野、角膜分野の専門外来をまんべんなく網羅できるようになりました。

 私はこれまで、光干渉断層計(OCT)を使った黄斑疾患の画像診断にも力を入れてきました。この技術を別の専門分野に組み込んで、診療、研究に生かせないかという新たなテーマも持っています。

―高齢化で、黄斑疾患が増加しています。

 黄斑疾患は、眼をカメラに例えるとフィルムの役割を果たす「黄斑」が侵されるものです。黄斑は直接視力に影響するところですので、治療が遅れると失明につながりかねません。

 加齢黄斑変性、黄斑上膜、黄斑浮腫など多様な病態があります。特に加齢黄斑変性は増えており、失明の原因の第4位となっています。

 原因は、長年にわたる酸化ストレスによる細胞へのダメージによるものと考えられています。男性の患者さんの比率が高いのが特徴です。

 加齢黄斑変性は痛みなどはありませんが、ものがゆがんで見える自覚症状があります。片方だけが悪くなっている場合、もう一方の目が見え方を補うため、本人も気付かず、なかなか発見されないこともあります。

 見え方が少しでもおかしいなと思ったら、その都度眼科に行くことをお勧めします。

―黄斑疾患の治療は。

 黄斑は、神経から成る大事な部分です。これまで、直接触ることも難しく、薬剤もありませんでしたので、黄斑疾患は治療が難しい疾患でした。

 さまざまな病態があることも、診断を難しくしています。いかに正確に、早く病態をつかんで、適切な治療を選んでいくか。患者さんに最適な治療の選択肢を提供し実施するか。その一つひとつのステップを丁寧に進めることを、若い先生には身に付けてもらいたいと考えています。

 黄斑疾患の診断、治療にとってOCTが取り入れられたことは、大変有用でした。

 臨床現場では2000年過ぎから導入され、今は一般眼科にも広がってきています。試作品段階のころと比べて画像も各段に進化。病態の診断にとっては大きな柱です。

 治療においても、ようやくその方法が確立してきました。網膜にアプローチする硝子体手術は、器具の進歩によって、より小さな傷口で安全に行えるようになりました。また、神経を傷つけることなく施行できる光線力学療法というレーザー治療や、抗VEGF療法という薬物治療ができるようになり、これも、大きな効果を挙げています。

 抗VEGF療法は、眼球に直接、注射をして薬剤を入れます。課題は高額な薬剤費用です。効果は高いのですが、1カ月程度しかもたず、繰り返し投与しなくてはなりません。

 患者さんの負担を避けるためにも、病状に応じた治療方針をたて、開業医の先生方と共有するようにしています。

―教育については。

 若い先生には、眼科のすべての分野で一通りの知識、技術を得てから、専門性を身に付けてほしい。得意分野を持つことは自身の強みになると思います。

 自分の技術や知識、あるいは医療の現場として、今できること、今できないことを客観的に把握してほしいですね。

 今できないことがあれば、自身の技術を伸ばす努力が必要ですし、医療として足りないことがあれば、将来的に何ができるかを、研究マインドを持って、考え続けてほしいと思います。

 黄斑疾患も、20年前は、手出しできない疾患でした。しかし、「困っている患者さんのために、何とかしなければ」という思いが、今につながったと思います。

―女性医師が増えています。

 当講座でも増えていますが、結婚、出産があっても仕事を続けるという雰囲気はできてきました。

 昨年から大学医局の育児休業中などの"ママさん医師"にも、週1回は大学で、外来に出て、キャリアを途切れさせないようにしてもらっています。医師を続けるため、大学を活用してもらいたいと考えています。

―特に、力を入れていることは。

 眼科の検査には視能訓練士(ORT)が携わります。視機能や画像検査など、ORTの果たす役割は大きく、毎週のカンファレンスで情報を共有してもらっています。また、ORT主体の臨床研究も積極的にしてもらいます。

 また、若手医師に、眼科以外の領域の最先端の話題に触れることのできる機会も設けています。

―眼科分野は、iPS細胞の活用が期待されています。

 iPS細胞のみならず、患者さんにとって、メリットがある治療ならば、できるだけ、積極的に関わっていきたいですね。

学校法人兵庫医科大学 兵庫医科大学眼科学教室
兵庫県西宮市武庫川町1-1
TEL:0798-45-6111(代表)
http://www.hyo-med.ac.jp/department/oph/


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