医療法人 久居病院 棚橋 裕 院長

  • はてなブックマークに追加
  • Google Bookmarks に追加
  • Yahoo!ブックマークに登録
  • del.icio.us に登録
  • ライブドアクリップに追加
  • RSS
  • この記事についてTwitterでつぶやく

子どもから高齢者まで地域に信頼される精神科医療を提供

三重県立津高校卒業 1979 順天堂大学医学部卒業 同精神医学教室入局 1980 同助手1987 同外来主任 1988 医療法人久居病院 1991 同副院長 2000 同院長

 三重県中南勢地区の精神科医療を支える久居病院は津市久居の西部にあり、昨年6月 、創立50周年を迎えた。院長として新たな取り組みに挑戦する棚橋裕院長に話を聞いた。

t10-1-1.jpg

―半世紀の歴史があります。

 1965(昭和40)年に、初代理事長である父祐作が開設。昨年は50年の節目の年でした。

 父はもともと津市内で内科医院を開業していました。往診で出向いた先で、精神的な病気を抱える患者さんが社会と切り離されて、家庭の中で生活している状況を知り、何とかそのような方の力になりたいと久居病院を創立しました。

 私は精神科の医師として大学病院で臨床や研究にあたっていましたが1988(昭和63)年から当院に勤務 、2000年に4代目の院長となり、以来、病院の運営と臨床に取り組んでいます。

 2014年9月に、新しい本館を建設。建物は3階建て。1階は外来・管理フロア。2階は認知症治療病棟、3階が精神科急性期治療病棟となっています。他に、精神療養病棟が2病棟あり、現在は合計225床となりました。

―精神科医療においても国の方針は地域移行です。貴院の特徴的な取り組みは。

 まず、当院の重要な役割の一つが救急への対応です。三重県は、南北の長さが約180kmと大変広い県です。 このため、現在、精神科救急医療圏として 、津市を境に南北に分けられています。当院は5施設ある南の救急輪番病院の一つで、月6日程度は夜間や休日の救急に対応しています。津市内の精神科病院で参加しているのは当院だけです。

 在宅支援においては、昨年、訪問看護ステーション「そよかぜ」を開設。在宅の患者さんのため精神科の訪問看護を行います。

 また、急増する認知症に対応するための専門外来もあります。これにあわせて1年ほど前から認知症専門の通所医療施設である重度認知症デイケア「グリーンハウス」に取り組んでいます。認知症と診断され、精神的な症状やせん妄(もう)、徘徊(はいかい)といった周辺症状(BPSD)などの問題行動がある患者さんに、専門プログラムをもとに改善を促すリハビリ施設です。

 三重県内では唯一の重度認知症デイケアとして、入院せずに地域で支えるシステムとして注目されています。今後は県内でも増えていくかもしれません。

 今年4月には、児童思春期外来も開設しました。津市内の公立病院やクリニックにも、児童や思春期を対象とした外来はありますが、予約がかなり多いと聞いています。当院でのニーズもあります。

 同時に三重県の「精神障害者アウトリーチ事業」もスタートしました。自宅にひきこもるなど受診が困難な精神障害者などに対して、多職種で訪問支援を行い、地域での生活をサポートする事業です。

 精神科医療においても患者さんを地域に戻すという方向ですが、実際は家族の高齢化などで難しい面もあります。

 この地域でも、核家族が多く、しかも夫婦二人とも認知症というケースもあります。安易に在宅に戻すのではなく、個別にしっかり見守っていかなければなりません。

 また、家族が安心できるような体制で退院させてあげたいですね。そのための家族へのアプローチとして「ファミリークラブ(家族研修会)」を開催しています。家族が、疾患について学んだり、情報交換をしたりするもので、当院の臨床心理士を中心にサポートします。

―地域住民との連携も大事です。

 そうですね。病院はただでさえ敷居が高いうえに、特に精神科の病院の場合、偏見もあります。

 10月末に開催した今年2回目の「ええやんか祭り」では、病院敷地内に舞台を設けて、よさこい踊り、大道芸、そしてバンド演奏を披露し、作品を展示しました。

 患者さん、利用者さん、そして地域住民の皆さんも参加してくれます。精神科の患者さんについて、少しでも知ってもらうきっかけになればと思います。

 また、一度でも病院を訪れていれば、家族に対する悩みなどを相談しやすくなるきっかけ作りにもなると思います。

―なぜ精神科医に。またやりがいは。

 学生時代から、人の話に耳を傾け、心のケアをすることが、自分の性格には合っているのではないかと思っていました。

 精神科の疾患も多様化していますが、私が医師になった当初は統合失調症の患者さんが多かったようです。今は、統合失調症であっても薬でずいぶんと良くなるようになりました。

 ただ、今の精神科医療では、生物学的な脳の働きという考え方が主流になっています。このため、患者さんの心にあまり目が向けられていないような気もしますね。

 「この疾患は、この薬で、脳のこの機能がうまく働けばこうなる」と、少し機械的な治療になっていく傾向があるかもしれません。それによって、医師と患者さんの人間同士の付き合いが薄れているような気もして、寂しく感じています。

 患者さんが、少しでも良くなったり、退院して、地域に戻れますと、やはりうれしいもの。特に精神科の場合、若いころに発症することが多いので、早い時期から診ていくことで、その人の生活を支えるパートナーとして治療に取り組めることもやりがいの一つです。

 また、長い場合、20年、30年と同じ患者さんを診ますので、その成長も感じられます。病気を克服して、学校を卒業したり、就職をしたり。結婚して子どもを持ったりという報告を聞くのもうれしいものです。

医療法人 久居病院
津市戸木(へき)町5043番地
TEL:059-255-2986(代表)
http://www.hisai-hospital.or.jp


九州医事新報社ではライター(編集職)を募集しています

楽採で医師の採用を「楽」に!

博多水引×九州医事新報

バングラデシュに看護学校を建てるプロジェクト

人体にも環境にも優しい天然素材で作られた枕で快適な眠りを。100%天然素材のラテックス枕NEMCA

一般社団法人メディワーククリエイト

日本赤十字社

全国骨髄バンク推進連絡協議会

今月の1冊

編集担当者が毎月オススメの書籍を紹介していくコーナーです。

【2017年7月の1冊】
イメージ:今月の1冊 - 70.地域医療構想をどう策定するか
松田晋哉[著]

Twitter


ページ上部へ戻る