「山口県済生会豊浦病院」誕生
2018 年完成目指し全面建て替え工事はじまる
済生会が指定管理者だった下関市立豊浦病院が4月1日、山口県済生会に譲渡され、山口県済生会病院に名称変更した。また病院施設の老朽化が著しいため、2018年完成予定で全面建て替え工事も始まった。中司謙二新院長に心境と抱負を聞いた。
当院の前身である国立山口病院に小児科医長として1991年に赴任し、四半世紀が過ぎました。
当時から県内でただ一つの、病弱児童生徒を受け入れる県立の養護学校(現豊浦総合支援学校)がそばにあり、当院が多数の病弱児入院・外来治療を担ってきました。今では当時の子どもたちが父親、母親となって、時々外来にわが子を連れて来てくれます。
現在は主に下関圏域の病気や障害を持つ児童生徒の治療を担当しており、救急も含めて専門性の高い小児医療を目指して活動しています。
―新院長として職員に求めるものは。
社会福祉法人として規範も求められますし、済生会病院としての理念もあります。それを堅持していくことのほかに、市立ではなくなりましたから、独立採算の病院で働いているというコスト意識は常にもってほしいと伝えています。これからは減価償却や借入金返済などもありますからね。
地域に向けては、済生会独自の病院になりましたので、地域の要望に応えやすくなります。ニーズを拾い上げながら、地域の皆さまに信頼される病院を目指したいと思います。
―そばに海もあり、いい環境ですね。
コバルトブルーの美しい響灘に面し、抜群の療養環境にあります。
海に浮かぶ厚島は、20世紀前半、川棚温泉に宿泊したフランスの世界的ピアニスト、アルフレッド・コルトーが愛した島(別名=孤留島)としても有名です。加えて病院が新しくなることで、こちらで治療を受けることを望まれる方が少しでも増えればうれしいです。
JR小串駅から歩いて5分。都会の喧噪(けんそう)を離れ、静かなこの地でのんびり暮らすことを考えられてもいいと思います。
―豊浦・豊北地域の中核的病院です。医療をどう守っていきますか。
当院は急性期病床155床と地域包括ケア病床31床、療養病床89床からなるケアミックスの病院です。病院敷地内に老健施設ひびき苑もあります。産婦人科、小児科を含む内科系・外科系あわせて18診療科を有し、新生児から高齢者まで継続して医療を受けられます。
これからの医療を考えますと、まずは開業医の先生方と連携を密にしていく必要があります。当院からの往診は数例だけで、システムになっていないのが現状です。
訪問看護ステーションは、隣接の豊浦地域ケアセンターひびき苑にあり、そちらで迅速な対応をしていただいています。
今後、医師や看護師不足が懸念されますが、2012年から山口大学協力型臨床研修施設として学生や研修医を受け入れ、看護学生、メディカルスタッフの学生の実習も積極的に実施しています。
気分転換に自宅でグランドピアノを弾いています。ポップスが多く、自分で曲を作ったり、自由に弾いて楽しんだりしています。曲が体の中に湧くこともありますが、それが行動や言葉に影響しているかまではわかりません。
山口県済生会豊浦病院
山口県下関市豊浦町大字小串7 番地の3
☎083・774・0511(代表)
http://www.toyoura-saiseikai.jp/