若い人には、多くの優れた手術を見てほしい

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鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 耳鼻咽喉科・頭頚部外科学 黒野 祐一 教授

黒野 祐一(くろの ゆういち)1980 鹿児島大学卒 同大学医学部耳鼻咽喉科学教室入局 1982 大分医科大学耳鼻咽喉科学教室助手 1989 オハイオ州立大学耳科学研究室留学 1993 大分医科大学耳鼻咽喉科学教室講師 1995 アラバマ州立大学ワクチンセンター留学 1996 大分医科大学耳鼻咽喉科学教室助教授 1997 アラバマ州立大学ワクチンセンター留学 鹿児島大学医学部耳鼻咽喉科学教室教授 2003 同大学大学院医歯学総合研究科耳鼻咽喉科・頭頚部外科学教授

 黒野教授は大分出身。鹿児島大学を卒業した後、同大の耳鼻咽喉科学教室に入局。前任の大山勝教授の薦めで大分医科大学に勤務した。手術に対するストイックな情熱が印象的だが、免疫粘膜、上気道感染症、アレルギーを専門にする研究者の顔も持つ。本紙には3度目の登場。

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教授は1955年の3月24日生まれ。今年は教室で、還暦のお祝いをしてもらったそうだ。趣味はゴルフ。鹿児島大学医学部のゴルフ部と空手部で顧問を務める。

 花粉症のシーズンで、耳鼻咽喉科医にとっては忙しい季節です。2月20日を中心とする週はアレルギー週間ということもあり、花粉が飛び始める前には、アレルギー関連の研究会や講演会が多くあります。今教室では、舌下免疫療法を普及させることや、その効果を検証することに、力を入れて取り組んでいます。

 私自身は以前から粘膜免疫を研究していました。私の教室は少人数ですから、教室員たちの研究もほとんど私と同じ粘膜免疫です。粘膜免疫は感染防御を研究するものですから、アレルギーはほとんど同じ領域の学問です。特に、舌下免疫療法は粘膜免疫を介した治療法なので、我々がずっと研究していたものが今、臨床で応用されているということになります。

 研究の方針としては、臨床にも役立つことを大事にしています。そして大学院生にとっては、学位のための研究にならないようにしたいですね。

 私の教室には素直な人が多く集まったように思います。「素直な人に育てたい」と考えているわけではないので良い人々が入局してくれたんでしょうね。我々は感覚器と、首から上の隠れない部分を手術する診療科です。患者さんの声に素直に耳を傾けることが非常に大事ですし、多種多様なことに柔軟に対応しなければなりません。これには素直なことが要求されるので、向いている人が入局してくれたのだと思います。

 教室員にはもっと、積極的に外の世界を見たいと思ってほしいですね。私は若いころ、恩師の茂木五郎先生(前大分大病院院長)に紹介状を何枚も書いていただき、たくさんの手術を勉強してきました。自分が教授の手をわずらわせたので、私自身も喜んで紹介をしたいと考えています。多くのうまい人の手術を見たほうが、勉強になることは間違いありません。

 我々の教室は少人数なので、手術も耳だけの人、頭頚部だけの人というふうに専門化できませんから、何でもできる人を育てています。狭い専門に特化しないわけですから、多くの素晴らしい手術を見てきて自分のものにしてほしいです。

 紹介してもらうのは、極めて効率的な勉強法です。日本の中で最も症例数の多い病院が、年間5例ほどしかやらない手術を勉強したいと思い、アメリカの病院に2日間だけ見に行きました。私のために手術を集中して入れてくれ、午前に2例、午後2例見て、2日間で8例も見ることができました。こちらに学びたいという意識があれば、先方も喜んで見せてくれると思います。

 また、手術を覚えるのと、上手になることには大きな差があります。その差を作るのも、意欲だろうと考えています。私だってまだ、もっと上手になりたい手術はありますから、若い人にはそういう気持ちを持ってほしいですね。症例数の少ない手術をおぼえる時ほど、この気持ちは大事になります。

 東大医科研の清野宏教授がアラバマ州立大学の教授だった時、茂木先生が親しくなられ、そこに教室員を研修に出すことになりました。誰を送るかという相談があった時、素晴らしい先生で興味があったので、正直に「私が行きたい」と答えると「もっと若い者を行かせろ」と叱られてしまいました。しかし結局は留学を許可してくれましたから、茂木先生には感謝しています。

 研究費の関係で3か月しかいませんでしたが、論文を1本書いて帰りました。世界でもトップクラスの研究をしている教室なので、これだけ短期間で仕事を終えたのは異例だったようです。今、教室員をアラバマに留学させていますが、現地では現在でもまだ語り草になっているそうです。ネズミを一度に50匹飼っていたのですが、大変でした。

 無茶なスケジュールだと当時言われましたが、3か月しかないので、頑張りました。私は臨床を主にやっていて、研究に関してはそんなに経験がなかったので、余計に印象深かったのでしょうね。

 アラバマには2回留学していますが、2回目の時は教授選の最中でした。

 教授選に必要な書類を書いたのは渡米直前で、オーストラリアで開催された国際学会の期間中でした。「学会に出席するので」と渋っていたのですが、茂木先生から空いた時間で書けと言われ、FAXでやりとりをしながら書類を作成し、帰国してそれを提出してからそのままアラバマに向かいました。

 1回目の時はゴルフクラブを持たずに留学しましたが、2回目はちゃんと持って行きました。2か月だけだったので荷物は少なく、ゴルフクラブが目立ったようで「何しに来たんですか」と笑われました。留学は研究することが一番大事ですが、息抜きも重要だと私は考えています。

 研究用の動物を飼っているので、土曜日は状態を見に行きますが、日曜日は休みで、週に1日半自由な時間があるわけです。単身だからゴルフ以外にすることがありませんでした。10ドルで遊べますから、安いですよ。

 ゴルフ場のおじさんに日本のお土産を渡して仲良くなると、現地の人のチームに入れてくれるようになります。それで地元の人達と「英会話の訓練」という名目で楽しみました。もっとも実際は「どこから来たのか」「なんの仕事か」など質問がワンパターンで、あまり会話の勉強にはなりませんでしたけどね。


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