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with&beyond コロナ時代の大学へ

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総長(いしばし・たつろう)

1975年九州大学医学部卒業。
米南カリフォルニア大学研究員、九州大学大学院医学研究院教授、
同大学病院長、同大学理事・副学長などを経て、2020年10月から現職。

 2020年10月、九州大学総長に就任した石橋達朗氏。九州大学病院長、九州大学理事・副学長を歴任。約110年の歴史と伝統を持ち、さらに国際学術研究都市圏の核としての飛躍が期待される九州大学をどのように導いていくのだろうか。

コロナ時代を乗り越える

 「九州大学の総長に選んでいただいたことを光栄に思いますとともに、その責任の重さに身が引き締まる思いです」と、開口一番に語った石橋氏。九州大学の役目は、COVID―19を含めた地球規模のさまざまな問題を解決して、その成果を社会に発信、還元することにあるという。

 「所信表明で〝withコロナ beyondコロナ〟と述べた通り、新たな持続可能な社会の実現が必要となっています。九州大学では、医学系はもちろん理系文系の全ての部局がその枠を越え、協力し、コロナを乗り越える施策を探っていくつもりです」

 ただし、春・夏学期は原則オンラインだったため、一度も通学できていない1年生もいた。「九大キャンパスライフ・健康支援センターが6月に行った学内調査で、孤独感を感じている学生が40%に上り、心身の不調を訴える学生が目立つことが判明しました。結果を受けて、ウェブ相談窓口の立ち上げなど、さまざまな対応を早急に行っています。秋学期には一部対面授業を実施することとなり、本格的にキャンパスでの学生生活も始まります。とはいえ、まだまだコロナの収束が見えていません。将来的には対面とオンラインによるハイブリッド方式で実施していくようになるのではないでしょうか」

眼科医のやりがいを実感

 1969年に九州大学に入学、研修で半年間九州厚生年金病院(現:地域医療機能推進機構九州病院)に勤務、2年間の米国留学を除いては、九州大学一筋で歩んできた。大学院時代は、名誉学長であった故田中健蔵氏の病理学教室で学ぶ。

 脳神経外科を志望していたものの、眼科の開業医であった家族からの要望と、眼科の教授の強引さに押し切られた形で、眼科の道へ。「実際やってみると、眼科はとても面白い。人間は目から80%の情報を得ていると言われます。それだけに、目が見えるようになると、非常に患者さんが喜ばれますし、私もやりがいを感じます」

開発の眼科手術補助剤 ついにFDA承認

 石橋氏の研究グループが2005年に開発し、欧州を中心にすでに承認・発売されていた眼科手術補助剤「ブリリアントブルーG(BBG)250」が、2019年、米国食品医薬品局(FDA)の承認を得た。日本での導入に向けても動き出している。

 「日本での薬剤の承認はなかなか難しいものがあります。COVID―19のワクチンや治療薬も、時間がかかることが予想されます。九州大学でもカイコを使ったワクチンの候補となるたんぱく質の開発を進めていますが、実用化にはもう少しかかりそうです」

 かつて病院長を務めた九州大学病院は、現在COVID―19の影響で手術などの制限もあり、収入が減少している。「大学全体における病院収入は3割を超えています。しかし、最近は前年に比べて毎月数億も減少になっています。大学病院をはじめ、医療機関に対し何らかの支援がなければ、今後日本の医療体制が維持できないのではないかと危惧しています」

国際学術研究都市の実現に向けて

 九州大学は2005年から進めてきた、福岡市西区「伊都キャンパス」への移転が2018年に完了した。「国際学術研究都市の名前にふさわしいキャンパスはできたものの、周辺の整備などはまだこれからです。九州大学には他にも福岡都市圏に三つのキャンパスがあり、箱崎キャンパスの跡地開発などを含め、自治体や経済界とも協力した都市づくりをしていく必要があります」

 コロナ禍にあって、その都市づくりも新しい概念が必要になってきているという。「これからは〝健康安全な社会〟がキーワードになってくると思います。例えば感染防止を主眼においた街づくり、家づくりへと変わっていくのではないでしょうか。例えば、ボタンを押さないエレベーターなどが実現されるかもしれません。九州大学が持つ医療、土木、建築、さらには文化・芸術の分野までもが協力し合って、これからの社会をつくるための研究を進めていく必要があると思っています」

 九州大学の学生は、企業の人事担当者から、行動力や独創性など、総合的な人間力が高いと評価を得ている。「COVID―19の影響で、関東や関西に進学していた学生が地元に残り、これから地方の大学が注目を集めてくるのではないでしょうか。社会に役立つ人材の育成に重要な役割を果たしてきた大学の一つとして、今後もその役割をしっかりと果たしていきます」

九州大学
福岡市西区元岡744 ☎️092-802-2130(広報室)
https://www.kyushu-u.ac.jp/

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