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社会福祉法人恩賜財団済生会 島根県済生会 江津総合病院 中澤 芳夫 院長

社会福祉法人恩賜財団済生会 島根県済生会 江津総合病院 中澤 芳夫 院長

「働きたい」と思わせる魅力ある病院をつくりたい

【なかざわ・よしお】
1982年島根医科大学医学部(現:)卒業。同附属病院助手、松江赤十字病院循環器科副部長などを経て、2001年島根県済生会江津総合病院第3内科部長。2015年から現職。

高齢化、人口減少、医療従事者不足。難しい問題が山積する中、急性期から慢性期までの医療を担う島根県済生会江津総合病院。救急や数多くの分娩も手掛ける。地域医療崩壊の危機に抗するために奮闘する病院の様子を中澤芳夫院長に聞いた。

中澤院長2.jpg

―院長になって、3年が経過しました。これまで進めてきたことは。

 当院は高齢化の著しい島根県西部の江津市にあります。人口およそ2万4000人のこの市にある病院は当院だけ。急性期から回復期、慢性期まで、すべてのステージの医療を提供することで、地域医療を守っています。

 できるだけ多くの医師や診療科をそろえて、救急にも万全の布陣で対応するのが理想ですが、現在、当院の医師数は16人で、平均年齢も上がってきている。現実としては厳しいものがあります。

 そこで、ここ数年はダウンサイジングを進めてきました。300床ある病床は220床で運用。一般120床でうち60床が地域包括ケア病床、療養病床が100床です。また、呼吸器内科や耳鼻科、麻酔科などの診療科を減らし、急性期医療中心から慢性期医療中心に、少しずつ軸を移しています。

 救急医療をやめるつもりはありません。ただ、政府が推し進めている「」と救急医療の両立はなかなか難しいというのが本音です。事態を劇的に改善するような妙案はありません。病院側の努力も必要ですが、コンビニ受診をなくしてもらうなど、患者さんの協力も欠かせないということは言えるでしょう。

―医師を確保するための施策は。

 初期研修、後期研修を経て専門医資格を取得するという現在の流れは、都会に人が集中せざるを得ない構造になっていると思います。専門研修プログラムの研修先に入っていないと人は来ませんし、そもそも都市部ではないので、人も症例も集まりません。

 でも、それを嘆いていても始まらない。逆風の中でも「あそこの病院はおもしろいことをやっているね」と思わせることはできないか―。そう考え、後期研修医募集の際、「地域包括ケア」「地域完結型医療」が学べるということを明確に打ち出しました。

 地元の医師会や保健所との連携、島根県済生会が有する介護老人保健施設、特別養護老人ホームとのつながりを生かし、救急から回復期、慢性期、在宅医療、さらには施設での管理医体験まで、シームレスな医療が身をもって学べる研修を用意しています。将来、どんな道に進むにしても、この実践型の研修で身につける診断力や判断力は、大きな力になるでしょう。

 さらに、われわれの研修では、地元医師会や青年会議所との交流を活発化させ、研修医と地域住民との交流も推進しています。さまざまな成功事例に学びながら、若い人たちが「あの病院で働きたい」と思うような仕組みをつくり、医師をこの地域に呼び込んでいきたいですね。

―今後について。

済生会江津病院外観.jpg

 今、考えているのは、スタッフの満足度をいかにして高めていくかということです。

 ここでは高度医療を極めたい、専門性を高めたいという欲求は満たしづらいかもしれません。でも、地域に密着した病院で、やりがいを感じながら生き生きと仕事をすることはできるはずです。

 私は、患者さんやそのご家族に「済生会江津総合病院に行ってよかった」と思ってほしいと願っています。病気が治ることだけでなく、「元気が出た」「不安が和らいだ」と言ってもらえたらと思うのです。

 そのために、まずはスタッフが自分の職場を誇りに思い、仕事の充実感を得て、友達にも「うちに働きにおいでよ!」と言いたくなるような病院を目指したい。それが、患者さんの笑顔にもつながってくると考えています。

社会福祉法人恩賜財団済生会 島根県済生会 江津総合病院
島根県江津市江津町1016-37
TEL:0855-54-0101(代表)
http://saiseikai-gotsu.jp/

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