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久留米大学病院 放射線腫瘍センター 淡河 恵津世 教授

久留米大学病院 放射線腫瘍センター 淡河 恵津世 教授

九州初の最新機器を導入 放射線治療の新施設を開所

【おごう・えつよ】
1988年久留米大学医学部卒業、同放射線科入局。一般財団法人佐賀国際重粒子線がん治療財団理事(兼務)、久留米大学医学部重粒子線がん治療講座教授、メディポリス国際陽子線治療センター協力研究員、久留米大学病院放射線治療センター教授などを経て、2018年から現職。

 2018年10月1日に開所した「放射線腫瘍センター」。九州初の放射線治療装置「・ラディザクト」、高精度リニアック装置「トゥルービーム」、温熱療法装置「サーモトロンRF―8」と3台の最新機器を導入した施設の特長について、センター長でもある淡河恵津世教授に聞いた。

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―開所までの経緯を。

 前身のセンター開設時は日本製の治療機対応でしたが、今は多くが外国製。高精度でエネルギーが高くなり、治療室が手狭で壁を厚くしようにもできないことが問題となっていました。

 先代の主任教授が上申を続けてきた結果、久留米大学の90周年事業の一環として、2014年月末に建設が決定し、計画がスタートしました。運営面は、治療部門としては珍しい、企業(日立製作所)との共同事業となっています。

 建物は2018年2月に完成しましたが、機器の搬入後、組み立て、検証、データをとるのに半年かかりました。私たちも旧センターでの治療と並行して、新しい治療装置を使ったトレーニングを開始。特に今回は、九州初の機器を含め新しい機器を一気に導入するため、医師を1人、同じ装置がある関東の施設に留学させるなどして対応にあたりました。

 開所後、まずは院内の患者を対象にトモセラピーの最新機種から稼働を始め、2週目からトゥルービームの運用を開始しました。当初は1カ月に50~60人の目標が、1カ月を過ぎる頃には70人に。続々と依頼が舞い込む状況ですが、ヒューマンエラーがないよう慎重に進めています。

―新センターの特徴は。

 30分かかっていた治療が10分程度になるなど、施術時間を大幅に短縮することができました。患者さんの負担軽減だけでなく、病院運営のコスト面でもメリットがあると思います。

 設計ではスタッフルームを真ん中に配置。スタッフルームは医師と技師、看護師が一緒で、オープンな環境のもと、協力しやすい体制にしました。また、通路とスタッフルームとの区切りには高めのカウンターを設けて、患者さんが歩くのは見えるようにしつつ、スタッフルームの中は見えない造りにしています。

 さらに、センターの外来側入口のすぐ横に患者専用の駐車場を設け、患者さんの身体的、時間的な負担も減らすなど工夫しました。

 設計にあたっては、スタッフから意見を聞きつつ、副技師長と一緒にさまざまな施設を見学して参考にしました。アメリカの放射線学会にも参加して最新機器をチェックしました。

―今後の治療や運営で大切にしたいことは。

久留米大学放射線腫瘍センター外観.jpg

 がん治療は、とても大変です。患者さんが少しでも明るく元気な気持ちになれるように努めていきたいと思っています。

 治療がすべて終わった証として鳴らす「希望の鐘」も旧センターから引き続き設置しています。以前留学した米国の病院の慣習を取り入れました。鐘を鳴らし記念写真を撮るのは恥ずかしがる方も多いですが、それでも、最後に鐘を鳴らすときには本当にいい表情をされます。撮影の日におしゃれをしてくる方もいますし、喜んでくださるご家族もいます。先日は他大学のチームが鐘を設置するため視察にくるなど広がりをみせています。

 若い人たちによく言うのは「私たちの仕事は、駅伝のようなもの」ということ。自分たちが今持っているたすきは、先代からもらったものなのだから、しっかりと次代につなげなければならない。自分が勉強したことをきちんと周りや次の世代に伝えなければ、高いレベルの医療はできないと思うのです。

 センターは新しくなりましたが、これまでと変わらず各診療科との連携のもと、多くの患者さんにお越しただいています。50年にわたり、信用を積み上げ、つないできた歴史があればこそだと感じています。

久留米大学病院放射線腫瘍センター
福岡県久留米市旭町67
TEL:0942-35-3311((代表)
https://www.hosp.kurume-u.ac.jp/

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