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大阪市立大学大学院医学研究科 整形外科学教室 中村 博亮 教授

大阪市立大学大学院医学研究科 整形外科学教室 中村 博亮 教授

「予防」へのシフトで医療の未来を築きたい

【なかむら・ひろあき】
1983年大阪市立大学医学部卒業、同整形外科入局。英ロンドン大学附属ハマースミス病院、大阪市立大学大学院医学研究科臨床医学専攻感覚・運動機能医学大講座整形外科学助教授などを経て、2009年から現職。

 要介護認定者数は650万人を超えた。主な要因の一つである運動器障害への対応は。70年の歴史を数える大阪市立大学整形外科が目指す医療のかたちを、中村博亮教授に聞いた。

「悪化したら手術」から転換を

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―近年の傾向について教えてください。

 高齢化が進行するにつれて、整形外科領域では「運動機能の低下」を要因とする疾患の患者さんが増加しています。

 まひや変形といった重度の症状を呈する患者さんについては一般的に手術を選択します。ただし、治療には金属や人工関節など、さまざまな器具を使用します。これまでと同じように治療を続けていては、いずれ医療経済は破綻に追い込まれるでしょう。

 介護者の増加は生産人口にも影響し、日本経済にも多大な損失を与えることは明確です。まずは整形外科医が「悪化したら手術する」という従来の考え方だけでなく、「予防する」意識を持つことが重要だと思っています。

 運動機能の低下がどのようなタイプの人に起こりやすく、どのような経過をたどるのか。それを知る必要があります。

 地域に暮らす住民およそ300人を対象として定期的に体力測定を行っていますし、当整形外科を受診している患者さんにも筋量や運動機能の測定を実施しています。

 経年的な研究によって健康群から疾患群に移行する「分かれ目」を見極めることができれば、整形外科として何かしらの介入や対策を講じることができるのではないかと思います。

 運動機能の低下による疾患を瀬戸際で食い止めて医療費や介護費を減らすことができれば、日本の社会経済に貢献できるかもしれません。そうなればこれからの日本の医療において、整形外科医が活躍できる場は、もっと広がっていくでしょう。

多様性への対応がより重要になる

―スポーツ医学の分野はいかがでしょうか。

 今年は日本でラグビーワールドカップが開催されることもあって、スポーツ整形外科医の役割も注目されています。

 大会直前の8月30日、31日には、私が会長を務める「第45回日本整形外科スポーツ医学会学術集会」が開かれます。テーマは「原点からの飛躍と多様性への対応」としました。

 種目やポジション、あるいはプロ、アマチュアなどによって、医師に求められる治療、回復のレベルは異なります。「多様性」に対応していくには幅広い知識が必要です。

 今回、「学生と若手医師が語るスポーツ整形外科」と題して、卒前の医学生と若手の整形外科医によるディスカッションの場を設けています。

 これからスポーツ医学の道に進みたいと考えている学生たち。そして、現在スポーツ医学と向き合い、難しさや、やりがいなどを感じている若手の医師たち。それぞれの立場から意見を発信し、実りあるディスカッションが展開されることに期待しています。

誰もが安心して働ける環境に

―医局の今後についてはいかがでしょうか。

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 以前は女性が少なかった整形外科領域ですが、手術器具の軽量化が進んだこともあって、現在、入局者のおよそ6人に1人は女性医師です。

 整形外科は、幅広い領域をカバーしているのが特徴です。手術のスキルに男女差はありません。入局後はさまざまな経験を積んで、自分自身が興味をもった領域のスペシャリストを目指してほしいですね。

 妊娠や子育てといったライフイベントとキャリア形成を両立できる環境を整えていきたいと考えています。そのためには、互いの立場を理解し、協力し合える環境が欠かせません。

 もちろん、支援の対象は女性だけではありません。誰もが安心して働くことができる、多様性に富んだ医局にしたいと思っています。


大阪市阿倍野区旭町1-5-7
TEL:06-6645-2121(代表)
http://www.med.osaka-cu.ac.jp/orthoped/

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