九州医事新報社 - 医療・医学の〝今〟を伝えて62年

社会医療法人協和会加納総合病院 加納 繁照 理事長・院長

社会医療法人協和会加納総合病院 加納 繁照 理事長・院長

街と共栄共存65年民間病院の発展にも尽力

【かのう・しげあき】
1980年順天堂大学医学部卒業。京都大学医学部附属病院、神戸海星病院、大阪赤十字病院、大阪大学医学部附属病院などを経て、1992年から院長、1999年から理事長も兼務。

 大阪・キタからほど近い繁華街、通称・天六(てんろく)。天神橋筋商店街の北の起点としてにぎわうこの地に開院して65年。2代目として病院を率いる加納繁照理事長・院長は、日本医療法人協会会長も務める。

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―地域密着型の病院です。

 1953年に父が開設した加納医院が原点。4年後に法人化し病院となり、以降、医療と福祉を支えるグループに発展しました。当院の歴史を語る上で外せないのが1970年に、近所で起こった「天六ガス爆発事故」。死傷者約500人の大惨事で、前年から始めた急性期医療の力が試されました。救急医療の意義を記憶に刻み続け、二次救急病院として現在に至ります。

 年間5000件超の救急搬送を受け入れ、特に高齢者救急にシフトしているのが特長。脳卒中センターではt-PAをはじめ、血栓除去術などの最先端の血管内治療に対応するため5人の専門医を配置。これは市内有数でしょう。もう一つの特長は、急性期、回復期、慢性期の病床を3:2:1の割合で持つケアミックス病院であること。一病院完結型は患者さんにとって非常に良い形。最後まで治療に専念でき、最終的には主治医がかかりつけ医にしっかりつなげて、在宅医療を続けられる。逆もしかりで、再入院も安心です。

 特に都会では機能分化が叫ばれていますが、すべてが専門病院に特化すればいいわけではない。各機能を落とさずに急性期としての評価を得ることは可能です。それには300床のこの規模が適切な大きさでしょう。

 状況に応じてさまざまな対応ができ、長いお付き合いができるのは民間病院ならでは。私もいまだに「先生あんなに小さかったのになあ」と声を掛けられる。うれしいことです。しかし、信頼も裏返せば逆の評価にもなる。気を引き締め、「日本一の民間病院になろう」と職員には言っています。

 グループでは病院や市内最大級の介護老人保健施設なども擁しており、総ベッド数は675床、職員数も1000人近くに増えました。今後も、医療と福祉の両輪で地域に貢献していくつもりです。

―民間病院の再評価・地位向上に取り組んでいます。

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 日本の医療は民間病院が担っているというのが私の持論。「2・3・4、8・7・6の法則」と呼んでいますが、公的対民間の比率が、約8400ある病院数では2対8、160万床ほどあるベッド数では3対7、救急搬送年間約560万台の受け入れで見ると4対6と民間が多い。公的病院のほうが数少ないのに救急を結構受け入れているじゃないかと思われるが、民間の数には精神科や慢性期も入っている。急性期のベッド数で言うと4対6で、やはり民間主体です。

 人口密度の低い地域では公的病院に頼らざるを得ない半面、大都会のある都道府県では民間の受け入れ数が多い。公益性の高い医療を民間が担う役割は今後より大きくなるでしょう。

 荒廃した戦後の日本の医療がここまで発展できたのは、世界に類のない医療法人制度があったからこそ。病院が法人格取得によって医療に再投資できたから施設は充実し、皆保険制度により、安く、公平に医療が受けられるようになったのです。

 しかし、少し前まで民間には税制面で公的病院のような非課税枠はなかった。そこで、十数年前に有志で運動を始め、2008年に実現したのが「社会医療法人」制度です。現場と行政、政治が一致したことでようやく非課税への道が開けました。

 当初は、当院が日本社会医療法人協議会事務局でしたが、現在は私が会長を務める日本医療法人協会に委託しています。長期的な視野に基づいた医療への提言も、協会の役割。切磋琢磨しながら価値を高めてきた民間病院の存在意義は、より理解されるべきだと思っています。

社会医療法人協和会 加納総合病院
大阪市北区天神橋7-5-15
TEL:06-6351-5381(代表)
http://www.heartfull.or.jp/kano/

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