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愛知医科大学医学部 乳腺・内分泌外科学 中野 正吾 教授

愛知医科大学医学部 乳腺・内分泌外科学 中野 正吾 教授

RVS導入の画像診断で乳がんの発見率が向上

【なかの・しょうご】
1991年熊本大学医学部卒業、同外科学第二講座入局。東京大学医科学研究所附属病院外科医員、癌研究会附属病院(現:がん研究会有明病院)乳腺外科などを経て、2016年から現職。

 超音波画像とMRI画像を同期させるバーチャルリアリティー技術「リアルタイムバーチャルソノグラフィー(RVS)」を乳がんの領域に応用。病変の発見率を大きく高めた「愛知医科大学発」の診断技術は、ヨーロッパをはじめ各地の臨床現場で活用されている。さらなる「開拓」を目指す中野正吾教授を訪ねた。

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―RVSの活用について教えてください。

 病変の検出率の向上を目指して、画像診断技術の開発に取り組んでいます。その一つが「RVS」という技術を用いた診断です。

 マンモグラフィーや超音波では病変を検出することができず、MRIでのみ発見できた「偶発造影病変」のおよそ3割は悪性であるとされています。

 偶発造影病変が発見された場合は、見直しのための超音波検査「セカンドルックエコー」を行い、正確な位置を探し出します。しかし、検査技師の習熟度によって、検出率にどうしても幅が生じてしまうのが現状なのです。およそ6割にとどまります。

 RVSを活用したセカンドルックエコーでは、MRIで従来のうつぶせに加えて、あおむけの姿勢でも撮影します。超音波画像とMRI画像をRVSで同期させることで、これまでMRIでしか発見できなかった病変を超音波で確認できるようになります。

 この手法は、5ミリ以下の病変でも正確な位置を検出することが可能です。私たちがRVSを実施した症例では、従来の超音波では検出できなかった病変の発見率が、およそ9割に上昇しました。

 もともとRVSは、肝臓や前立腺の組織採取時の補助装置として使われていた技術です。乳腺画像診断への導入は世界で初めての試みです。

―講座の特徴は。

 東海地区で初めて「乳腺・内分泌」を専攻する講座として2002年に開講しました。現在、8人いる医局員のうち、半数を超える5人が女性です。

 乳がん、甲状腺がんは女性に多い疾患ですから「同性の医師に診てもらいたい」と希望する患者さんが少なくありません。女性医師の力が必要とされ、また働きやすさの面でも環境が整っているのではないかと思います。

 開講当初、乳がんの手術件数は年間で30例ほどでした。年々増加しており、2017年度は209件でした。愛知県内にある医療機関の中で、4番目に多い手術実績です。

 手術件数が増加している背景には、マンモグラフィー検診の認知度が高まったことや、意識の高まりによる受診率の向上があると思います。また、乳がんの発症そのものが増えている可能性も指摘されています。

―どのようなことに力を入れていきますか。

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 2013年から3Dマンモグラフィー(トモシンセシス)を用いて、石灰化した病変の生検(トモバイオプシー)を行っています。この生検方法を実施している施設は国内では数えるほどしかありません。

 当教室の藤井公人准教授が中心となり、国内の国立大学と共同して新たなマンモグラフィーの開発に向けて研究を進めています。RVSの応用に続く独自の技術を世界に向けて発信したいと考えています。

 育成面では、がんに対する関心を高め、この領域に強い人材を育てたいと考えています。私自身も、若い医師たちと一緒に超音波検査や読影などの技術を指導するとともに、やりがいをしっかりと伝えることができるよう努めています。

 近年の傾向としては乳房再建術を選択する人が増加しており、乳房全摘術を選択する人の割合が高まっています。もちろん、乳房温存手術を希望する人も一定数います。

 患者さんにとって最善の選択とは何か。それをしっかりと考え、向き合うことができる。そんな人材が育つ場でありたいですね。

愛知医科大学医学部 乳腺・内分泌外科学
愛知県長久手市岩作雁又1-1
TEL:0561-62-3311(代表)
http://www.aichi-med-u.ac.jp/su06/su0607/su060703/13.html

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