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鳥取医療生活協同組合 鳥取生協病院 皆木 真一 院長

鳥取医療生活協同組合 鳥取生協病院 皆木 真一 院長

HPHの意識を高め地域の健康を守っていく

【みなぎ・しんいち】
1981年鳥取大学医学部卒業、鳥取生協病院入職。同外科医長、わかさ生協診療所所長、すえひろ生協診療所所長兼鳥取生協病院副院長などを経て、2016年から現職。

 急性期医療、リハビリテーション、緩和医療の三つの柱を基本構想として地域医療を支え続ける鳥取生協病院。「より地域に開かれた医療機関をめざす」とうたう医療施設にとって、ヘルスプロモーション活動はどのような位置付けで、具体的にどのようなことが行われているのか。

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―ヘルスプロモーション活動の詳細について。

 生協では最少3人の組合員から組織される「班会」というものを行っています。健康チェックを行い、自分たちで健康づくりのための学習やレクリエーションを実施。私たち病院職員もリハビリスタッフが中心となって、一緒に参加しています。

 健診センターでは健康診断や人間ドックを実施。またスタッフが積極的に外に出ていくようにもしています。最近だとショッピングセンターで健康体操の実演や医療介護相談、子ども向け口腔チェックなどを行いました。幅広い世代をカバーできるよう多職種のスタッフを派遣するよう心掛けています。

 病気で医療が必要になった人を、なんとか治療しようと医療職が必死になっているのが現状です。しかし、医療が必要になる前の段階で何とかする、すなわち予防が今、医療に求められています。結果だけをケアすればよい時代から、要因をつかまえて改善する時代に移っているのです。

 そのときに有効な視点がSDH(健康の社会的決定要因)だと考えます。同じ職場に勤めていても、役職によって健康状態に相違が生じます。社会活動に参加しているか否かで認知症の発症率も変わりますし、収入格差による健康格差は深刻です。

―自治体や他の医療機関との連携について。

 地域の要望で施設や集会を訪問して講演することが以前よりも増えています。医療者のニーズを自治体に提言すべく、社会保障推進協議会が中心となって自治体キャラバン活動なども行われています。私は、自治体側も実態がわからずに困っている部分があると思うのです。

 例えば、生活保護の方が部屋にエアコンがなかったがために病状を悪化させ、高額な医療費が発生してしまったケースがあります。医療の現場ではこういうことが実際に起こっています、ということを冷静に伝える必要があると思います。

 鳥取東部は私たちを含めて4病院で救急に対応していますが、西部に比べて医師が不足しています。特に脳卒中や心筋梗塞のカテーテル治療ができる医師は明らかに足りておらず、カテーテル治療ができる病院への患者の集中による医師の負担増も大きな課題となっています。

 四つの病院でどう連携を取るのかというのは悩ましい問題で、打開策はまだ見つかっていません。高齢化による救急搬送件数の増加もあって、救急体制の整備は、かつてに比べてずっと優先順位が高くなっています。

―今後の展望を。

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 ヘルスプロモーション活動には今後も力を入れていきたいので、日本HPH(ヘルスプロモーティングホスピタル)に加盟したいと考えています。疾患のある人に対応していくことはもちろん大切なことですが、同じくらい疾患にならない人をつくる、疾患を未然に防ぐことが大切です。

 また、県東部圏域の医療を守っていくことが私たちに課せられた大きな役割です。医師や看護師にとって「学べる病院」になってしっかり後継者を育成していきたいと切に願っています。知識と技術に加えて、SDHの視点を伝え、地域の健康づくりまで視野に入れたトータルな医療人を育成したいですね。

 自然とカンファレンスなどでヘルスプロモーションやSDHの考え方が出てくる。そんな理想的な職場にしていくための第一歩として、日本HPHに加盟する意義は大きいのではないかと考えています。


鳥取市末広温泉町458
TEL:0857-24-7251(代表)
http://www.med-seikyo.or.jp/

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