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独立行政法人国立病院機構九州がんセンター 肝胆膵外科 杉町 圭史 医長

独立行政法人国立病院機構九州がんセンター 肝胆膵外科 杉町 圭史 医長

診療科横断のチームで肝胆膵がんに向き合う

【すぎまち・けいし】
1997年九州大学医学部卒業。2002年同大学大学院修了(医学博士)。米ハーバード大学マサチューセッツ総合病院外科留学、九州大学病院別府病院外科診療准教授、福岡市民病院肝臓外科科長などを経て2017年から現職。

 高度な技術が求められる肝胆膵がんの手術。九州がんセンターは、専門医がおり手術症例が一定数以上ある「」の一つだ。難治と言われるがんに、どう挑んでいるのか。肝胆膵外科の杉町圭史医長に聞いた。

―肝胆膵がんに関して、九州がんセンターの取り組みや強みを。

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 がんは、早期発見と早期の治療開始が治療成績に大きく関わってくる疾患です。しかし、肝胆膵のがんは、自覚症状に乏しいだけでなく、一般的な健康診断でも見つかりにくく、特に膵がんは、自治体検診の項目にも含まれていないため、しばしば進行した状態で発見されます。

 当センターでは、肝胆膵がんの治療のため、肝胆膵内科、肝胆膵外科、放射線診断科、放射線治療科、病理診断科などが集まって、週に1回カンファレンスを開いています。さまざまな分野の専門家が集まり、一人ひとりの患者さんの状態に合った治療法を選択しているのです。

 肝がんは、切除すれば治る可能性があり、われわれも積極的に手術を実施しています。しかし、患者さんは肝硬変など肝疾患がある場合がほとんどです。肝障害度によっては、肝臓の再生力が低く、肝臓を切りすぎると肝機能が著しく低下し、肝不全を起こしてしまいます。

 そこで術前に、肝機能の評価を十分にすると同時に、CT画像をもとにした3次元画像を使った切除ラインのシミュレーションをすることで、手術の確実性を高めています。

 ただ、当然のことながらすべてのケースで肝がんを切除できるわけではありません。肝障害度、腫瘍数、腫瘍のサイズ、さらには患者さんの希望なども含めて検討し、ラジオ波焼灼術や肝動脈化学塞栓術(TACE)、肝動注療法なども含めて、より良い方法を選択します。また、切除以外の方法によってがんが小さくなれば、切除へと移行することもあります。

 胆管がん、胆のうがんについては、唯一の根治療法が手術です。安全性に最大限配慮しながら、積極的に取り組んでいます。

―膵がんの治療については。

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 膵がんの場合は、手術が唯一、根治の可能性がある治療法で、「できるならば手術をする」ことが基本です。進行していたり、転移していたりといった理由で、切除不能な場合には抗がん剤での治療になります。現実的には手術ができない患者さんが多く、また手術後に再発することもあり、必ずしも手術ありきではなく抗がん剤治療をしながらがんと共存していくことも大事だと考えています。

 膵臓の手術は、消化器系のがんの中でも複雑です。胆管や膵管が膵頭部を貫いて十二指腸へとつながっているほか、重要な血管も周囲に何本もあります。膵がんが周囲に浸潤しやすいがんであることも、手術の難度を上げています。

 当センターでは、がんの状態や位置に応じて、膵頭十二指腸切除や膵体尾部切除を実施します。高度進行がんに対しては、術前化学療法と手術を組み合わせて治療することもあります。

 また、術後は命に関わることもある合併症の一つ「膵液漏」に十分注意して、厳重な術後管理をしています。リハビリや栄養指導など、さまざまな面から患者をサポートできるのも、がん専門病院の強みでしょう。

 当センターで膵がんの手術をした方の生存率は全国的に見れば良好ですが、十分ではありません。早期治療開始のための早期発見に向けた啓発が欠かせません。

 当センターでは肝胆膵内科の古川正幸副院長がエコー、CT、MRIを用いた「肝胆膵ドック」を実施、推進しています。現状では、、特に膵がんを早い段階で見つけるのは難しいため、危険因子がある方を中心に検査の重要性を周知していくことが、予後改善のために、まずできることなのではないかと思っています。


福岡市南区野多目3-1-1
TEL:092-541-3231(代表)
https://www.ia-nkcc.jp/

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