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鹿児島大学大学院医歯学総合研究科消化器・乳腺甲状腺外科学教室 前村 公成 准教授

鹿児島大学大学院医歯学総合研究科消化器・乳腺甲状腺外科学教室 前村 公成 准教授

新時代の医師を育てるトレーニング環境を

【まえむら・こうせい】
1991年鹿児島大学医学部卒業、鹿児島大学病院、米ジョンズ・ホプキンス大学留学、済生会川内病院などを経て、2015年から現職。

 新たなテクノロジーが次々と生まれ、診療科を越えた連携の必要性が高まる中、医療や教育のあり方はどう変化していくのか。鹿児島大学の前村公成准教授が今感じていることは。

―これからの人材育成のポイントをどのように見ていますか。

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 腹腔鏡下手術やロボット支援下手術など、人間の手ではなく「デバイスを介した手術」へシフトしていることが一つ。

 私が専門としている膵臓(すいぞう)がんや胆道がん治療の領域でも、その流れが強くなっていくのではないかと思っています。

 そのためにしっかりとトレーニングできる教育システムを整えていくことが、ますます重要になるだろうと考えています。

 当教室においても、将来を見据えたシミュレーションシステムの開発を進めているところです。

 従来の「切る」だけにとどまらず、術後に臓器がうまく機能する「再建」まで含めて、デバイスで着実に、そして安全に実施できる。そんな時代の到来に備えた教育を進めていきたいとイメージしています。

―医師の役割も変わっていくのでしょうか。

 医療へのAIの導入がさらに進んでいくと、いずれ外科の手術も「一定の自動化」へ至るだろうと言われています。

 ただ、高度に自動化された飛行機にもパイロットが必要であるように、いくら手術が機械化、自動化されようとも、私たち医師が関与しなくなることはないでしょう。

 未来に向けて段階的な進化のステップを経ていく中で、私たちも新しい技術や知識を取り入れながら、研究を進めていきたいと思っています。

 研究の過程で生まれたさまざまな発見や成果は、実際に私たちが行っている膵臓の再建法に結び付くなど、臨床に還元されるものも少なくありません。

 注力している取り組みの一つに、医用画像の活用があります。ゴーグルなどを使用せずに肉眼で見ることができるホログラフィー技術が発展しており、CTなどで得た画像を立体的に映し出すことができるのです。

 当教室でもソフトウエアを開発している企業と連携して、医局員の教育や学生向けのレクチャーなどに使用しているほか、手術支援としても導入しています。

―改めて膵臓がんや胆道がんの治療の今後について聞かせてください。

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 国内のがんの死亡数において、膵臓がんは4位(国立がん研究センター「最新がん統計」)。対策が急がれています。

 鹿児島県がん診療連携拠点病院である当院では、鹿児島県がん診療連携クリティカルパス「私の手帳」を活用し、連携病院やかかりつけ医間での診療経過の共有に努めています。これまでは胃、大腸、肺、肝臓、乳の5大がんを中心としてきましたが、膵臓がんについての取り組みも本格的に始まりました。

 膵臓がん、胆道がんに共通しているのは、予後が悪く、術後の合併症が起こりやすいという点です。手術療法の対象とならないケースも少なくありませんので、内科や放射線科など複数の診療科が連携した集学的治療が欠かせません。

 鹿児島大学病院ではこのチーム内で密に情報を交換し、コミュニケーションを図ることで「ホットラインでつながっている」とも言える強固な関係性を築いています。難治性の疾患などにも円滑に対応できる、患者さんに安心していただける体制づくりを着々と進めています。病院全体で「横のつながり」が強まっていることを感じています。

 患者さんの中には、診断がつかずに紹介で来院される方もいらっしゃるのです。

 例えば私が診て、別の専門の先生の力が必要だと判断すれば、すぐさまダイレクトに他科と連携できる。その理想形を追い求めていきたいと思っています。


鹿児島市桜ケ丘8-35-1
TEL:099-275-5111(代表)
http://gekaichi.com/

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