九州医事新報社 - 地域医療・医療経営専門新聞社

徳島大学病院 病院長 永廣 信治

徳島大学病院 病院長 永廣 信治

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 新年明けましておめでとうございます。昨年は西日本豪雨災害や台風による大きな被害が中国四国・関西地域に発生しましたこと、被災された方々には心からお見舞い申し上げます。今年は大きな災害もなく平穏に過ぎることを祈っています。

 地震などの災害で病院が倒壊などの被害を受け、患者の電子カルテ情報などが参照不能になると、その病院に通っていた患者が最も困ります。徳島大学病院では、一昨年度から総務省の事業資金を得て、ICTを用いた医療連携ネットワークシステム(愛称:阿波あいネット)の構築事業に取り組みました。徳島県、自治体、県内各病院・施設、医師会などの協力のもと、これまで一方向であった医療情報を双方向で参照可能とし、ソフトが異なるネットワーク間の乗り入れや、電子カルテがない施設のレセプトデータ参照も可能です。登録した患者・住民の医療情報データは県外のクラウドに保存し、必要時にどの連携施設からも参照可能ですので、災害で病院が倒壊し院内患者の医療情報が紛失しても、データは残ります。阿波あいネットへの参加登録は、現在2万6000人を超えていますが、本年度はシステムの本格運用に応じて参加施設と登録者の拡充に努める予定です。将来的には、自分のスマートフォンなどに本人の診療・健康情報が配信され、自ら病気の予防や健康維持に努めることも可能となるでしょう。

 徳島大学病院は県内唯一の特定機能病院として高度の医療を提供し、臨床研究や医療人の育成に加え、地域・社会貢献にも努めています。地域包括ケアシステムの充実に関しても、徳島大学病院が主体となって、徳島県地域包括ケアシステム学会(ToCCS: https://www.toccs.jp/)を立ち上げ、すでに2回の学術集会を開催しました。また一般人を対象に、人生100年時代を健康で幸せに生き抜くためには、いかに自らを変革、転身しライフシフトするかについて、心、医療、健康を学ぶ「人生100年ライフ・シフト大学」(https://www.tokushima-hosp.jp/life_shift.html)を病院内に開校し、スタッフが講義や実習形式でリカレント教育を展開しています。今年も地域に愛される大学病院として頑張っていく所存ですので、今後ともよろしくお願いいたします。

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