北九州市医師会 会長 下河邉 智久

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初夢は・・・

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 明けましておめでとうございます。

 新たな年が皆さまにとりまして、ご多幸の一年となりますことを心より祈念申し上げます。

 さて、ジョン・F・ケネディの演説と言えば、1961年に連邦議会議事堂で、「国があなたのために何をしてくれるかではなく、あなたが国のために何ができるかを考えようではないか」と国民に呼びかけた就任演説があまりにも有名ですが、わたくしの中ではそれに勝るとも劣らない演説があります。

 テキサス州のヒューストンにあるライス大学がNASA(アメリカ航空宇宙局)の有人宇宙飛行センターのために、広大な敷地を寄付したことから、これを記念して、1962年に名誉客員教授として大学に招かれた際に行ったアポロ計画についての演説です。

 「我々は必ず10年以内に人類を月へ送る。それはたやすいことではなく、困難なことだからこそ目標に掲げるのである」と力強くうたい、その後、彼自身は志半ばにして凶弾に倒れますが、この公約はわずか7年後に実現することになります。

 米ソ冷戦の真っただ中、大統領はこの演説から1カ月後に起こったキューバ危機も力でねじ伏せます。 誰もがアメリカの自由や豊かさ・強さに憧れた古き良き時代でした。

 そのアポロ11号が初めて月面に着陸してから半世紀、2014年12月に種子島宇宙センターから打ち上げられた探査機"はやぶさ2"が実に4年近くの歳月をかけて、3億キロ離れた目標である小惑星「リュウグウ」にたどり着き、投下した2台の小型探査ロボット"ミネルバ"は世界で初めて地表を移動し、地表面を高精度にとらえた写真撮影にも成功しました。

 ものづくりの拠点が他のアジア諸国に奪われていくなかで、日本の技術の粋が結集された成果であります。

 "はやぶさ2"は数々の貴重なデータを集積し、東京オリンピックが開催される2020年に帰還する予定で、このプロジェクトが大成功となることを期待しております。

 振り返れば、昨年は各地が地震や集中豪雨、台風などの災害に見舞われ、また国会では議員や官僚らによる不祥事が頻発し、そして本来、夢や希望を与えるはずのスポーツ界においても、セクハラやパワハラが席巻した1年だったという印象で、数少ない明るい話題として記憶に残ったのが 本庶佑・京大特別教授のノーベル医学・生理学賞の受賞とこの"はやぶさ2"の快挙でした。

 この先の日本を待ち受けているのは、昨年5月に内閣官房・内閣府・財務省・厚生労働省が共同で経済財政諮問会議に提示した「2040年を見据えた社会保障の将来見通し(議論の素材)」に掲げられているとおり、極めて悲観的なことばかりです。

 こうした先の見えない混沌とした時代には、古今東西を問わず、いつの世も強いリーダーシップを持った為政者の出現が期待されますが、アメリカ国民に勇気と希望を与えたジョン・F・ケネディは当時43歳という若さでした。

 日本にもこうした救世主が現れることをせめて初夢の中だけでも見てみたいものです。

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