新年明けましておめでとうございます。湯けむりのあがる別府から年頭のご挨拶をさせていただきます。
九大別府病院はその前身の九州帝国大学温泉治療学研究所として別府に昭和6(1931)年に設立されて以来、今年で88年を迎えます。初代研究所長は心臓の房室結節と刺激伝導系の発見で名高い田原淳(たはらすなお)教授であり、以来その時代時代の難病の診療と研究を行ってきました。10万㎡に及ぶ広大な敷地に病棟、外来棟、そして研究施設を有しており、敷地内には桜をはじめ多種類の木々が植栽されており、豊かな緑と静かな空間に囲まれています。昨年10月末には、当院を舞台に撮影された映画「栞」(しおり)が全国公開されました。三浦友和、百恵夫妻の次男、三浦貴大が主人公の理学療法士を演じたこの映画では、主人公がさまざまな境遇の患者たちと向き合い苦悩しながらも成長していく姿が丁寧に描かれています。
別府市は学園都市であり、当院をはじめ立命館アジア太平洋大学(APU)、京都大学地球物理学研究所など五つの大学施設を擁しています。また別府市は2015年日本創成会議(増田寛也座長)によって医療・介護施設が日本でもっとも充実した2地域のうちの一つに選定されています。九大別府病院はこのように恵まれた周辺の大学施設、医療施設と連携しながら、別府市が策定し内閣総理大臣の認定を受けた「生涯活躍のまち」形成の地域再生計画の中核施設として機能していくことが求められています。
当院はとくにリウマチ・膠原病、血液・固形がんなどの悪性疾患、脊椎疾患については九州大学病院グループの一員としての自負をもって質の高い医療を提供しています。そして鉱泥浴を利用した線維筋痛症などの慢性疼痛の治療も定評があり、県外からも多くの患者さんが受診されています。今後とも、「患者さんに満足され、医療人も満足する医療の実現を目指します」という九州大学病院の理念を追求してまいる所存です。本年もどうかよろしくお願い申し上げます。末筆になりましたが皆さまのますますのご健勝をお祈り申し上げます。