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大分大学医学部総合診療・総合内科学講座 宮﨑 英士 教授

大分大学医学部総合診療・総合内科学講座 宮﨑 英士 教授

“心優しい”総合診療医を地域で育てていきたい

【みやざき・えいし】 1984 大分医科大学卒業 1997 米ジョンズホプキンス大学リサーチフェロー 2004 大分大学医学部内科学第三助教授 2007 同准教授 2010 同地域医療学センター教授 2017 同総合診療・総合内科学講座教授 同附属病院副病院長

 2018年4月にスタートした新専門医制度で、総合診療専門医が新設された。その役割や方向性を大分大学の宮﨑英士教授に話を聞いた。

―総合診療専門医とは。

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 内科系疾患を幅広く診る「内科専門医」と何が違うのか、と尋ねられることがあります。総合診療専門医は内科疾患だけではなく、、救急など幅広い分野の初期診療にあたるというのが、大きな特徴でしょう。

 当院の「」は内科に強い総合診療専門医が在籍しています。新規患者の来院理由で多いのは、不明熱、倦怠感、体重減少、めまい、物忘れなど。臓器を特定できない症状や原因がわからない疾患、複数の病気がある高齢者は、まず私たちが診察します。「すべての患者さんを診る」という姿勢で診療にあたるのが、総合診療科だと言えると思います。

―求められる総合診療専門医像について聞かせてください。

 地域の中核となる病院で必要とされるのは、「得意領域を持った総合診療医」です。現在、都市部から離れた地域では、200人規模の病院に10〜15人ほどしか医師がいません。各医師が自分の専門領域しか診なければ、「穴だらけ」になり、患者が不利益を被ります。

 しかし、得意とする専門分野を持ちながら他の領域も診ることができる医師が多ければ、みんなで補完しあうことができる。専門外もある程度診療できる医師が必要なのです。

 一方、診療所や小規模の病院では、他職種と連携して地域包括ケアを支え、在宅医療も実践できる「家庭医」が不可欠です。初診を担当し、必要となればそれぞれの領域の専門医につなぐ。自分たちで治療が可能なのか、どの診療科に紹介すればいいのか、紹介に緊急を要するのか否か。そういった判断を迅速に下すことができる総合診療専門医が求められています。

―県内での総合診療専門医の養成状況は。

 新専門医制度では県内では2人(大分大学と大分健生病院に各1人)の専攻医がおり、旧制度では3人の専攻医がいます。県内の専攻医は合同で勉強会、ポートフォリオ発表会を実施しています。

 新専門医制度では、総合診療の専攻医はまだ多くありません。しかし、旧制度にあたる大分大学総合診療医・家庭医養成プログラムで研修した医師5人が今年度の家庭医療専門医試験に合格し、これから総合診療の指導医として活躍します。身近にロールモデルがいることで、状況はかなり変わってくると思います。

―今後取り組みたいことはなんでしょう。

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 大学以外に総合診療専門医を育成するための施設を増やしたい。大学は、高度医療を提供する場ですので、総合診療専門医の育成の場としては、十分ではないと思うのです。総合診療医は地域医療の現場で育成してこそ力を発揮します。これからはその体制づくりが必要だと感じています。

 総合診療専門医には心理的、社会的なケアも求められます。患者さんは「会社を休まなければならないのか」「家族をどうやって養っていけばいいのか」「治療費はどうするのか」といったさまざまな不安も抱えています。疾患だけでなく、精神面にも社会面にも寄り添う。総合診療専門医の役目です。他に行き場のない困難事例にも対応できる能力を有するのが総合診療医ですね。

 大分県で研修を受けたら「心優しい」医師になれるプログラムを作り上げていきたいと思っています。治療のスキルはもちろん大事ですが、付加価値として、「心優しい」医師であり、患者中心の医療を実践できる医師であることが、総合診療専門医の大きな特長です。

総合診療・総合内科学講座
大分県由布市挾間町医大ケ丘1-1
TEL:097-549-4411(代表)
http://www.med.oita-u.ac.jp/soushin/

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