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医療生協さいたま生活協同組合 埼玉協同病院 増田 剛 院長

医療生協さいたま生活協同組合 埼玉協同病院 増田 剛 院長

“健康格差”をなくすためには

【ますだ・つよし】 1987 山梨医科大学(現:山梨大学医学部)卒業 埼玉協同病院研修医 1989 同消化器内科 1995 自治医科大学大宮医療センター(現:さいたま医療センター)内視鏡研修 2012 埼玉協同病院院長

 中核病院として急性期、周産期医療に注力するだけでなく、貧困、虐待など患者が抱える疾患以外の問題にも長年向き合ってきた。今、力を入れているのは、ヘルスプロモーションだ。

―病院の特色は。

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 一般病床401床の病院で、県のがん診療指定病院でもあります。また、二次救急医療を担う立場として、年間4000台以上の救急車を受け入れています。

 最先端の医療を学ぶため医師はそれぞれの分野でトップクラスの病院に出向。持ち帰った知識や技能で病院のレベルをアップデートし続けてきました。

 整形外科は関節治療センターを立ち上げ、県外からも多くの患者さんがお見えになります。全国有数の人工関節治療実績を持ち、再生医療にも着手。治療後のリハビリや帰宅後の自立支援もサポートします。

 消化器の疾患に関しては、内視鏡による検査から悪性腫瘍の切除まで幅広く対応。肝胆膵の鏡視下手術も手掛け、件数を伸ばしています。

―総合サポートセンター、教育研修センター、HPH推進センター、クオリティマネジメントセンターの4センターを設けた狙いは。

 当院の理念は「人権をまもり、健康なくらしに役立つ医療を、地域とともにつくります」。治療の質だけでなく患者さんの健康を増進できるような環境を提供しなければいけません。

 そこで、ワンストップで患者さんの相談に応じる総合サポートセンターを立ち上げました。医療ソーシャルワーカーや看護師などが患者さんの経済的、精神的な問題、職場や学校などで生じる可能性があるトラブルへの対応など、さまざまなニーズに向き合っています。

 2011年開設の教育研修センター「SKYMET」は、後継者育成が大きな使命です。開院時からのテーマの一つでした。そもそも当院は1994年に臨床研修病院の認定を受け、医師の教育に力を入れていました。センター設立によって、医師以外の医療従事者も学び続けることができる機能をもたせたわけです。

 HPH推進センターはWHO(世界保健機関)が認定する「ヘルス・プロモーティング・ホスピタル(HPH・健康増進活動推進病院)」としての活動を活発化する狙い。当院は2013年にHPH国際ネットワークに参加し、患者さんだけでなくご家族や地域の方の健康改善を目指しています。「みんなが健康でいられる仕組みをつくろう」が大きなコンセプト。禁煙外来の実施や運動教室の開催など、さまざまな職種が関わっています。

 そのほか「クオリティマネジメントセンター」は当院のすべての事業の質管理のセンターであり、臨床指標の分析と課題整理・公開、患者の診療参加の促進など、医療の質向上に取り組んでいます。

―「HPH」の活動を推し進める理由は。

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 「健康の社会的決定要因」といって、近年は社会的、経済的、政治的、環境的な条件が健康状態に影響することが世界中で認められるようになってきました。

 低体重で生まれた子どもは将来、糖尿病などの生活習慣病を発症するリスクが高まります。母親が妊娠中に無理なダイエットをすれば、子どもに病気を背負わせることになりかねない。虐待や貧困の連鎖も問題になっています。

 世界ではヘルスプロモーションに関する研究が進み、日本でもHPHに登録する医療機関が増えています。当院はこれまでも医療以外の面にも目を配り、産婦人科や小児科では、虐待やいじめのリスクが高い親子をケアする仕組みを学校現場などと連携してつくってきました。これからも経済的背景、家庭環境などにまで目を向けて、患者さんと向き合っていきます。

医療生協さいたま生活協同組合埼玉協同病院
埼玉県川口市木曽呂1317
TEL:048-296-4771(代表)
http://kyoudou-hp.com/

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