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近づくか社会との共生

近づくか社会との共生

脱・精神疾患の長期入院

精神疾患領域の課題の一つ「」。地域包括ケアシステム構築の流れの中で、患者をどう社会へ移行させていくか、議論が活発化している。

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◎何割が自宅に戻れるか

 厚労省は今年3月、「」を公表した。

 退院後にどの地域で生活することになっても、医療、福祉、介護、就労支援などの包括的なサポートを継続的に受けられるよう「可能な範囲で自治体が中心となった退院後支援の体制や具体的な手順の整理」を後押しする。

 背景には、日本では「精神疾患による入院が長期化しやすい」現状がある。

 日本の精神病床数は世界的に見ても際立って多い。入院患者数は28万9000人。そのうち「1年以上」の長期入院患者は18万5000人と6割を超え、1年未満の入院も含めた平均在院日数は減少傾向にあるものの、およそ280日にも及ぶ(厚生労働省「2014患者調査」)。疾病別では統合失調症が最多。認知症、気分障害などが続く。

 精神病床を退院した患者はどこに行くのか。

 入院期間が長期になるほど家に帰るのは難しくなる。3カ月〜1年未満の家庭への退院は62.0%。1年以上5年未満になると29.2%と急激に下がり、5年を超えると「14.3%」しか家庭に戻れていない。多くが他の医療機関に転院したり、介護老人保健施設に入所したりしている。

◎地域への移行に向けて

 国は「入院医療中心から地域生活中心へ」と打ち出した「精神保健医療福祉の改革ビジョン」(2004年)を軸とするさまざまな検討を進めてきた。

 2014年に「医療保護入院患者」の地域生活への移行を主眼とする「改正精神保健福祉法」が施行。「退院後生活環境相談員」が各種相談に応じ、地域援助事業者を紹介するなど、退院支援が制度化された。

 2020年度末までに長期入院患者を最大3.9万人、2025年度末までに最大8.8万人減らすことを目標に「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」の構築が進む。柱は「地域移行を促す基盤整備」「治療抵抗性統合失調症治療薬の普及」「認知症施策の推進」の3本だ。

 この4月には、障害者雇用義務の対象が精神障害者にも広がった。「共生」に向けた動きは、少しずつ前進している。

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