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医療法人済衆館 済衆館病院 今村 康宏 理事長

医療法人済衆館 済衆館病院 今村 康宏 理事長

100年の歴史に新たな一歩 在宅を支える緩和ケア

【いまむら・やすひろ】 東海高校卒業 1995 名古屋大学医学部卒業 市立四日市病院 2001 JR東海総合病院 2003 済衆館南病院院長 2006 済衆館病院副院長 2014 医療法人済衆館理事長

 創立104年の医療法人済衆館済衆館病院は、愛知県北名古屋市で救急から回復期まであらゆる医療ニーズに応える。2年前には緩和ケア病棟を新設。今村康宏理事長は「在宅生活で困ったら気軽に頼ってもらえる施設にしたい」と話す。

◎地域の要望で多科に

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 創立は1914年。現在は2次救急をはじめとした急性期、回復期、慢性期、、健診・人間ドックまで幅広く医療サービスを提供しています。

 北名古屋市と近隣の清須市、豊山町には公立病院がありません。そのため、当院には地域から「何でも診てほしい」という強い要望があった。それに応える形で科を増やし、今に至っています。

 15年前に私が当院に来た時、周囲からは「今後は単科に特化しないと生き残れない」と言われました。しかし、それでは地域の人たちのニーズに応えられない。現在は、、小児救急を除く診療科を網羅(もうら)し、各分野に必ず1人以上の専門医を配置しています。

◎安心できる終末期を

 2年前、新築した西館に念願の緩和ケア病棟をつくりました。この地域で緩和ケアをしている病院はあまりなく、「絶対に需要がある」と確信していました。

 最初に思い描いたのは、終末期のがん患者を「長期入院させて看取る」という施設のイメージ。しかし、管轄する保健所の担当者が何気なく言った「これからは、がんも在宅の時代ですから」という言葉を聞いて、改心。家に帰ってもらうための手助けをする拠点にしたいと考えました。

 中には、最期の時までずっと施設にいたいと言う人もいます。一方で、本人が家に帰ることを望む場合もある。家族も支える態勢ができているなら、それを支援します。当院は訪問看護も手掛けており、退院後もサポートできます。

 自宅で過ごしていて急変した場合は、救急を通して入院してもらうこともあります。レスパイトケアで利用してもらうのもいい。在宅で困ったら、いつでも頼ってもらえる存在でありたいと思っています。

 私は外科医になって2、3年目のころ、末期の肺気腫の患者さんを担当しました。高齢で、認知症。亡くなる直前、私の手を取って「助けて」とおっしゃった。その言葉とすがるような目をはっきりと覚えています。たとえ認知機能が低下しても、「最期の苦しみ」はあります。穏やかな終末期を過ごすための環境づくりが必要だと思ったのは、その経験があるからです。

 緩和ケア病棟の病室は、個室だけでなく、4人部屋もあるのが特徴です。終末期では、周囲の人の声や物音が聞こえる方が安心な人もいるからです。

 この病棟では、2人のがん性疼痛看護認定看護師に活躍してもらっています。がんの痛みや扱う薬についての専門家です。また、臨床心理士も非常に重要な役割を担っています。患者さんの心のケアはもちろん、実はスタッフにとっても大きな支えなのです。

 ここでは、一晩で4、5人亡くなることもあります。そういう時、スタッフは落ち込み、自分たちのしてきたケアは良かったのかと悩んでしまう。気持ちを受け止めてもらえる存在がいると、とても救われます。

◎現場感覚大切に運営

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 病院の診療のレベルを上げたいと常に考えています。今年2月には、新たに足の静脈瘤(りゅう)治療も始めました。ほかにも導入できることはないか検討し、高度な医療を追求し続けます。

 私はプレイングマネージャーとして診療も担当しています。現場の感覚を大切にしたい。そして、運営に生かしていきたいと思っているのです。


愛知県北名古屋市鹿田西村前111
TEL:0568-21-0811(代表)
http://www.saishukan.com/

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