九州医事新報社 - 地域医療・医療経営専門新聞社

香川県医師会 会長 久米川 啓

香川県医師会 会長 久米川 啓

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 新年明けましておめでとうございます。皆様におかれましては、穏やかな新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。また、平素より医師会活動にご理解とご協力を頂いておりますことに、厚く御礼を申し上げます。

 現在、国は来る2025年問題に向け、「地域包括ケアシステムの構築」と「地域医療構想の策定」を両輪とし、強力に改革を推し進めようとしています。特に地域医療構想に対しては、「公的医療機関等2025プラン」の中で新公立病院改革ガイドラインなるものを作成し、公立病院の改革を求めています。香川県では構想区域を東部・西部・小豆の3つの区域に設定し、その中で将来の機能別の必要病床数等を考えていくことになりました。次期医療計画では、これが二次医療圏として明記されることになりそうですが、保健所機能や救急体制は現行通りとすることになっており、今後、時間をかけて各医療機関の意見を伺いながらの調整になろうかと思います。

 さて、国の借金は、ほとんどが国民や日銀が保有する国債によるものなので心配いらないと言われる方もおられますが、実際、財政は緊迫しており、今後増大するであろう医療費に対し、どのように対処すべきか明確なプランは出ていません。このまま放置すれば間違いなく日本の皆保険制度は継続不能となります。将来、保険料を大幅に上げるのか、自己負担をアップするのか、混合診療を認めるのか、診察や治療に制限を加えるのか、誰も言い出せずにいます。いずれも痛みを伴うものであり、世論に左右される政治家や、2〜3年の間隔で人事異動により担当者が変わる行政にはなかなか論議できない問題です。我々、医療関係者としても死活問題であり、真剣に考えなくてはならない問題ではありますが、それぞれ専門領域や仕事の内容、またその立場により、現在置かれている状況は様々であり、まだそんなに逼迫しているとも感じておられない方が多いようです。こういった意見をまとめることは簡単ではありませんが、必ずやそういった方々も危機感を持つことが近い将来にあるはずです。我々、医師会は国民の後押しを受けて医療改革に取り組むべきと感じています。

 今年4月には医療、介護報酬の同時改定が控えています。我々にとっても厳しい改定となりそうですが、甘んじて受けるしかありません。今、働き方改革の関連で、医師の時間外労働の問題が取り沙汰されており、我々にとっては何をいまさらという気持ちもありますが、やはりこのままでは医師の疲弊が続くばかりです。しかし今の状況として、それに対する即効性のある妙案は見つかりません。医師がこれほど頑張っているという現実を知らしめるためにも、現状の調査と改善策を、国やメディアを交えた場で論議すべきと思います。

 昨年、横倉義武日本医師会長が世界医師会長に就任されました。武見太郎会長以来、短期間の間に3人もの会長が就任されたのも、横倉会長の高いリーダーシップばかりでなく、日本の保険制度や医療体制が世界のトップにあることが高く評価されていることによるものと思います。この日本の保険制度が、先進国が日本と同様に抱える高齢化の中で、その問題をどう切り抜けて行くのか世界は注目しているはずです。

 今後、益々医療を取り巻く環境は厳しくなっていきますが、今年も我々は頑張って参りますので、皆様方の変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます。新年が皆様にとりまして良い年でありますよう、祈念致しましてご挨拶とさせて頂きます。

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