福岡市医師会 会長 長柄 均

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 年頭にあたり謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

 昨年の海外の大きなトピックとしては「アメリカ・ファースト」を掲げたドナルド・トランプ氏が第45代米国大統領に就任したほか、欧州でも「反移民」や「反EU」を掲げて自国利益優先を唱える政党が支持を広げ、これまでのグローバリズムを前提とする経済・通商政策を見直す動きが顕在化した年となりました。

 また、隣の朝鮮半島では、北朝鮮が通算6回目となる核実験や、日本上空を通過する弾道ミサイルの発射を強行し、これに対して米国が軍事的圧力を強めるなど、朝鮮半島有事の可能性が高まっています。

 国内においては、昨年7月に福岡・大分などの九州北部を記録的な豪雨が襲い、土砂崩れや増水などにより多くの集落が孤立し、多数の死者・行方不明者を出すなど甚大な被害をもたらしました。今なお避難生活を余儀なくされている方もいらっしゃいます。自然災害時における医師会の果たすべき役割について、さらに追求しなければならないと考えている次第です。

 一方、医療界に目を向けますと、近年の長時間労働に起因する過労死や自殺が社会問題となる中、"医師"の「働き方改革」の難しさが浮き彫りとなっています。働き方改革の大きな柱は「長時間労働の是正」ですが、医師は医師法に基づく応招義務が定められていることから、現状のまま長時間労働を厳格に規制してしまうと「診療を拒絶する正当な事由」の一つに該当してしまう可能性があり、「働き方改革実行計画」との整合性を図るため、今後十分な議論が必要となります。

 このような状況の中、いよいよ「平成」最後の診療報酬・介護報酬同時改定が迫ってまいりました。更には、第7次医療計画・第7期介護保険事業計画・第3期医療費適正化計画もスタートしますので、本年は今後の医療・介護施策において極めて大きな節目の年となります。近年、市場原理主義の風潮の中で、次第に現実味を帯びてきた地域医療崩壊のシナリオを何とか食い止めるとともに、「働き方改革」についても、全ての世代の人々が希望に応じて、意欲・能力を活かして活躍できるエイジレス社会の実現を願うばかりです。

 最後になりますが、本年が明るく活気のある社会を創る年になるとともに、皆様方にとりましても幸多き年でありますよう心より祈念申し上げます。

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