久留米大学病院 病院長 八木 実

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 新年あけましておめでとうございます。穏やかな新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。

 今年は、戊戌(つちのえいぬ)干支は戊、十二支は戌ということで、戊(つちのえ)は「茂が語源で、草木が繁盛して盛大になること」。戌(いぬ)は「切るという意味で、草木が枯死すること」。陰陽五行説で2つを見た時、どちらも「土の陽」で"比和"という関係であり、比和とは同じ気が重なるため、良いことはより良く、悪いことはより悪くなるといわれていて、五行思想の「土」自体に変化を表す意味もあり、何かしら大きなことが起こることが予想され、良いこと、悪いことがはっきり分かれるのかもしれません。十干十二支は十干( 10)と十二支( 12)の最小公倍数は60ということで60年周期で同じ十干十二支がまわってくることになります。戊戌を考察すると60 年前は1958(昭和33 )年で好景気に入っていった年でした。120年前は1898(明治31)年で大隈重信内閣が成立し、大隈内閣は、それまでの藩閥政治から、日本で最初の政党内閣への大きな変化を遂げた年でした。

 そういった状況を迎える中で、私は2017年4月に久留米大学病院長に就任いたしました。久留米大学医学部はブリヂストン創業者の故石橋正二郎氏による本学の設立にあたってのご尽力以来、今年で90周年を迎えます。建学以来、優れた臨床医を養成することを理念として、これまでに多くの先輩医師たちを輩出し、筑後地域を中心とした地域の方々の健康維持、回復のお手伝いをさせていただいてまいりました。

 医療を取り巻く現状に目を向けると2016年度の診療報酬改定では7対1入院基本料の施設基準が厳しくなりました。2018年度の診療報酬改定でさらに厳しくなることが推定されます。加えて地域医療構想では、2025年における高度急性期病床の必要病床数の調整の局面に至っています。戌年は余分、過剰な物事に大鉈を振るい思い切った大整理をする年で、簡素の美に徹する年でもあるといわれ、病院の経営においても今まで以上に余分な贅肉を切り取り、無駄な支出を抑えねばならないことになると思っています。草木が再生するために地に還るように、不要なものは切り捨てることで新たなチャンスを得るように頑張りたいと思っています。このように高度急性期病院を取り巻く環境は厳しさを増していますが、ロボット手術やハイブリッド手術をはじめとした手術室の機能強化により、これまで以上に重篤な患者さんの受け入れを推進するとともに、医療・介護の連携推進を通じて筑後地域の中核医療機関として地域の医療機関の皆さまの要望に応えてまいりたいと思っています。

 当院は市民や地域の医療機関の皆さまに信頼され、地域で最も存在感のある病院となるべく精進しておりますので、引き続き当院に対する皆さまのご協力とご支援をよろしくお願いいたします。

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