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ICT活用で患者、職員に優しく

ICT活用で患者、職員に優しく


院長(さきやま・しょうじ)

1986年佐賀医科大学医学部(現:佐賀大学医学部)卒業。
カナダ・トロント大学胸部外科留学、徳島大学医学部准教授、
独立行政法人国立病院機構高知病院副院長などを経て、2020年から現職。

 「日々丁寧に、やるべきこと、当たり前のことを地道に続けていく。何年後かに振り返った時『良くなったね』と言われるように着実に歩んでいきたいですね」。先山正二・新院長は、穏やかにほほ笑む。

オンライン診療で選択肢を増やす

 病院のウェブサイト。4月の就任直後にアップされた院長あいさつは、「新型コロナウイルスに罹患(りかん)し闘病されている方々にお見舞い申し上げますともに、1日も早く回復されますことを願っております」という言葉から始まっている。

 「いつもであれば、抱負から書き出すのでしょうが、今年は新型コロナの記載を外すことはできないと考えました。高知県は四国で初めに感染者が確認され、人口比で見ると、大都市圏に次ぐ数の患者さんが治療を受けました。われわれも、情報や経験がない中、手探りで対応してきました。職員が、国立病院機構の病院としての使命を認識し、奮闘してくれていることに、感謝しています」

 病院長となって、目指す病院の姿として院内外に示したのは、「患者さんに優しい、職員に優しい、環境に優しい、時代と地域のニーズに応じた安全で安心な医療を提供する信頼される病院」。

 具体的な取り組みの一つとして、4月に「ICT推進室」を立ち上げた。9月のオンライン診療導入を目指して、準備を進めている。

 「まずは、室長の専門でもある産婦人科で試験的にスタートさせる計画です。賛否両論あることも承知していますが、患者さんのニーズも確かにある。私たちとしては、『オンライン診療ありき』ではなく、患者さんの選択肢を広げたいと考えています」

 高知県が進める医療介護情報連携ネットワーク「高知あんしんネット」への参加申し込みも終えた。年内には、患者本人の同意があれば、県内の医療機関と患者に関する情報の共有が可能になる。

 「ICTの活用は、患者の利便性向上と職員の働き方改革、両面からメリットがあると考えています。新型コロナの拡大で必要に迫られて、という面もありますが、この機会に推進していきたいですね」

 「環境に優しい=光熱費の削減」も目標とした。ただ、「今年はある程度、目をつぶらざるをえないですね」と話す。密集、密接、密閉の3密を避けるために、窓を開けながら空調を使用する機会が増えた。「倹約できるところは倹約し、必要なところには使う。職員と方向性を共有して、工夫することが大事です」

 無駄の削減は、時間や空間の概念にも共通する。会議はスタート時間を厳守して待機時間を減らし、可能な限り短時間で実施。院内にある備品は置き場所まで確認し、使用しないものは処分する。小さな積み重ねで時間や空間を「削り出す」ことを徹底する。

医療資源の有効活用を模索

 副院長として4年、この病院を見てきた。「ここは、呼吸器内科・外科を強みとし、重度心身障害者の病床も、急性期の病床もある『複合型』の病院。この強みを生かして、病院を運営していきたいと思います」

 自院が強みとする役割を担い、そこに人材も費用も集中的に注ぐ。他病院に任せるべきところは、任せる。「それぞれが特長を生かし、あるときは譲り合ったり調整したりすることで、今ある医療資源を有効に活用でき、地域の医療機関の『共存共栄』も可能になるのではないでしょうか」

 機能分担は、同時に、職員の働く環境の改善にもつながると考えている。「医療は労働集約型の産業で、職員の心身の健康が第一。過重な負担をかけないためにも、機能分担が重要です。日頃頑張っている職員たちが、ストレスなく、最大限満足して、本分を果たせる、そんな環境を整備していけたらと考えています」

独立行政法人国立病院機構 高知病院
高知市朝倉西町1-2-25 ☎️088-844-3111(代表)
https://kochi.hosp.go.jp/

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