九州医事新報社 - 医療・医学の〝今〟を伝えて62年

DWIBS乳がん検診を開始 受診率向上の切り札に

DWIBS乳がん検診を開始 受診率向上の切り札に

  ・病院長(せき・じょうじ)
1982年東京大学医学部卒業、同附属病院。ドイツ・フランクフルトゲーテ大学生理学教室、
東京大学医学部腎臓内分泌内科講師などを経て、2015年から焼津市立総合病院病院長、
2019年から同病院事業管理者兼務。

 地域の救急医療を一手に引き受ける市内唯一の総合病院。周産期・小児医療や脳卒中の分野も強みとする。MRIを用いてがんを見つける「DWIBS検査」を早期から導入。新病院建設計画も進む。

―DWIBS検査を導入した背景と、現状について。

 MRI装置による最新の画像技術を用いた検査です。被ばくせず、痛みもなく、食事制限も不要。心身の負担が少なく、何度でも受けられるのがメリットです。

 導入したのは3年前ですが、相当な苦労がありました。MRIは局所を撮る装置ですが、DWIBS検査は耳から太もものあたりまで広い範囲を捉えるもの。当院のMRI側にその受信機がなかったため、MRIを担当する臨床検査技師が開発に当たったのです。

 最終的に、MRI装置と患者さんとの間に板を1枚置き、患者さんは動かさず受信機をスライドさせる仕組みを発案。この天板の開発により、既存のMRI装置をそのまま使って撮影できるようになりました。

 あえて特許は申請しませんでした。普及させることを優先したかったからです。現在はバージョン3まで更新され、全国十数施設で使われています。通常診療としての画像診断に加え、2年前にはDWIBS総合がん検診も開始。受診者数は順調に伸びています。

―「痛くないMRI乳がん検診」も3月にスタート。

 DWIBSを乳腺に特化した検診です。5月末までの予約は現在50数件。焼津市内が18件、それ以外は県内の他市町の方ですね。

 誤解してはならないのは、乳がん検診として国が推奨しているのはあくまでマンモグラフィーであり、DWIBSはそれを補う位置付けだということです。ではなぜDWIBSなのか。そもそも乳がん検診の受診率は「痛い、恥ずかしい」といった理由などから4割に届かないのが現状。そこで「痛くない、見られない」というメリットを打ち出すことで、まずは気軽に受診してもらうきっかけにしたいのです。

 全身の総合がん検診に関しても同様で、これだけで完全に従来のがん検診やPET―CTに置き換わるものではない。その一方で、何度でも受けられる利点は経過観察に有用です。現在は精神科や眼科を除く診療科で治療判定などに使っており、婦人科では2~3カ月に一度フォローされる患者さんもいます。

 昨年度のDWIBS実施回数はがん検診も含め、711件。全国でも3~4本の指に入る多さでしょう。近隣病院にも知られていますので紹介も多いですね。

 DWIBS総合がん検診は昨年9月から、乳がん検診はこの6月から、焼津市のふるさと納税返礼品となっています。関心が広がることで受診率の向上につながれば。

―新病院建設を予定されています。展望は。

 将来の医療需要の変化に応じて柔軟に対応できる病院を目指します。重点機能は引き継ぎながらも、病床数は少し減って450床程度に。今年度から2年かけて基本設計、次の2年で実施設計、2023年度に着工、2025年度に開院する計画です。

 この医療圏では、当院と藤枝市立総合病院、市立島田市民病院、榛原総合病院が機能分担しながら支え合っています。今後も関係性を維持しつつ、ニーズの変化に応じてやっていくつもりです。

 4年前、私がここへ来たときに感じたのは、多職種連携がとてもうまくいっているということ。昨年度はJCEP(卒後臨床研修評価機構)の認定を初めて受審しましたが、院内全体で救急を負担していることや多職種が研修に関わっていること、特に臨床検査技師が手取り足取り教え込むというのは他にない取り組みだと高く評価されました。全職種が尊重し合い協働する気風を、新病院でも大事にしたいですね。



焼津市立総合病院
静岡県焼津市道原1000
☎054―623―3111(代表)
https://www.hospital.yaizu.shizuoka.jp/

この記事を読んだ方は他にこんな記事も読んでいます

最新の記事情報が取得できます

Twitter

「いいね!」ボタンを押すと、最新情報がすぐに確認できるようになります。

Instagram

フォローする」ボタンを押すと、最新情報がすぐにツイート上で確認できるようになります。

コメントはこちらから

メニューを閉じる