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CROSS TALK -地域と働き方改革- 多様化する「やりがい」 地域貢献にどうつなげる?

CROSS TALK  -地域と働き方改革-         多様化する「やりがい」 地域貢献にどうつなげる?

 医療者の働き方改革はこれからの地域医療のあり方と密接に結びついている。医療機関に求められる役割が広がる中、職員のやりがいをどう創出し、支えていくべきか。それを地域の信頼にどうつなげるか。カマチグループの原点である下関リハビリテーション病院のチャレンジを紹介する。

「やればできる」手応えがあった

─現状はいかがでしょうか。

林研二 院長(以下、林) 当院でのリハビリを終えて自宅に戻っていただく。高齢化が進む中、そんな従来の枠組みだけでは、地域での役割を十分に果たせないのではないかと考えています。退院した患者さんのうち6割ほどの方が外来リハビリ、通所リハビリなどで当院との関わりが続いています。より積極的に切れ目のないリハビリを展開し、下関に根ざした医療を提供したいと思っています。

 例えば、がんの手術を受けたあとに廃用症候群などで体がうまく動かせなくなり、不自由な生活を強いられている。そうした回復期リハビリテーションの対象にならない方も多くいらっしゃるのです。活動の場を少しずつ広げて受け入れ体制を整えていきます。

─地域貢献と職員の満足度との関連については。

 職員たちに一定の仕事の充実感があって、自分が地域に貢献していると感じられること。それが信頼される病院につながるのだと思います。そして、頑張りすぎて疲弊しないための対策を講じることが欠かせません。

石田憲司 副院長兼事務長(以下、石田) 力を入れている取り組みの一つは有給休暇の取得。言い出しにくい人、休みは必要ないという人。毎月の会議で未取得者をピックアップして、意識的に呼びかけています。

─効果はいかがですか。

石田 対象の60人の職員のうち7割ほどが5日間を消化しました。昨年は取得ゼロだった職員が、今年は5日以上の有給休暇を取得しているケースもある。「やればできるんだ」という手応えがありますね。

 また、育休制度を利用する男性職員は珍しくありませんし、グループの方針として「3人目の子ども」の手当が厚くなっているのも特色です。



異なる価値観を認め合える関係へ

─仕事のやりがいについて感じていることは。

波多野崇 医療技術部長兼リハビリテーション科課長(以下、波多野) 4年間ほど五反田リハビリテーション病院(東京都品川区)の立ち上げに関わり、今年7月、下関に戻ってきました。あらためて実感したのは、地域によってライフスタイルやニーズ、それらを踏まえたケアの優先順位などがまったく異なること。キャリアアップを目指す上で大きな経験だったと思います。

石田 グループ病院を手伝う目的での行き来は活発ですね。みんな充実した時間を過ごしているようです。

波多野 予定していた期間が過ぎても「もう少し勉強したい」と延長を希望する人もいます。持ち帰った経験を生かして、さらにレベルアップを目指す。いい循環があります。

 リハビリテーション科のスタッフは130人強。ベテランと若いスタッフでは仕事に対する価値観も異なります。「世代が違うから仕方ない」と思わず、それぞれのやりがいを理解できるよう努めるのが大切かなと思います。

 考え方も多様化していますし、多くの選択肢がある。「やりたいことがある」という職員の思いを、できるだけ受け止めたいと考えています。

─女性の視点としては。

中板留美 医療連携室係長(以下、中板) 医療連携室は、とても残業が多い部門だったのです。みんな「患者さんのために」と、つい一生懸命に仕事をしているうちに退社時間が遅くなってしまう。私が仕事をしながら子育てしていることもあって、誰もが長く働ける環境にするには、改善が必要だと感じていました。

石田 役職者による会議「下リハをもう少し良くする会」でも、定期的に各部署の業務の状況を確認しています。何か困っていることがあれば、「ここを効率化できるんじゃないか」などと意見を出し合って、解決策を探ります。

中板 部署内でもしっかりと話し合うことで、ずいぶん意識が変わってきたと思います。ピーク時と比較して残業は3分の1ほど減りました。ママやパパの子育てをはじめ、一人一人の職員を応援できる職場をつくりたいですね。

 若い人たちの目標となる女性の幹部を増やしていくことは、これからの大きなテーマの一つ。多様性のある職場を目指すためのポイントです。

挑戦の成果を広く発信したい

─多様性という点でいえば、男性の看護部長はあまりいないのでは。

半田弘文 看護部長(以下、半田) 看護師長は多いと思いますが、看護部長は珍しいかもしれませんね。グループ病院では私1人、山口県全域の医療機関で見ても数えるほどです。

 女性が多い部門ということもあって、やはり家庭との両立のサポートが求められています。また、仕事においては女性の良さ、男性の良さを、うまく調和させていくことが大事。お互いに足りないものを補える関係が理想ですね。働きやすい職場であることがチームワークの基本。信頼される病院の前提となるものではないでしょうか。

─最後に、今後に向けて。

石田 今年の病院機能評価の認定に続いて、2020年はISO9001の取得を計画。職員の質、医療の質を着実に高めていきます。

波多野 下関に暮らす人々のニーズ、地域のことをもっと知りたいですね。自分の興味の幅を広げることが、地域包括ケアにもつながっていくはずですから。

中板 私たち医療連携室としても、急性期病院との連携だけでなく、地域全体をどう支えるかに視点を移していく時期だと思っています。開業医の先生、ケアマネジャーさんからの相談も増えていますので、一つ一つ丁寧に対応していきたいと考えています。

半田 リハビリテーションで向上した機能を、いかに自宅での療養に生かしていただくか。患者さん自身で健康を管理できるよう、どう指導していくか。今後の看護の重要な役割だと思います。

 当院は新しいことに挑戦する姿勢を大切にしています。職員全員が「下リハ丸」に乗り込んで、下関からグループ全体、そして医療界に向けて、さまざまなチャレンジの成果を発信していきたいですね。

一般社団法人 巨樹の会 下関リハビリテーション病院
山口県下関市今浦町9─6
☎083─232─5811(代表)
https://www.shimoreha.jp/

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