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CROSS TALK -再編・統合- まちづくりを視野に入れ医療・介護施設を集約

CROSS TALK  -再編・統合-         まちづくりを視野に入れ医療・介護施設を集約


常務理事(くしびき・ひさまる)

1982年北海道済生会小樽北生病院(現:北海道済生会小樽病院)入職。
北海道済生会地域ケアセンター長、北海道済生会西小樽病院事務部長などを経て、
2018年から現職。

社会福祉法人恩賜財団済生会支部 北海道済生会小樽病院
病院長(わだ・たくろう)

1984年札幌医科大学医学部卒業。米ペンシルバニア大学留学、
北海道済生会小樽病院副院長、札幌医科大学大学院臨床教授などを経て、2017年から現職。

 明治に入り北海道開拓の海の玄関口として発展した小樽市。昭和初期には北海道経済の中心都市に成長し北のウォール街と呼ばれた。人気の観光スポット「小樽運河」は当時の繁栄を物語る建造物の一つ。この運河からほど近いJR小樽築港駅近くにある北海道済生会小樽病院では、病院を含む新施設整備計画で、まちづくりまでを視野に入れた、地域密着型医療を推進。今、大きく注目されている。

地域密着型の医療・介護の提供を目指す

―病院の特色を。

櫛引久丸常務理事

和田卓郎 病院長(以下病院長) 当病院は全国に370カ所以上ある済生会グループの施設の一つ。1924年に済生会小樽診療所として開設、2002年に現名称に変更、2013年に現在の場所に新築移転しました。

 急性期から回復期まで切れ目のない診療をはじめ、無料低額診療事業の推進など、患者中心の医療を展開しています。済生会小樽病院は内科、神経内科、循環器内科、外科、整形外科、泌尿器科、リハビリテーション科に特化しています。中でも整形外科に特徴があり、特に上肢や膝関節の診療は国内でも高い評価を得ており、本州からも患者さんが訪れます。

―目指す医療は。

①建築中の重症心身障害児(者)施設「みどりの里」(2019年9月現在) ②「みどりの里」完成予想図

病院長 地域住民の高齢化が進み、心身に複数の疾患を同時に抱える患者が増えています。そこで、当病院の特徴である総合的な医療に、福祉や介護を含めたサービスの一体的な提供を目指しています。

 その本格的な試みとなるのが「新みどりの里」施設整備事業。ここから車で15分ほどの高台にある済生会グループ西小樽病院の重症心身障害児(者)施設「みどりの里」を当病院に移転・統合します。さらに、包括支援センターや居宅介護支援なども入居する新型施設を、2020年夏にオープンする予定です。



重症心身障害児(者)施設「みどりの里」を移転・統合

―統合までの経緯を。

櫛引久丸 常務理事(以下常務理事) 済生会グループ西小樽病院は、国立療養所小樽病院の移譲を受け、内科と小児科の外来診療および医療型療養病床100床に加え、重症心身障害児(者)施設120床の「みどりの里」を併設する病院として2002年に開院しました。

 しかし、市の中心部から離れた傾斜地に位置し、アクセスが悪いため外来患者は増えず、建物の老朽化も進行。診療体制の再考を含めた施設整備の検討を2013年から開始しました。

 その結果、今後も増患が見込めない内科の外来および療養病床を休止。病床利用率が高い「みどりの里」事業に特化した運営を決定し、現地での新築の可能性を探ってきました。

 しかし、入所者の平均年齢が約37歳と比較的高く、家族の高齢化も進み、傾斜地に位置する施設への訪問は、特に積雪期となると危険が伴います。

 重症心身障害児(者)病棟は診療実態や規模にかかわらず、医療法に基づく人員や設備が求められるなど、さまざまな問題や経営上の課題が浮き彫りになりました。



小樽病院との連携強化施設運営がよりスムーズに

―統合のメリットは。

和田卓郎病院長

常務理事 小樽病院との連携により、入所者は質の高い医療をスムーズに受けられるほか、施設運営も不効率な人員配置や過剰な設備投資が避けられます。

 また周辺は、駅や商業施設が集積し、アクセスが大幅に向上するため、医師や看護師などの人材確保が行いやすい。ケアセンターとの協働などにより、幅広い知識を持った人材育成が可能。家族も安心して訪問できる、入所者の地域交流も促進できるなど、数々のメリットが生まれます。

 一方、西小樽病院は廃院し、跡地約1万1000坪は、入所者が働くソーシャルファームにするなど、有効利用をじっくり考えていきます。

―今後の展開を。

病院長 当病院が開業する築港地区は、2次医療圏の広域的な医療や高齢社会に対応した福祉など、公共的な生活サービス機能を充実する「医療・福祉関連サービス業務地区」に指定される小樽市の重要拠点エリアです。

 その中核施設である「新みどりの里」を含む当院は、住民が安心して暮らせる地域社会の実現のため、冒頭でも述べた通り医療・福祉・介護の一体的提供を目指します。今後も、サービス付き高齢者向け住宅の誘致など、まちづくりを含むさらなる事業展開を行っていくつもりです。

社会福祉法人恩賜財団済生会支部 北海道済生会小樽病院
北海道小樽市築港10―1 ☎0134―25―4321(代表)
http://www.saiseikai-otaru.jp/

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