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80時間以上の残業をなくし 幸せに働ける職場づくりを

80時間以上の残業をなくし 幸せに働ける職場づくりを

淀川キリスト教病院 
渡辺 直也 院長(わたなべ・なおや)
1987年神戸大学大学院医学研究科第一内科学
(現:内科学講座・循環器内科学分野)修了。
淀川キリスト教病院内科医長、同健康管理増進センター長、
同副院長などを経て、2013年から現職。

 「スタッフ自身の幸せがあって初めていい医療ができる。ずっとそう思ってきました」と渡辺直也院長。働き方改革に早期に着手し、現場の事情にも柔軟に対応してきた。人材の充実がよりよい地域医療実現のカギとなる―。根底にあるのは、そんな思いだ。

―働きやすさの改善について、考えと取り組みを。

 医師の過重労働が問題になっています。今のままでは若い人はついてきません。私自身、大阪府医師会の女性医師ワーキング部会委員に長年携わっており、3点セットと言われる「院内保育、病児保育、フレックスタイム」については早くから導入。一定の効果が得られています。

 ただ、本当に必要なのは女性医師だけでなく全体の改革です。きっかけは、2014年にあった労働基準監督署の立ち入り検査。医師の残業を80時間以内にするようにと指導が入りました。当時は時間外勤務の定義も明確ではなかったので、まず業務と自己研さんを区別。勤務実態を正確に把握するところから始めました。

 独自の業務管理システムをつくり、同時に職員の意識改革にも着手。各部長に、オンとオフをしっかり分ける、働き方に偏りがないよう仕事をシェアする、この2点を徹底するようお願いしました。

 さらに、勉強会は診療報酬上必要なもの以外は自己研さん扱いとする。カンファレンスや患者さんへの病状説明は時間内に行うことを掲示。当直明けの研修医は半日勤務で帰らせる。小児科や産婦人科は主治医をグループ制とし、当直も一部シフト制にする―など、できることから実行。大事なのは、効率よく働くことと、1人に負担がかからないこと。これで残業が次第に減り、80時間以上の残業がなくなる月も出始めました。

―柔軟な制度づくりや業務改善を推進しています。

 2018年から始めたのが、短時間正職員制度。週4日、3日もOKとするうちに、とうとう「週20時間以上で常勤正職員」を実現。1時間から取れる時間有休も取り入れました。
 注力しているのは、医師事務作業補助者の育成。非常に効率が良く、手応えを感じています。診療科に応じた業務をしっかり行えるよう、引き続き研修していきます。

 特定行為研修を受けた専門ナースも大きな力になります。例えば麻酔科なら、医師事務作業補助者に事前説明、専門ナースに麻酔管理を任せればいい。医師にしかできないと思われていた業務を担える優秀な人材を育てていくことが、大きな目標の一つです。

―今後は。

 区の人口は18万1000人、一つの医療圏に匹敵します。急性期は十分ありますが、足りないのは回復期リハや地域包括ケア病床。ポストアキュートやサブアキュートは、地域外に出るしかありませんでした。

 そこで、以前子どもホスピスに使っていた施設を回復期機能の病院に転用しようと試みましたが、結局、専門のところへ事業譲渡する形へ。これで来年3月からは、回復期リハと地域包括ケア計76床を区内に確保できます。十分に連携したいですね。

 その他の事業として、関連施設の「かんご庵」というホスピス型賃貸住宅があります。〝第2の我が家〟として最期を見守るモデル事業が育ち、8月からは当院の運営になりました。さらに、当院がサポートしている多職種連携ネットワーク「こぶしネット」の活動も非常に活発です。医療から看護、介護まで、一人の患者さんを地域全体で支える基盤となっています。

 ここは1955年に米国長老教会婦人会の誕生日献金で建てられた病院です。われわれは、いわばまかれた種。その種が育った今、自分たちもまた種をまき続ける使命があります。活動が少しずつ地域に根付くよう、これからも力を合わせていきます。

在日本南プレスビテリアンミッション 淀川キリスト教病院
大阪市東淀川区柴島1―7―50
☎06―6322―2250(代表)
http://www.ych.or.jp/

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