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32年ぶりの故郷 地域医療に貢献

32年ぶりの故郷 地域医療に貢献

鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 消化器・乳腺甲状腺外科
教授(おおつか・たかお)

1994年九州大学医学部卒業。
米ハーバード大学研究員、佐賀大学医学部附属病院、
九州大学大学院医学研究院臨床・腫瘍外科准教授などを経て、2020年から現職。

 桜島を間近に眺める本土最南端の鹿児島大学。その消化器・乳腺甲状腺外科を2020年4月から率いる大塚隆生教授。離島が多い地域特性に応じた医療推進に改めて力を注いでいる。今後の教室運営の方向性を聞いた。

地域医療への貢献を誓う

 赴任の時期が、新型コロナウイルスの感染拡大期と重なり、着任早々、大学から2週間の自宅待機を命ぜられた大塚教授。

 「姶良市にある鹿児島県立加治木高校を卒業以来、32年ぶりに鹿児島県へ戻って来たのもつかの間、この措置には少々面食らいました。しかし、何事もないことを確認し、憂慮なく仕事に取り組めたのは、逆に幸先の良いスタートだったと思います」

 待機を解かれ、教室のスタッフに語った最初の言葉は、地域医療への貢献。

 「鹿児島県はへき地や離島が多い。そこで暮らす人々を常に視野に入れた医療の推進が重要です。前任教授で鹿児島大学病院前病院長でもあった夏越祥次先生が長年にわたり率いた当教室には、外科医として必要な技術を後輩に伝えるシステムがしっかりと確立されています。先生の教育に対する情熱を含め、この体制を引き継ぎ、優秀な人材を輩出して、地域の医療ニーズに応えていきたいと思います」

父親に連れられ野山で狩猟体験

 実家は旧加治木町(現:姶良市)。父親は銃砲店を経営していた。「父自身も狩猟が好きで、よく私を連れて野山に鹿や鳥を撃ちに出掛けました。私は釣りの方が性に合っていたので、川や池で勝手に過ごすことが多かった。父は仕留めた獲物を持ち帰り、肉を近所の人や仲間に分け、剝製を作っていました」と、少年時代の思い出を語る。

 この狩猟体験が、外科医を目指すきっかけになったかもしれないと語る。「特に釣りは手術と共通する部分があるような気がします。最初に川の様子をよく観察し、あそこまでは安全に行ける、越えると危険、あの岩陰には魚がいるなど、自分で判断します」

 手術も同じだという。「患部を俯瞰(ふかん)し十分に観察後、メスを入れる部位を定め、あそこは大丈夫、越えると出血が始まるなど、自分の判断で手術を進めていきます。私と同じように野山や川でたくさん遊んだ経験を持つ人は、外科医に向いているかもしれない」と笑う。

 部活は剣道部。熱心に練習に励み、医師になってからも続け、4段を取得した。「30代半ばになり竹刀を振る時間の確保が難しく、遠ざかってしまいました。同期生には7段を取得した猛者もいて、会うと段位を自慢する。もっとやっておけば良かった」と苦笑する。

外科医の魅力は技術と人間性の両立にあり 離島医療の改善にも挑む

 外科医の魅力は技術と人間性の両立という。「患者さんの多くはがん。人生最大の危機を迎え、その回避を外科医に託すわけです。それに応える知識と技術、信頼に足る人間であることも同時に併せ持つ必要があり、まさに全人的医療を行うのが、外科医だと思っています」

 現在のがん治療は、化学療法や放射線治療などを組み合わせた集学的治療が進んでいる。

 「外科医が目指すべきは、患者さんの術後の体力を温存する内視鏡手術やロボット支援下手術など低侵襲な手術の推進です」

 交通手段の確保が難しいへき地などに出向かずとも、通信回線を結んで行う〝遠隔手術〟にも挑む構えだ。「離島医療の改善につながると、当教室では積極的に進める方針です。遠隔手術の実用化に向けた研究は、日本外科学会が中心となり研究に取り組んでいます。私も全力でお手伝いします」


鹿児島市桜ケ丘8-35-1 ☎️099-275-5111(代表)
http://gekaichi.com/

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