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30年続く症例検討会 地域連携の「財産」に

30年続く症例検討会 地域連携の「財産」に

独立行政法人 地域医療機能推進機構 金沢病院 村本 弘昭 院長(むらもと・ひろあき)
1980年金沢大学医学部卒業、同第二内科(現:循環器病態内科学)入局。
社会保険鳴和総合病院(現:JCHO金沢病院)、同副院長などを経て、2015年から現職。

 各地で進む地域連携。地域医療機能推進機構(JCHO)金沢病院は、長年にわたりさまざまな工夫を重ねて連携体制を発展させてきた。30年ほど前にスタートした、近隣の医療機関の医師が参加する「症例検討会」の開催も重要な取り組みの一つ。病院内外の関係性を強める会の特徴や、そのメリットなどを聞いた。

―まずは病院の特徴を。

 「地域密着型の病院」を掲げて、1947年に開院した社会保険鳴和総合病院が前身です。

 金沢社会保険病院への名称変更、移転を経て、2014年、運営母体がJCHOに移行しました。

 目指しているのは「切れ目のない医療の提供」です。2次救急患者を受け入れる急性期病院であると同時に、併設の健康管理センターを中心とするがんの早期発見や生活習慣病の進行予防などに力を入れています。

 また、地域包括ケア病棟、併設の介護老人保健施設、訪問看護ステーションなどを活用し、多様な職種が連携。介護・福祉領域のニーズに応え、リハビリテーション部門の充実による社会復帰支援など、地域の方々をトータルにケアする体制を整備しています。

―「症例検討会」について教えてください。

 毎月第4月曜日の夜に当院で開催しています。かかりつけ医の先生方からどのような患者さんが当院に紹介されたのか、症例の情報を共有する場です。

 会が始まったのは、まだ地域の医療機関の連携に対する関心があまり高くなかった1988年のことです。開催は300回を超え、ここで学ぶ視点はいまや地域医療の実践に欠かせないものになりました。基本的な内容は当初からずっと変わらず、月に1度の症例発表と、それらを毎年、報告書として取りまとめて関係者に配布しています。

 参加者は当院と近隣のかかりつけ医の先生方で、毎回、30~40人ほどが集まります。診療科は限定していません。スライドを用いた学会形式で、10~20例を発表。ディスカッションでは活発な意見交換がなされています。

 さまざまな症例に対する知識の向上はもちろん、お互いの顔の見える関係性をしっかりと構築できることが症例検討会の大きなメリットでしょう。

 デジタルツールを介したコミュニケーションが中心となりましたが、やはり顔と顔を合わせて情報を共有しておくことで円滑な紹介、逆紹介につながります。

 また、学会形式を採用することで、特に研修医や若手の医師たちにとって、プレゼンテーションの力を養ういい機会にもなっていると思います。

―育成面で力を入れていることは。

 患者さんの症状や悩みを広く受け止めることができる、総合力を備えた医師の育成を重視しています。

 専門領域が細分化した現在、自分の得意分野を持つことも大切です。ただ患者さんの立場で考えると、複数の診療科を受診しなければならないケースもあるなど、一定の負担が生じていることも事実です。

 医師が診療の範囲をできるだけ広げることで、そうした負担を軽減することもできるでしょう。当院としては「総合医」をベースとした人材の増加にも努めたいと考えています。

 もう一点、医療の技術だけでなく、経営的な視点を早くから磨いておくことも大事だと思います。

 病院単体では、地域医療を完結することはできません。医療機関がそれぞれの役割を分担し、責務を果たしていくためには、信頼関係が欠かせない。

 その意味では、症例検討会は私たちの財産とも呼べるものです。「金沢病院なら任せられる」と他の医療機関や患者さんに感じてもらえるよう、引き続き連携に注力していきます。

独立行政法人 地域医療機能推進機構 金沢病院
金沢市沖町ハ─15
☎076―252―2200(代表)
https://kanazawa.jcho.go.jp/

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