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コロナ後の病院運営を見据える

コロナ後の病院運営を見据える

独立行政法人国立病院機構 栃木医療センター
田村 明彦 院長 (たむら・あきひこ)
1988年慶應義塾大学医学部卒業。
大田原(現:那須)赤十字病院、独フンボルト大学、
国立病院機構栃木医療センター外来診療部長、同副院長などを経て、2021年から現職。


 当院は、1908年に陸軍病院として開設された歴史のある病院です。45年、旧厚生省の管轄で国立栃木病院としてスタート。戦後しばらくは北関東の中心的病院でした。

 思い返せば栃木県との縁は深く、90年に済生会宇都宮病院で研修医生活を送り、大学に戻った後も3年間は手伝いに来ていました。2000年から大田原(現:那須)赤十字病院にて一般外科と救急に従事した後、2年間のドイツ留学を経て、05年9月に当院の外科医長として赴任。外来診療部長、副院長を務めました。

 就任に当たり、当面の目標はコロナ後の世界にいかにうまく病院を誘導するかです。すでに収束に向かっている地域や国が出ており、わが国もワクチン接種が本格化して、そう遠い将来のことではありません。しばらくは地域的な流行が散発するでしょうし、疾患構造の一時的変化も否定できず、落ち着くにはもう少しかかると思います。

 実際に、検診の受診率が下がり、1万例以上のがんが未発見といわれています。糖尿病、高脂血症や高血圧など、脳・心臓血管障害の原因となる疾患の治療も遅れが出ているでしょう。インフルエンザなどは2年近く途絶えたため、どのような形態で戻ってくるかも不明です。人々の外出が増加すると、外傷も一時的に増える可能性があります。これらのリバウンドがどの程度か予想できませんが、無視できる程度で済むかは疑問です。

 当院は、コロナ前まで純粋な急性期医療機関で、がん、脳心臓血管障害、糖尿病などの診療を行う一方、救急指定病院として市内の4分の1に近い救急車を受け入れていました。新型コロナ発生後は、県内で数少ない感染症指定医療機関だったため、クルーズ船患者から受け入れが始まりました。主要医療機関、行政と協議し、90%以上を占める軽症から中等症の管理を担当。早期から保健所と連携をとり、病棟入院患者、宿泊療養施設、在宅待機患者を一括して管理し、宇都宮市は県内でもモデル的存在となりました。

 第2波、第3波と経験するにつれ、連携は県全域に広がり、毎日オンライン会議を行って、入院や重症化で転院が必要な患者を調整しています。当院は軽中等症を中心に、栃木県の全入院症例の20%近くを受け入れてきました。通常の診療業務を一部縮小せざるを得ない時期もありましたが、今後、よほど大きな波でなければこれまでの経験から短期間で対応可能な状態となりました。

 そろそろコロナ後、2040年に向けて考える時期になっています。宇都宮市を中心とした医療圏は、40年までの人口減少は5%と少ないのですが、高齢化が進み、急性期病床の需要は徐々に低下していくと考えられます。最近のいくつかの研究では、コロナ後には急性期入院患者は最大10%減少するという見方もあります。県内では人口が減少するところが多いので、市内でも20%程度の急性期病床は方向性を検討する必要が出てきます。これらを踏まえ、院内では、在宅後方支援、急性期連携などの方向性を検討しています。

 また、「」では、当院のように3次救急を受け入れ、研修医も多いと、一部の医師の勤務時間が長くなるため、その対策が必要です。科によってはチーム主治医制、シフト制などを取り入れてきましたが、コロナの入院患者が増えてくるとうまく回りません。

 負担を軽減するために業務を分散し、さまざまな補助者を採用しています。一部の業務を看護師や検査など他の職種に分散すると、その職種の業務をさらに軽減する必要が出てきます。マニュアルを整備するなどして効率化を図っています。

 さらに、組織を率いる上で大切なのは、わが国の医療の方向性と当院の地域における役割を把握すること、院内の縦横の連携を良くし、できるだけ多くの意見を聞くことだと思います。




独立行政法人国立病院機構 栃木医療センター
宇都宮市中戸祭1-10-37
☎️028-622-5241(代表)
https://tochigi.hosp.go.jp/

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